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中学・高校受験:学びネット

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追手門学院中学校・高等学校

 
  内外の評価を受け止め 最短で改革の結果出す
外部調査機関が下した厳しい学校評価を真正面から受け止め、改革を断行した追手門学院中学校、高等学校は改革着手から5〜6年という最短期間で結果を出した。その手法は徹底した授業の見直しに始まり、大学合格実績を飛躍させ中学受験者数を増やした。人間教育をおざなりにせず、生徒や保護者の満足度を上げる取り組みは校長の強いリーダーシップで成功をおさめた。

校 長: 土井 邦孝
住 所: 〒567-0008 茨木市西安威2丁目1番15号
電 話: 072-643-1333
学生数: 中学校  176名
高等学校 1073名 (2005.9.1現在)
ホームページ: http://www.otemon-jh.ed.jp

 

内部で“じり貧感”は
外部ではさらにシビア

 今からさかのぼること8年前、追手門学院では“気がつかない程度に”生徒の成績が下がりはじめ、受験生が少しずつ減り始めた。成績の下がり具合は深刻なほどではなく、気にしたくなければ気にせずに済む程度だったかもしれない。だが、同校はこの段階で決断し外部調査会社の学校評価を受けた。結果は予想を超えていた。「ここまで厳しい評価とは・・・」と土井邦孝校長(当時教頭)は愕然としたという。それほど内部でのいわゆる自己評価とのギャップが大きかったのだ。その後、2年をかけ討議した結果、学校一丸となっての改革が始まった。

 まず取り組まなければならないことは、保護者や受験生にとって学校選びの最大のポイントは何かを知ることだった。アンケート調査が始まった。最も学校に求められているものは何か。アンケート結果は「大学受験に直結する指導体制」であることを明確に示していた。

 同校は小学校開校から110余年の歴史を持つ教育活動の中で、人間性の創造に重点を置いてきた。土井校長は「人間教育なら追手門と一世を風靡した時代がありましたし、それが定評でした。ですが、敢えてこの『人間教育』という言葉をその時点から口にしないようにしました」と語る。何も人間教育をおざなりにしたのではない。だが、社会が求める学校づくりへ邁進するため、教員の意識を学習強化に向かわせるいわばバランサーの役割を果そうとする意図が管理職にはあった。教員の反発や誤解を生じさせないとも限らない判断ではあったが、それほど改革に臨むスタンスが強いことを表していた。

 目指す改革は第一に「学習強化」であった。そのために授業の見直しが徹底的に行われた。授業は公開され、生徒による授業評価制度を導入した。評価は年に5回という高頻度で行われ、評価内容はすべて職員会議で発表した。「板書をもっと丁寧にしてほしい」「授業での声が聞き取りにくい」など生徒の側も真剣に意見、要望を述べたという。問題を指摘された教員は外部に研修に出る、他の教員の授業を見て改善に取り組むなど、シビアな対応が迫られた。

高等学校では英数コース、理数コース、総合文理コースのコース制を敷き、授業時間数を週38時間(高校1年次はコースにより39〜40時間)に増やした。さらに1年次から発展的学習に取り組ませ、そのために午後4時から6時の課外授業を実施。受験前の3年生には夜8時まで特別セミナーを実施した。この結果、高等学校を受験する生徒は予想を上回るほどに増えた。

 一般に学校改革を推進しようとすると、個々の見直しに躊躇を示す教員が出てくるといわれるが、同校では教職員一丸となって改革を進めることができた。その大きな要因は職員会議での決定を尊重する気風が昔から培われていたことだ。

国公立50名、関関同立100名
の目標を早くも達成

 授業の見直しから「学習強化」に取り組みを始めた同校は、大学合格への目標を、国公立へ50名以上、関関同立へ100名以上と掲げた。そしてわずか6年で国公立に41名、関関同立に141名の合格者を出し、ほぼ目標を達成した。

 ところが、改革にどれほどのエネルギーを費やそうと、社会は即刻反応するわけではない。どうすれば学校改革に受験生や保護者の目を向けさせることができるのか。そこで2年目に着手したのが制服のモデルチェンジだった。これには卒業生などから「伝統ある制服をなぜ・・・」と強い反発があった。だが、50年続いた制服に愛着があるなら、新しく生まれる制服にもこれまで以上の愛着を感じられるように改革を推進すればよい、そんな思いで制服は生まれ変わった。
結果は吉と出た。その年の学校説明会では新しい制服に興味を示したのか、「学校案内」をより多くの子どもたちが手にして帰ったという。改革を目に見えやすくすることは重要だ。それが契機となって、保護者も生徒もより詳しく学校を知ろうと関心を寄せてくる。
改革から6年目を迎える今年、関関同立に227名が合格した。国公立大に合格した生徒には高校3年の夏まで部活動を続けた生徒、あるいは予備校に一切通わずに合格した生徒もいるなど、受験指導の強さを見せている。
もうひとつ見逃せない点は生徒相互間、生徒の対教員間の信頼関係が構築できている点だ。一般に、良好な人間関係から大学進学への意欲がかき立てられることは多く、また、その逆のケースもありうる。同校では日々の学校生活では無論、学校祭や修学旅行など、あらゆる機会を通して、豊かな人間関係を築き、受験への意欲に結び付けている。

中学校にコース制を導入
改革の最終目標へ

中学校にアカデミックコース、ダイナミックコースからなる2コース体制を敷いたことも改革の一環だ。アカデミックは5年間で中・高の全課程を履修する難関大への進学を目標とするコース。ダイナミックは基礎学力をじっくりつけながら、部活、文化的教養の充実など幅広い人間力の育成に重点を置くコース。また、いずれのコースも共通して英会話力の向上には力を注いでおり、ベルリッツ語学学校の特別レッスンの受講、イングリッシュ・キャンプ、ニュージーランドでのファームステイ体験などを取り入れている。この生徒たちが大学受験を向かえる時、同校のさらなる飛躍に結びつくかが注目される。改革以前、募集定員70名に対し6割程度の応募しかなかった中学校の入試は、今では定員を確保し、2年前から選抜ができるようになった。

改革は着実に成功をおさめつつある。だが、改革の最終目標は中学入試で応募者をさらに増やすことであり、そのためには今後も改革を推進し、細かな見直しを進める考え。「近年、家庭での教育力が低下したといわれます。人間としての基本的な生活習慣を身につける段階から関わらせていただければ、追手門学院の理想教育に限りなく近づけると思っています」と土井校長。改革当初は口にしなかった「人間教育」に言及したことが、すでに根幹部分で改革が成功をおさめたことを表わしている。
ここ数年の学校改革で、教職員が内部結束できた点が改革成功の要因であることは明らかだ。「教員にとっては長年の取り組みにこだわりもあったと思います。こだわりはむしろ大事なことですが、そのことと新しい取り組みを打ち消すことは同義ではないと思います」と土井校長。同校には若い教員が多い。50人いる教員のうち20歳代の教員が20名程度いる。ベテラン教員と若手教員のバランスも改革にも好影響を及ぼしたのかもしれない。

 
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