新型コロナに負けない教育環境
各家庭とのやりとりも密に
駅から徒歩8分ほど、閑静なエリアに位置する本校。すぐ近くに同系列の園田学園女子大学・短期大学部もあり、学生街となっている。白くそびえる新校舎は2017年に完成、大きな窓から自然光が入り、木のぬくもりを感じさせる広々とした印象だ。静かで落ち着いた学園内外の様子から、厚田新校長は「3年もしくは6年過ごす中で、心に素晴らしいものを築き上げてもらいたい」と期待する。
「本校は80年以上も前、社会情勢が変化する中で女性の教育の必要性を感じた当時の園田村中村龍太郎村長が建てた学校です。建学の精神『捨我精進』は、自分本位な考え方やわがままな心を捨て、相手の身になって考え、幸せな社会を構築するため勇気を持って挑戦(精進)するという意味。校訓は、『明るく、清く、正しく、強く』。これら2つを礎にさらに前進していきたい」
また、厚田校長の教育・生き方のモットーである「元気で、明るく、一所懸命」をさらなるベースに加えて、生徒はもちろんのこと、学園に関わるすべての教職員、皆が元気に明るく一所懸命取り組むことのできる、そんな学び舎にしていきたいと語った。
「授業や部活動、学校行事などに生徒も教員も、ともに一所懸命、元気に明るく毎日を過ごしてほしいですね」
新型コロナウイルスの影響で4?5月は休校となったが、今年、学校のICT環境がすべて整い活用中だ。生徒1人に1台タブレットを持たせ、毎朝の健康状態から、勉強や学校に関する質問、動画授業、課題の提出など幅広く利用されているという。連休明けからは1日3時間のオンライン授業も行われてきた。
今後は従来通り教科書、ノートなどの冊子を併用しながら、タブレットを使っていく。授業または授業以外で、興味のある事柄を調べてまとめ、タブレットを使って発表する機会も多い。年度末にはクラスごとに1年間の自分の総括を発表し、来年度の目標などを皆の前で発表する。
「ICTに関しては教員も慣れています。本校は教員の平均年齢が35才なんです。若い教員も、生徒たちも順応するのが早い。対応力がありますね」(繁明彦教頭)
また、本校では保護者とのコミュニケーションを図るために、家庭訪問を行っている。可能な限り一学期の間に担任が出かけ、生徒の学校生活の様子はもちろん、自己紹介も行う。
「保護者の方々もお子さんを育ててきた歴史や、自分の生き方など色々お話しくださったりして、すごく親しくなります。その後は本当に些細なことでも、保護者の方からの連絡をお願いしていて、学校からも学校であった小さいことでも報告しています」
生徒の学校生活はもちろん、家庭生活も理解した上で指導する。これは保護者との行き違いも避けられ、好評だという。
希望の進路を最大限にサポート
人的スキルを磨くキャリア教育も
厚田 太加志 校長
園田学園中学では、コース分けがなく少人数制で一人ひとりに合わせて対応。ベースは高校まで6年間続くキャリア教育、国際理解教育だ。キャリア教育は茶道・華道・書の作法などの伝統やマナーを学ぶほか、自己マネジメント能力を育てる名書『7つの習慣』とフォーサイト手帳の活用、地域清掃などのボランティア活動などがある。国際理解教育は、ネイティブ教員とICTによる生きた語学力育成と、海外キャンパスによる研修制度が柱となっている。高校では特別進学コース、進学コース、総合コースの3コースに分かれている。
国公立大・難関私立大学を目指す特別進学コースは、月?金の7限目に5教科の特別講座を実施。夏・冬・春期の休暇にも講座があり、特に夏・春期は勉強合宿が行われる。また全国的な模擬試験を3年間で20回以上受講。生徒たちの希望進路を実現するよう、カリキュラムを組んでいる。
園田学園女子大への内部進学または他の大学受験を目指す進学コースは、様々な進路希望に対し、2年生から5つの系統別授業を行っていく。各生徒の希望に合わせた内容の学びに週の3分の1の時間をあて、進路の実現に到達するための授業を展開している。
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総合コースの進学率は60~70%。専門学校が20~30%、就職が10%の割合だ。多様な進路があるため、幅広く自由に未来を考えてほしいということから、様々な体験実習がある。幼稚園、介護施設、農村体験など、いずれもコミュニケーション能力を高めるための体験学習だ。ビジネス文書実務検定、硬筆書写検定、秘書検定の3種は全員検定試験を受験する。
「将来の自分をつくっていくという視点から、様々なことを学習しています」(繁明彦教頭)
修学旅行はハワイでダンス披露
クラブ活動でも学園生活を謳歌
2年生で行われる修学旅行のメインイベントは、ハワイのホノルルフェスティバルのパレードでダンスを披露することだ。そのため2年生でダンスの授業を取り入れ、基本を学んだ上で生徒が半年ほどかけてダンスをつくりあげていく。残念ながら昨年度は新型コロナの影響により中止になってしまった。「全員がパレードを目標に一丸となって練習しており、いろんな思いでがんばっていたので、非常に辛かった」と、2人の先生方は苦渋の表情を見せた。
また、海外研修制度としてはニュージーランドに学園所有の施設があり、中学3年生の二学期に10日間の研修がある。高校生は希望者のみ夏休みの3週間と、夏休みから12月までの5ヵ月間という2種類の研修から選ぶことが可能だ。
本校のクラブ活動は運動・文化部合わせて25種類。バドミントン部・陸上競技部はインターハイ常連の強豪だ。特に陸上競技部は全天候型の大学の施設で練習できるため、そこで大学生と一緒にレベルの高いトレーニングが可能だ。
「学校は頭と心、体を鍛えるところ、そして青春を謳歌する場だと思っています。時には、辛いことや思い悩むこともあるでしょう。その柱がしっかりしていれば多少の問題もクリアしていけるのでは。友と仲良く、苦しい中にも楽しみを見つけ出しながら、その時々の青春を謳歌してもらいたいですね」と厚田校長が語るように、生徒たちの充実した学園生活が目に浮かぶようだ。
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