教育の幹となる人間教育プログラム
「人間教育プログラム」とは、発達段階に応じた「神を仰ぎ自他を大切にする生き方の探求」である。伝統の中で、正課の授業だけでは不十分であると考えて特別に実施してきたが、昨年週5日制授業を採り入れたため、これらをまとめ、週5+1日制の教育プログラムとして位置付けた。
プログラムの内容は、学年によって異なる。まず、中学1年次は「軽井沢生活」と称する2泊3日の合宿を行う。テーマは「自己を見つめる」だ。
「生まれた時の身長・体重を記入することから始め、生まれるということ自体がどんなに大変なことであるか、どんなに自分はかけがえのない存在であるか、ということを自覚させることがねらいです。またクラスでお互いにそれぞれの長所を教え合い、自分のことを肯定的に見つめ直す作業を行います。6年間かけて、その自分が社会でどう役立てばよいかということを追求していきますから、この軽井沢生活はその1歩となる大切な行事なのです」と城築昭雄校長補佐は語る。実際たった2泊3日であるが、合宿から帰ると生徒たちは皆心を大きく成長させ、中学生活にスムーズに入っていくという。
様々なプログラムを盛り込んだ週5+1の教育システム
+1となる土曜プログラムは、「軽井沢生活」の後も学年ごとにテーマが設定され、様々な取り組みが行われる。
中学2年次では「自己を活かす」がテーマ。環境学習を中心に、自分が他者のために何ができるかを学ぶ。奥多摩での自然体験や水辺の環境浄化に協力することから、世界のすべての命がつながっていることを体験で実感するのである。また、中学3年次で実施される北海道への旅行の準備学習も行われる。
中学3年次のテーマは引き続き「自己を活かす」と「社会の中の私」。北海道旅行のほかに、職業研究などが行われる。将来就きたい職業を中心に、情報を収集・分析し、なぜ自分がそれに興味を持つか考え、自己分析につなぎ、将来社会の中で自分がどう生きていくかを考える。
「ジャンルが似た職業に興味のある生徒をまとめてグループを作り、研究したことをパワーポイントを使って発表させます。優秀作はチャペルでみんなの前で発表するんです。楽しそうにやってますよ」。
高校になると、思春期特有の精神的に脆い状態に陥いる生徒が出てくる可能性もある。高校1年次では宿泊行事を行い、中学最初の思いを取り戻し、自己分析と精神的な強さの成長を図る。
高校2年〜3年次では、進学プログラムが中心となるが、未来の世界のためにどう生きるかという進路の具体化を図るのもこの時期である。高校2年次では長崎への修学旅行が行われ、原爆投下や水俣汚染など、命に関わる様々な問題を真剣に考える。そして、高校3年次で5年間で学んだことを自分の進路決定に生かすのである。
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このほか、マナーや身だしなみ、危機管理についても6年間を通して指導が行われる。
「女子中高生には身近な問題である携帯電話、ダイエットや繁華街の危険性、アルコールやタバコ・薬物などとの接触といった避けるべき事態など、心身を大切にすることを声を大にして話しています」と城築校長補佐。なお、同校では携帯電話は卒業まで一切禁止。危険であることのほかにやるべきことを行う時間を携帯電話は奪う存在であると考えているためだ。
「中3、高1で誘惑に流されがちな年頃になっても、それまでに口うるさくしつけを行うことで、彼女たちは必ず正しい場所に帰ってくるのです。保護者にも理解を求め、協力してもらっています」。
夢を潰さない指導
「例えば生徒の持つ夢が、現在の成績では実現が困難な場合であっても、私たちはダメだと言わず、応援し、努力するよう指導します。夢は潰したくない」と城築校長補佐はきっぱり言う。
「学習は、大学合格率を上げるためのものではなく、そのまま社会とつながり、将来にいきるもの。何より授業を大切に考え、家庭学習の習慣をつけるように指導しています。コツコツと不断の努力ができる生徒は伸びますし、大学に入ってもさらに勉強し大きく成長するのです」。
授業には教師たちが最大の情熱を注ぎ、あらゆるレベルの生徒にも自信を持って教えることができるという。中1・中2では基礎学力の徹底、中3・高1ではさらなる学力充実と先取り学習、高2・高3では個別指導に近い教育が行われ、充実した学習内容となっている。
女子校としては珍しく1/4の生徒が理工系志望。特にここ数年は建築・土木・機械など男子ばかりの世界へ飛び込む生徒も出てきた。
「どんな生徒でも自律できるように大事に育てていきます。単に偏差値だけで考えず、生徒のありのままの姿を見て、受験を決めてほしいと思っています。気軽に見学に来てください」と城築校長補佐は締めくくった。
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