教員座談会(出席者)
数学担当(東京工業大学出身)
増村 薫先生(27歳)
数学担当(東京工業大学出身)
矢野 将弘先生(26歳)
数学担当(早稲田大学出身)
杉山 卓誠先生(25歳)
生物担当(東京大学出身)
柴本 浩陽先生(25歳)
化学担当(東京学芸大学出身)
遠藤 春樹先生(23歳)
司会 編集部
教師が成長することで
生徒との信頼関係が深まる
―― まず、昨年度の感想や、今年度の現状を聞かせてください。
増村 最も大きな出来事は、卒業生を担任したことです。卒業式では絶対泣かないつもりだったのですが…、生徒が泣き出したのを見て『マズイな』と。涙を抑えるのに苦労しました。卒業前に感じていた不安や、彼らが今後自分のことを覚えていてくれるかなどを考えてしまって。でも、最後に満足な表情と「ありがとう」の言葉を残してくれたので、自分のやってきたことが彼らに伝わったのだと安心しました。今年はその経験で得た自信を基に、もう一度1年生を担当していますが、3年違うとここまで差があるのかと、初心に戻って再度奮起しています。
杉山 教師になって4年目ですが、無我夢中でやってきた最初の3年間が過ぎ、悩むことが多くなって迷いも出てきました。今年は3年特進クラスを受け持っていますので、進路相談など難しい面が多いですね。生徒を喜ばせたい反面、実際とのギャップに…。昨年に続き壁にぶち当たっており、諸先輩に相談したり、ときには怒られたりしながら頑張っています。
遠藤 私は昨年一年目だったのですが、がむしゃらにやっている内に過ぎたような気がします。受け持ちの生徒が今年2年になり、進路相談も始まるので、自分自身を成長させ限られた時間を真剣に過ごしたいですね。
柴本 激動の1年間でした。予想もしないことが起きて…、まあ、言えないことも多いですが(笑)。特に学園祭では、準備期間の終盤になっても手が進まない生徒にどこまで指示を出すべきかと迷っていたんですが、結局最後まで自主的にやり遂げてくれました。生徒を信頼し見守ることの大切さを肌で知ることができましたね。
矢野 私も生徒には教えられることがありましたよ。昨年までは授業の運び方がうまくいったり、それに対する生徒の反応が良いと喜び、悪いと落ち込む。生徒次第で一喜一憂していたんですね。でも、一年を振り返り、生徒の反応を考えたとき、自分を客観視することで生徒に対する冷静さを持ち、長いスパンでの信頼関係育成の大事さに気づきました。
―― 合格実績はいかがでしたか。
増村 今年度はじめて男子学生の卒業年度を迎えたのですが、現在、国公立難関私立合わせて398名という結果が出ています。共学以前からおられた先生方の話では、長期計画で着実な目的達成を目指す女子と、スタートはどうあれ、試験前日まで勉強を続けた男子そのどちらもが、当日、最高の状態で受験に挑んだ結果でしょう。彼らのその頑張りが実ったんですよ。
杉山 私は今年受験生の担任なので、昨年度の卒業生が作ってくれた現在の上昇傾向を下げたくないですね。そのためにも、進学担当の先生方とのミーティングを密にして、自分の考えだけでは見えないものを得ていかないと。そして、一人ひとりに応じた指導を行い、向上意欲を伸ばして達成感を持たせ、モチベーションを受験日まで持続させること。それが今の課題です。
増村 それと生徒との信頼関係をどう作っていくかも大事ですよ。昨年は補習の中で各々に応じた勉強法と教材情報を提供し、何かあったら聞きにおいでと常に声をかけて、教師と生徒の関係をより強固にしていきましたから。
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教科力向上を目指し
自己の課題に取り組む
―― 今年度の教科指導の取り組み方法を教えてください。
矢野 私は少林寺拳法の顧問をやっているんですが、戦いでの相手との距離感や攻撃のタイミングなどの大事さは、授業においても同じです。話すか、黙るか。大きな字で書くか。生徒に発言させるか否か…、そういうところを相手の表情から汲み取って授業を進める。まさしく戦いですよ。(笑)
遠藤 昨年同様、授業に好奇心を持たせることを大切にしていきます。化学担当教員としては、注目度の高い実験時間を増やしたいのですが、受験が近づくに連れ、理論中心の授業になりがちですからね。限られた時間内でいかに生きた授業を行うかが難しいです。
柴本 昨年は、全員が細部までわかりやすい授業を目標にしていましたが、その難しさを一年経ってひしひしと感じています。生徒全員に興味を持たせることは教員の究極の目標ですね。そのためにも、内容の深い授業にできるよう、今年度はさらに自分の実力をつけたいと思います。
―― 先生方はほぼ同世代ですが、競争意識など持たれますか。
杉山 負けたくない! っていうのはありますね。特に、高校3年生は勉強への意欲が高く、授業内容以上のプラスアルファを求めてきますが、意欲のある人間を伸ばすのは、無い人間を伸ばすより難しいです。今後このような生徒たちをうまく指導していくことが課題です。
増村 数学に関しては、質問されたことは誰よりも答えられる教師でいたいですよね。その部分では同教科の杉山先生と矢野先生には負けられませんよ。
矢野 経験豊富な先生方ばかりなので、普段は『そんな風には思っていません』って表情で謙虚にしていますが、心の中では自分が一番いいホームルームや授業を行いたいなと(笑)。
柴本 同期で同じ理科担当の遠藤先生は、生徒を集中させることが上手いんですよ。授業見学の際には、生徒が黒板に集中しているのを見て、いつも「すごい」と思ってしまいます。
遠藤 いえいえ、化学は説明や計算問題が多く、黒板に注目させてノートで体感させるという教え方をしているからです。それに、柴本先生は生物なので内容も多い上に、プリントなどの教材作成に関しては、知識豊富で使用する教材の数もハンパじゃない。私の方が、毎年同じ授業しかできないんじゃないかとプレッシャーやら危機感やら、非常に感じてます。
増村 二人ともすごいですね。同じ理系の数学担当としては立場が…(笑)。
―― 最後に先生方のこれからの目標を教えてください。
矢野 時代の価値観に流されず、安定した信念に基づいた理想の学校像ができてきました。共栄学園でその理想を実現するためにも、常に自分自身のスキルを磨いていきたいですね。
柴本 生徒との距離間やコミュニケーションをさらに学びたいですね。そのためにもほかの先生方の授業やホームルーム見学を行いたいと思っています。
遠藤 教員と生徒という枠を外し、純粋に一人の大人として、努力する姿を生徒に見せていきたいですね。
杉山 今年に絞っていえば結果を出すことです。成果が出なければ自分の責任なので、とにかく頑張らなければと。
増村 去年は頑張ったので、今年は少し余裕が出ています。この間に、生徒のどんな問題にも対応できるよう教科力を磨こうかなと。生徒が教科担当に信頼を寄せれば成果は必ず表れますからね。
―― 本日はどうもありがとうございました。
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