サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関東校・ 関東一覧
   

常盤木学園高等学校

 
  女子特化教育こそ時代の要請新校長就任で改革、新生へ
私学界で、女子校再建のエキスパートとして知られる長野雅弘氏が校長に就任、常盤木学園高等学校の新生に早くも注目が集まっている。短期間のうちに、生徒と教職員の意識を変え、実務面を徹底改革する長野校長の手法は、むしろシンプルだ。生徒に未来を見つめさせ、教職員に自己を見つめさせる。結果は入学者数や大学合格実績、何より、生徒の笑顔に表れる。男女別学こその教育理念、方針とは。

校 長: 長野 雅弘
住 所: 〒980-0003 宮城県仙台市青葉区小田原4丁目3-20
電 話: 022-263-1755
交 通: JR仙台駅東口から徒歩15分・仙台駅西口からバス「さくら野」前35、36番のりば・原町方面息「常盤木学園前」下車徒歩5分・東仙台方面から「中江公園前」下車徒歩6分・旭ヶ丘・南光台方面から「宮町2丁目」下車徒歩5分
学生数: 1,042名 (2006.6.1現在)
ホームページ: http://www.tokiwagi.ed.jp/

 

時代が女子特化教育を
求める理由

共学化の波に押され、一般に女子校の入学者数は減少の一途をたどっている。全国いたるところで定員割れの悲鳴が聞こえ、閉校に追い込まれる学校もある。ヨーロッパでは男女別学が定着、アメリカでも徐々にその傾向が強まっているが、日本はその流れに逆行中だ。常盤木学園高等学校も一部音楽科において共学化に踏み切ったものの、女子の全人教育に重点を置いている東北圏の老舗校であることに変わりない。今年、347名の入学者を確保したが、7年連続の減少を食い止めることはできなかった。だが、女子に特化した教育こそ社会の要請であり、時代が女性を求めていることを受験生や保護者に認識してもらう必要があると、女子校活性化に心血を注ぐ人がいる。

愛知の一宮女子高等学校、京都の平安女学院中学校、高等学校の校長を歴任し、この春、常盤木学園高等学校の校長に就任した長野雅弘氏だ。前任校の平安女学院中学校では、就任から1年で入学者数が前年比150%、同高等学校も前年比130%に増やした。地元難関大学である関関同立へは90名の合格者を数え、関西の私立高校で一気にトップの数字(生徒数に対する割合)をはじき出した。校長自ら夏期講習や補習授業の教壇に立ち、毎朝、校門で登校してくる生徒を迎えた長野氏の休暇は、1年間に3日だったという。生徒や教職員に伝えたいことは、時間をかけて全て伝えきる。そうした姿勢に、教職員も生徒も次第に変わっていった。教員の日々の授業や生徒への接し方が、以前とは比較にならないほど洗練されていくのに時間はかからなかった。

その前に校長職を務めた一宮女子高等学校でも入学者が激減していた。生徒に「どうすれば幸せになれるか」ということから真剣に問い続け、授業改革を徹底した結果、学校平均の偏差値が2年で20以上も上昇した。“わかる授業”が学校生活を面白みのある毎日へと変えていった。それは生徒にとって幸せの一部分であり、教職員にとっての喜びでもある。学校改革の手腕とは、いかに情熱を持って“人”を変えるかに尽きる。

「時代のキーワードは環境、福祉、子どもといった言葉で表されるように、女性が能力を発揮する場は、今後ますます増えていきます。しかし、男女共同参画の視点から見れば、女性の社会進出はいまだ不十分で、自信を持って活躍できるよう、女子に特化した教育が求められているのだと思います」と語る長野校長。成長期に異性を意識することなく主体的に行動し、リーダーシップを発揮できるのは、男女別学のメリットであり、自信を得ることで、より広い分野、専門的な領域へ挑戦できる人間教育を可能にするという。それが女子校の使命であり、新生常盤木学園のコンセプトである。

「二階建て理論」教育方針

校長就任後初の全校集会で、長野校長は常盤木学園の教育方針を1時間かけ、生徒に説明をした。教育が「幸せの実現」を目指すことは当然ながら、年度始めの校長訓示ではともすれば、夢の実現や志望大学合格への激励に終始することも少なくない。無論、それらは生徒の幸せを実現する上で重要要因ではあるが、社会生活上のルールや、「自分はどう生きていきたいのか」といったバックボーン抜きには存在し得ない目標だ。

前任校でも一貫して生徒に訴え続けてきた「二階建て理論」なる教育方針は、まず、生徒一人ひとりに「あなたはどんな人になりたいですか」(二階部分)と問いかけることから始まる。「なりたい自分」を実現するには、志望校への合格や必要なスキルの習得をはじめ、人との関係性、粘り強さといった人格的要素に至るまで、身につけるべきものに生徒自身が気づいていく。次に、それらを吸収する上で欠かせない基盤となるのが、社会的ルールの遵守、エチケット・マナーの体得、環境問題の重要性への理解など、日常生活での実践(1階部分)であることに思いが至るのである。

生徒が理想とする生き方を想い描き、それを実現するために今をどう過ごすかという、いわば逆算する「二階建て理論」は生徒自身の“気づき”に訴え、自律的に実践されていく教育方針といえる。

伝えるべきは、時間をかけて伝え切るという長野校長の考えが生徒に通じたのか、集会後、数人の生徒が校長のもとに来た。「校長先生の話にとても感動しました。これからも話を聞かせてください」と。

1週間で変わったこと

長野校長は「女子校を変えれば社会が変わる」とまで言い切る。そのために、思うところを口に出し、確実に相手に伝えていくスタンスを堅持する。就任後1週間、一日の授業が終わると、校長室に教員がさまざまな相談を持ちかけてくるようになった。授業改革に関することが主だが、長野校長は話を聞き、改善点を伝えていく。校内で使用する問題集ひとつ取ってみても、全員の生徒が同じ問題集を使うこと自体ナンセンス。一人ひとりに合った指導をするなら、問題集の難易度に差が出て当然で、習熟度の低い生徒には個別指導を行い、学習の要領を一から教え込む。得意な生徒は、どんどんレベルアップした問題に取り組む。そういったことの一つひとつを事細かに説いていくのだ。

対生徒では、家庭学習では机上整理に始まり、その日の授業内容を思い出し、書き出していくことを実践させる。教員の話、板書内容、授業テーマなど、思い出せる限りを書き出すことにより、集中して授業を受けていたかどうかの自己確認となる。思い出せず、書き出すことを断念した残念な気持ちを味わい、それが意欲につながり、授業に集中できるようになれば、家庭学習はすでに半分成功したといえるだろう。「自ら気づいたことを、たぶん相手はわかっているだろうではダメで、念入りに伝えきることが重要」と、長野校長は独自の復習法を伝授した。

新年度が始まって1週間が経った頃のこと。校内を掃除して回る職員に長野校長は呼び止められた。「長年勤めていますが、これまで、あまり挨拶も声さえもかけてくれませんでした。それがどうしたことか、ここ数日、先生も生徒もご苦労様と声をかけてくれるようになりました。学校が明るくなってうれしいということをお伝えしたかった」と話したという。

学校にとって、最も強力な広告塔は生徒だ。生徒が満足して家に帰ることが最大の宣伝となる。そのために“わかる授業”“力を出しきれる部活”を保証していくことで、常盤木学園の改革はスピードをあげる。松良千廣理事長とタッグを組み、改革の成功は間違いないことであろう。

毎朝、JR「仙台」駅から徒歩で通う生徒たちを、通学路に立って見守る長野校長や教諭の姿がある。「今や校長は校長室にいてはダメで、部屋から飛び出して行かなければ」と話す長野校長のもと、新生、常盤木学園高等学校を目にすることもそう遠くはなさそうだ。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.