中3生で英検2級に合格
今春実施された英語検定の試験で、滋賀学園中学校の3年生2名が英語検定試験の2級に合格した。2級は高校3年生程度のレベルだといわれており、入学後2年余りで、高い英語力を身につけたことになる。しかも2名のみが特別というわけではなく、準2級は、1クラスの約70%が合格している。2級の1次試験に合格し、2次試験に再チャレンジする生徒も2〜3名いる。公立学校が主流の滋賀県にあって、一期生となる中学3年生は、入学時、トップレベルの成績の生徒は少なく、基礎学力にかなり差があった。そのような生徒たちが皆、大きく伸びており、教師たちが驚いているほどである。「上位成績者たちは、大学は上智や東京外大に進みたいと言っています。ゆとりあるカリキュラムの中で、ゆっくりと少人数制で教えれば、どの生徒も大きく伸びると実感しています」と森実副校長は話す。
この実績を踏まえ、来春には「特進コース」を新設する。1年間留学を取り入れた現在の「留学コース」とともに2コースになる。どちらも1クラスのみ、定員は各35名である。新設する理由について、森副校長は次のように話す。「留学コースだけでは、1年間留学を実施するため、英語以外の教科がどうしても手薄になってしまい、進路が狭まってしまいます。理系でも進学できるように、特進コースをつくりました。この2年余りで教育方法にも自信が持てましたし、国公立大学や難関私立大学に進学できる力をつけることは十分可能だと考えています」。
二人担任の手厚い指導
いったい同校ではどのような指導が行われているのか。森副校長は、「学習システム」、「基礎力の構築」、「土曜講座」の3つの柱で、ゆっくりときめ細かく指導していると言う。まず、「学習システム」においては、英数国は、ティーム・ティーチング制を導入している。35名定員であるから、十数人の生徒に一人の教師がつくことになる。そして担任も2名を配置。
「二人担任にしているのは、生徒によって、合う・合わないもありますし、より目が行き届くようにと考えてのことです。共学ですから男女の教師を配置し、相談もしやすいよう配慮しています」と入試広報部の辻健之教諭は説明する。
「基礎力の構築」においては、毎日の朝読書、100マス計算、群読(皆で音読すること)を行っている。また、表現力や自分の考えをまとめる力を育てるため、行事などの後は、必ず感想を書かせている。さらに発表や討論の機会を多く設け、国際社会で活躍できるような人間力が育つよう導く。
「スキットのスピーチコンテストを開催するなど発表の機会を設けたり、クラスで行事のときなど何かを決めなければならないとき、あるいは、生徒同志で問題がおこったときなど、何度も話し合い、人に流されることなく自分の意見を言えるように指導を行っています」と森副校長。続いて辻教諭は、「こうして人と密に関わり、話し合い、もまれることで、人として大切なことを学ぶのだと考えています」と話す。
また同校は週5日制であるが、毎週土曜日に「土曜講座」と称し、英数国の講習や、資格試験の対策授業などを実施している。来春からはさらに充実させていくべく準備中である。
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さらなる学力向上を目指して
来春の「特進コース」の設置にともない、同校では、さらなる取り組みをスタートさせた。
まずは、今年7月に「学力保障委員会」を設置した。これは、日々の教育を見直すもので、生徒の年間の成績を追跡しながら、生徒一人ひとりについて、苦手な単元を分析し、指導のどこが悪かったのか、どのように教えればわかりやすいか、などを教師同士で話し合うものである。また、中学3年生には、高等学校に進学する前に数学の苦手な単元を克服させようと、小学校までさかのぼって苦手な単元を見つけ出し、指導を行っている。
次に、「学力向上システムの充実」を掲げ、外部教育プロバイダーと連携し、放課後講習や春・夏・冬の講習を行う。「留学コース」は選択制だが、「特進コース」は全員が参加し、学力アップをはかる。
「特進コースは、同志社や立命館を受験するレベルの生徒に来ていただきたい。6年間で、必ず大きく伸ばし、志望の進路へ進ませます」と森副校長は言い切った。
6種目に特化した高等学校の「スポーツコース」
同校は、1999年の男女共学化とともにスポーツの強化を押し進め、全国大会への出場のみならず優勝者を輩出するところまで成長した。卒業生の多くは、大学・実業団・専門学校に進み、活躍している。しかし、より細かな専門技術・知識の習得とメンタル強化に努め、世界に羽ばたくアスリートを育てようと、今春、「スポーツコース」をスタートさせた。
「スポーツコース」は、硬式野球(男子)、サッカー(男子)、陸上競技(男女)、ソフトボール(女子)、卓球(女子)、ハンドボール(女子)の6種目に特化し、全国レベルの競技力をつけるとともに、様々な理論の学習も深め、スポーツを科学的に学ぶ。さらに大学への進学に必要な基礎学力を充実させる。
「6種目に限定したのは、その競技には優れた指導者がおり、実績があるからです。ぜひ将来は、オリンピック選手を輩出するようなスポーツコースに育てたいです」と清水忠和企画開発室長は話す。
カリキュラムは、週30時間のうち専攻実技が4〜5時間、体育理論が2時間である。7限以降はクラブ活動となる。6種目は、すべて専用の練習場やグラウンドがあるので、十分にトレーニングすることができる。
「野球場などは専用グラウンドのほかに雨天練習場もあります。施設面においてはかなり充実していると思います」と親泊英範教頭は胸を張る。学力を伸ばしたい生徒、そしてもっとスポーツで伸びたい生徒、その夢を叶えられる私学が、滋賀県にも生まれた。今後の同校の実績に注目していきたい。
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