難関大学&医歯薬学部合格へ東京一流校の教員〈頭脳〉が本校に結集
眼前に雄大な太平洋が広がる房総半島の東南に位置し、学舎はオーシャンビューに抱かれた絶景のロケーション。その立地条件を活かし、21年前に高校ではわが国初のサーフィン部が本校に誕生した。世界チャンピオンや多くのプロを輩出する“サーファー育成のメッカ”として有名な学校でもある。遠方からの入学者のために学校敷地内に寮も完備している。
昭和4年(1929年)に長狭実践女学校として誕生し、時代や教育制度の変遷とともに校名変更や共学化を経た同校は、昨年、進学校へと大きく舵を切って新しい歩みを始めた。今年4月からスタートした、難関大学の現役合格をめざす「特別進学コース」はその第一歩であり、平成19年度より、学校組織や教育体制を大幅に刷新し、進学校としての教育を本格化する。
「来年4月から、2つの変更があります。1つは“学校法人・村山学園文理開成高等学校”と校名を改称することです。“開成”は中国の古典『易経』の“開物成務”に由来し、人間性を開拓して人としての務めを成すという意味。“文系・理系”ともに開成の精神で指導していく本校の基本理念を表します。制服もそのイメージにふさわしい新制服に変わります」
そう説明するのは昨年4月、校長に就任した鈴木康夫氏。前任校では毎年約100名を東大へ合格させてきた受験数学のエキスパートである。
2つ目は、従来の総合学科を普通科として再編し、「医歯薬進学コース」を新たに増設することだ。「特別進学」「医歯薬進学」「普通」の全日普通科3コースとし、進学系2コースは定員各20名、普通コースでは定員140名の募集を開始する。評定平均を単願・併願とも5段階の4.0以上、医歯薬進学コースでの数学と理科は4.0以上が必須。
「特別進学コース」は今年4月からスタートし、第1期生が入学した。
「入学当初はいずれの生徒も偏差値50前後。それがわずか3ヵ月で力を伸ばし、難関進学校の上位レベルに達しています。定期考査でも、難関校と同レベルの出題で平均8割ぐらい取れていますね」。鈴木校長は期待以上の成果の手応えに目を輝かせる。
指導体制の特色は、コース専任の一流教師陣を編成し、徹底した個別指導が行われることだ。東大や、首都圏のトップ進学校、大手予備校での受験指導など、優れたスキルと実績をもつ人材6名を招へい。週34単位の授業、月曜〜金曜の放課後2コマの個別指導、土曜日の進学特別講座など、いずれもきめ細かな直接指導によって一人ひとりを確実に目標大学の合格へと導いていく。
さらに授業シラバス、個別学習・受験指導シラバス、そして家庭学習シラバスを3本柱とするカリキュラムも同校ならでは。英単語や歴史など暗記主体の家庭学習まで、計画的・効率的な受験勉強で学力アップを図る。
来年開設予定の「医歯薬進学コース」では、これらの指導システムを実践するほか、私立大学医学部の出題傾向にはそれぞれ特色があるため、大学ごとの入試対策を徹底指導する。
夏期休暇に実施する4泊5日の進学合宿も人気のプログラムだ。教師陣に小論文の第一人者や大手予備校の人気講師、校長の数学指導も加わり、刺激たっぷりの集中講座に取り組む。
自己実現の教育を強化し「こころの知性」を育む
「普通コース」は、普通科のほかに、福祉・スポーツ・ビジネスIT・芸術の4分野の選択科目を設け、生徒は各自の興味や進路にあわせて自由に選択できる。
「普通科選択」は、「進学」と「一般」に分かれ、大学・専門学校進学や就職に対応。「進学」では特別進学コースと同じカリキュラムを編成し、習熟度によってコース編入することも可能だ。「福祉選択」では、介護福祉士の受験資格が取得でき、これは千葉県内の高校では同校を含む2校のみ。卒業生のほとんどが福祉関係の専門学校に進学したり、福祉のプロとして就職したりしている。
「スポーツ選択」は、各種スポーツを一流の指導者が直接指導する。なかでもサーフィンとボクシングは、全国大会や関東大会でトップクラスの実績をあげている。「ビジネスIT選択」では、情報処理検定やワープロ検定などの資格取得にチャレンジする。一流企業への就職を実現する生徒も少なくない。
「芸術選択」は音楽・絵画・茶道・華道などの表現方法を学ぶ分野だ。絵画の授業にはユニークな漫画講座が開講。TV放映された「おはよう!スパンク」や「おジャ魔女ドレミ」シリーズで知られる、同校卒業生のプロの漫画家、たかなししずえさんの直接指導が受けられるため、この講座をめざして入学する生徒も多い。
今春からの新しい取り組みに、「EQ教育」の導入がある。企業で活用され始め、高校ではまだ珍しい「こころの知性」を育てるプログラム。例えば、二人一組で一人が目隠しをし、一緒に校内を巡る。その体験から、望ましい誘導について互いの意見を交換しあうのだ。
「シミュレーションやディスカッションによって多くの事を発見し、マナーやコミュニケーションの大切さを認識しながら、生徒は楽しんで学んでいます」 |
小論文で大学合格をねらう教育プロジェクト
「本校の生徒は学力も個性もいろいろで、普通コースでは大学、専門学校、就職と希望進路も多様化しています。学校全体を進学校化していく方針ですが、現在の指導のよい面は継承し、専門の教育と指導陣の充実にも力を入れています」
だが、なかには大学へ行きたい生徒が、自分の学力では不可能だと頭から決め込んでいるケースもある。
「そんな生徒のために、推薦入試やAO入試で大学合格をめざす教育プロジェクトを進めているのです。小論文なら大学に合格できるかもしれない、と意欲を見せる生徒が増えてきています。今春の大学進学希望者数は過去最高の伸びをみせ、希望者全員が第一志望の大学合格を果たしました。今年はさらに難関大学の合格をめざし、生徒は小論文の特別講習で頑張っています」
鈴木校長はもう一つ、新しい取り組みを始めている。世界で一番受けたい授業というTV番組があるが、普通コースの授業内容をより面白くし、生徒の知的好奇心に応えようというもの。
「教師はいま、年間一人10コマ以上を楽しい授業にする指導案を作成中です。負担は倍になりますが、意欲的に取り組んでくれています」
進学校ではエリート生と劣等生という2極化傾向がありがちだが、そういう教育現場には絶対にしない、と鈴木校長。他校にはない特色をもつ特化した進学校として、新たな航路を拓く。
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