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中学・高校受験:学びネット

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大谷中学校・高等学校

 
  110年の時を経て、受け継がれる建学の精神
「女性に高い教養と豊かな魂を育む」
 1909年に開校した大谷中学校・高等学校は、昨年創立110周年を迎えた伝統ある女子校。校祖・左藤了秀氏の唱えた建学の精神「次世代を育む女性にこそ高い教養と豊かな魂を」のもと、社会に貢献する女性を育てる教育に力を注いでいる。「朝に礼拝、夕に感謝」の校訓を毎朝唱和し、宗教的情操教育で豊かな心を育てるとともに、学習面でも女性の特性を生かしたカリキュラムと指導法で難関国公立大学や医学部医学科へ多くの合格者を輩出してきた。今春は新しく芝のグラウンドが完成し、さらなる教育環境の質の向上とともに「豊かな魂を育む」教育の実践の場になっていく予定だ。同校の堀川義博校長に、大谷中学校・高等学校の教育について取材した。

校 長: 堀川 義博
住 所: 〒545-0041
大阪市阿倍野区共立通2-8-4
電 話: 06-6661-0385
交 通: 各線「天王寺」駅より徒歩17分
大阪メトロ「阿倍野」駅より徒歩8分
南海各線・大阪メトロ「天下茶屋」駅より徒歩15分
大阪シティバス「阿倍野筋5丁目」より徒歩5分
生徒数: 593名(中学校)
645名(高等学校)
ホームページ: https://www.osk-ohtani.ed.jp/

 

知識だけでなく、豊かな魂を身につける
フレームの大きな心を持った女性を育てる

 「あべのハルカス」のほど近く、商業エリアの喧騒を離れ、昔ながらの住宅地を歩いていく。その一角に現れる、レトロモダンな学び舎が大谷中学校・高等学校だ。昨年、創立110周年を迎えた同校は、共学化が進むこの時代に、あくまでも女子校教育を貫く。その理由を堀川校長は次のように語った。

 「校祖・左藤了秀先生が建学の精神『次世代を育む女性にこそ、高い教養と豊かな魂を』と謳われたのは110年も前のことです。男性社会だったその時代に、これからの日本は女性の活躍が欠かせないとすでに見通していたのです。現在、少子化が進み人口が減少している日本において、労働力の不足を補うために、シニアや外国人、あるいはAIの活用などが議論されていますが、一番期待されているのは女性の社会進出です。そういう状況の中で、女子教育は大きな役割を担っています。知識だけでなく、豊かな魂を身につける、フレームの大きな心を持った女性を育てるための教育なのです」

 昨年度より、さらに多くの社会に貢献できる女性を輩出するために、創立時より続いた中高一貫課程とは別に、高校からの3か年課程もスタートさせた。3か年課程と6か年課程ではコース編成が異なり、授業は別々。クラブや行事等は合同で行う。

 「スタート前は6か年課程の生徒と、3か年課程の生徒の兼ね合いを心配しましたが、さすが女性の持つ特性を発揮し、みんなで協力し、相手の気持ちを感じ取りそれぞれ尊重し合っている。新しい風が流れ、校内を爽やかなそよ風が吹いているようです。このそよ風がどんなふうに変わっていくか、楽しみにしています」

現役合格者率96%
医学部医学科への合格者が大幅増
AO入試にも強さを発揮

堀川 義博 校長

 コース編成は、6年一貫課程は3コース。医歯薬看護系に加えて、難関国公立大学・私立ハイレベル理系学部への進学を目指す「医進」。難関国公立・私立大学への進学を目指す「特進」。グローバルマインド、話せる英語力を習得し、私立文系大学への進学を目指す「凛花」。3か年課程は、難関国公立大学、医療系学部・学科への進学を目指す「プレミアム文理」と、国公立大学および難関私立大学への進学を目指す「アドバンス文理」の2コース。「アドバンス文理」は、大阪大谷大学内部進学および指定校推薦の資格を有する。すべてのコースを通して実際に体験することを重視し、身をもって思考力、表現力、判断力をつけるカリキュラムとなっている。

 今春の大学合格実績を見ると、大阪大・神戸大を含め国公立大学へ49名が合格。特筆すべきは、合格者のうち、なんと12名が推薦・AO入試の合格者であるということだ。自主性・主体性・協働性を育む様々なアクティビティに、3年間取り組む同校の学びがこの結果に結びついていると言える。そのほかにも、関関同立89名を含む私立大学には539名が合格しており、現役合格者率は96%、進学率は92%だ。学部学科では、神戸大、滋賀医科大などを含む医学部医学科へ22名、薬学部薬学科73名、歯学部歯学科5名、獣医学部3名、看護学科67名が合格するなど、「リケジョ」の誉れ高い大谷ならでは。

 とはいえ、実は同校では特定の大学や学部へ入るための進路指導はしていない。

 「学び舎は『未見の我』を発見するところだと考えています。個性を認めて伸ばすことが教育の原点。子どもたちと一緒に、その子の光る部分を見つけ、その目標に向かって行けるよう、精一杯フォローすることが我々の使命です。

 中学入学時、偏差値的に飛び抜けて高い子どもが入ってくるわけではありませんが、6年後には国公立や医学部に入学する。わが校は長い歴史の中で、女子の特性を生かした教育のノウハウがあります。論理的で次々に進めていく男子に比べ、ゆっくり積み重ねていくのが女子への教え方。実験を重ねて納得させ、着実に一歩一歩進んでいく。納得すれば女性は強い。納得しなければ不安を感じて進めない。その特性をよく理解しているからこそ、女子教育に強いのだと自負しています」と堀川校長。

 その言葉を裏付けるように、昨年理科の豊田將章教諭が「令和元年(第51回)東レ理科教育賞」で文部科学大臣賞を受賞した。受賞テーマは『身の回りのものを利用したバンデグラフ起電機の製作』。高価な材料を使用せず、鍋などの身近な物を利用して静電気発生装置を製作するという取り組みを、8年間指導してきた。さらに、生徒たちが主体になり、起電機の制作や科学イベントでの実験発表に携わったことなどが、教育上の高い効果につながったと評価されたのだ。

3つの新たなコートが完成
生徒の交流を促進し心の教育の実践の場に

 今春グラウンドの整備が完了し、新コートが完成した。「センターコート」「サウスコート」「恵の杜」の3つである。

 多目的に使用される「センターコート」は、広々としたグランドに美しい人工芝が広がる。「サウスコート」にはテニスコートが2面つくられ、その脇には菜園が設置されている。

 「この菜園は、凛花コースの授業の一つである『ファーム トゥ ディッシュ』のためにつくられました。例えばイチゴを栽培して、それをジャムにします。瓶詰めをして、ラベルのデザインを考え、利益を計算して売値をつけて販売します。製品として販売するまでの流れを学ぶのです」と話す堀川校長の足元では、赤く色づいたイチゴが、収穫を待っていた。

 更に校長は、グラウンドを整備した理由について「体育の質の向上、クラブ活動の活性化もありますが、心の教育の実践の場にしたいと思っています。休み時間や、ランチタイムにはあちこちのベンチやテーブルで、皆で夢を語ってほしい。目標のない子も、思いを語るうちに夢が見つかるかもしれない。そしていろいろな意見を語り、コミュニケーション能力を高める場にしてほしいのです」と語った。

 天然芝が広がる「恵の杜」については、将来的にオールイングリッシュ・スピーキングエリアにと考えている。同校には充実した海外研修のプログラムが用意されているが、研修に参加したい気持ちを高めたり、また研修から戻ってきた子どもが、身につけた英語を生かしたりする場にしたいとのこと。

 今後は、この「恵の杜」でそれぞれが夢を語り、新たな世界へ羽ばたいていく女子たちの、はつらつとした姿が見られそうだ。

 
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