スローガンは『GO NEXT!』
3本の柱を核に推し進める学校改革
2026年に創立100周年を迎える精華高校。激変する時代の波を幾度となく乗り越えてきた歴史と伝統を礎に、急激な社会の変化に柔軟に対応する力が求められる現代において、教育の新基軸を拓くべく学校改革を推し進めている。
「本校の教育目標である『自立、協調、創造』のもと、スローガンを『GONEXT!』と策定し、3本の柱を打ち出しました。次世代を担う生徒たちが、社会や世界に向き合い、関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質や能力を見極め培うことを主眼に、それぞれがゴールを目指し取り組んでいます」と、副校長の二階堂和幸先生は話す。
現在のコース編成は、1年入学時に「特進選抜コース」と「特進共通コース」の2コースで募集。2年次より希望の進路に応じて「特進選抜コース」「特進総合コース」「IT総合コース」「環境福祉コース」「スポーツ健康コース」のいずれかを選択できる編成となっている。
「特進選抜コース」では難関大学合格を目指し、放課後と長期休業中の進学講座により英語・国語・社会を中心に着実・確実な実力錬成を図る。「特進総合コース」では、幅広く「学ぶ」楽しさを追求。将来へのビジョンを描ける人材を育成する。「環境福祉コース」では、2年次に幼稚園やこども園、3年次では高齢者福祉施設での交流実習を体験。環境に対する人間の責任と役割を理解し探究する。「スポーツ健康コース」では、スポーツを通じて理論を実践できる人材を育成する。「IT総合コース」は高専連携のもと、より実践的なプログラミング教育を行っている。
二階堂副校長(左)と広報室・小松陽介先生(右)
〝チャレンジする〞生徒を全力サポート
「チャレンジ制度」と
「個性に合わせた学びの多様化」
本年度の活動の核となる『3本柱』の1つ目は、〝チャレンジできる〞学校であること。具体的には今年度入試から始めた「チャレンジ制度」という、受験生のための「入学特別優遇制度」だ。
一般的な優遇制度は、学習と部活動を両立し、中学校時代の文化・スポーツ活動(部活動・クラブチームなどの活動も含む)での継続的な努力と実績を評価する。同校のチャレンジ制度は、従来の優遇制度とは別に新たに設けたものであり、中学生が自ら自己推薦で志願し、在籍中は志願したクラブで活動する場合の優遇制度となっている。【中学校で活動していたクラブと同校で入部したいクラブが異なるか、もしくは同じである生徒】【中学校でクラブ活動に参加していなかったが、同校で新たにチャレンジする生徒】が対象だ。「新しく始めたい」「挑戦したい」気持ちをサポートする独自性に特徴がある。
2つ目は、クラブ活動(運動部・文化部)を活性化し「文武両道」を牽引する部活動を目指すことだ。現在、特別強化クラブとして吹奏楽部、強化指定クラブとしてサッカー部、卓球部、硬式野球部、剣道部、演劇部がある。
「吹奏楽部は近年全国レベルの大会に出場するようになりました。今後、強化指定クラブも吹奏楽部の活躍に続くでしょう。まずはクラブ活動において南大阪でNo.1 を目指します」と二階堂副校長は力強く話す。クラブ以外の優遇制度も充実しており、目的意識を強く持った中学生をバックアップする万全の体制が整えられている。
3つ目は、個性豊かな子どもたちへ対応した学び方の多様化、学びの中身の多様化である。豊かで繊細な五感をもち創造性にあふれた子、聴覚に優れ音楽や語学分野で能力を発揮する子、発想が面白い子、こだわりが強く興味や関心のある事柄を深く追究する子など、個々の能力や才能は千差万別だ。同校では、このような子どもたちの各発達段階の理解、必要となる指導方法、教育現場が抱える問題などを連携させながら、具体的な指導や学習への多彩なアプローチを進める。
「学校と地域が一体となって今まで以上に子ども一人ひとりと向き合い、特別な配慮が必要な子どもなど、それぞれの状況に応じて個の能力を最大限に引き出す学習指導を行っていきたいと考えています」と、広報室の小松陽介先生は話す。
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社会貢献の一環として発案
令和3年度入学生に制服の一部を無償提供
生徒一人ひとりとじっくり向き合うことにより、生徒にとって今何が必要か、これから何が必要なのか、日々問い続ける中で、様々なアイデアを形にしている同校。
新型コロナウイルス感染症に対する社会貢献の一環としても「学校として何かできることはないか」という話し合いを重ねる中で、令和3年度入学生すべてを対象に制服の一部無償提供実施を決定した。さらに、大阪府外からの入学生を対象に学費の一部を3年間給付する優遇制度なども充実している。
熱心な教員とともに「学びの原点」を大切に
学ぶ楽しさを創造
コロナ禍を通して、対面授業の大切さを再認識したという小松先生。
「授業は"間合い"です。間合いというのは、もともとは武術や格闘技の概念ですが、コミュニケーションのあるところには間合いあり。生徒のコンディションやクラスの状態を見ながら、生徒が何を望み、どう反応するかなどを冷静に観察することで、学習することの楽しさや喜びを創造できるのです。リモート授業では、絶妙な場づくりができないと感じました」と語る。
「ステイホームが続き、数ヵ月ぶりにクラブ活動を再開した際には胸が熱くなりました。教育の原点に立ち返ったと言っても過言ではありません。これからも、他校にはできない本校だけができることを、生徒だけでなく学園としてもチャレンジし続けます」と二階堂副校長は話す。
同校の先生方は面倒見がいいことでも有名だ。地元の中学校や保護者の方々から寄せられる信頼も厚い。信頼できる教員たちが生徒一人ひとりに寄り添い、きめ細やかな指導により各々が思い描く未来を、希望という光で明るく指し示し続けてくれるにちがいない。
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