無償の資格取得プログラム
難関大学の合格者も多数
竹中 均 校長
長尾谷高校では、スクーリングは原則として月水金の1限目から6限目まで開講している。
「いつでも何度でも授業を受けられるように、他校と比べて授業数を多く設定しています。火、木には学校行事や総合学習も行います。生徒になるべく登校してほしい、学校に慣れてほしいとの考えです」竹中均校長は話す。
課外活動や総合学習も充実しており、全日制以上に多彩なプログラムが用意されている。修学旅行、文化祭、スキー研修など数え切れない程多い。
中学からの新入生には「サポートプログラム」が用意されている。これは固定した時間割で勉強を進めていく制度。新生活を円滑に始めてもらうため、チューター(担任)が履修や悩みの相談に乗ってくれる。ホームルームもあり、友だちをつくりやすい環境になっている。
また、英語上達講座や就職対策講座(パソコン、医療事務、会計ビジネス系)も校内で開かれており、自由に受講することができる。
「どちらも受講は無料です。なるべくご家庭への負担を減らし、無償で提供したいという理事長の方針です」(竹中校長)
梅田校、京都校では、大学受験に特化した対策講座も実施。有料だが、塾や予備校に比べて、かなり安価になっている。これまでに東京大学、京都大学をはじめ多数の生徒が国公立大、難関私大に合格している。
授業料は3年間で55万円程度
補助制度を利用すれば0円に
通信制は学費が安いのが特徴でもある。同校の場合、国からの高等学校就学支援金を適用すれば、3年間にかかる費用は55万円程度。大阪府在住の方は、大阪府の授業料支援補助金制度も併せて受給できれば、さらに安くなる。
「世帯あたりの所得割額によって金額は変わりますので、実質負担0円というご家庭も少なくありません。高額な教育費は保護者の方に大きな負担になります。取得単位や活動内容は通信制独自の特徴があり、費用面でも大きなメリットがあると思います」と正木仁副校長は説明する。
他校を中退して編入学する生徒には、学び直し支援金制度が適用される。
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専願受験が7割まで増加
海外の大学に進学する生徒も
「通信制は、何らかの事情で全日制に通えない生徒の受け皿という存在でしたが、最近はまったく状況が違います。最初から通信制を選ぶ生徒が増えており、入試では専願者が7割を占めるほどです」(竹中校長)
「毎年8月に大阪府認可の通信制・単位制高校8校が集まって合同説明会を行っているのですが、今年も昨年に引き続き、約200名様の中学の先生が来られました。昨年同様、注目度が高まり続けると実感しています」(正木副校長)
少子化の影響で定員を減らす学校は多いが、通信制は逆に生徒が増えている状態だ。 この春、卒業した佃紫帆さんは、硬式テニスで世界レベルの実力を持つ生徒。世界スーパージュニア選手権でベスト16に入る活躍。さらにレベルアップを目指し、練習時間を確保するため、長尾谷高校に入学したという。
「テニスで日本一になり、首席で卒業するという目標を持っていました。授業は熱心でしたし課外活動や行事にもしっかり参加。おかげで志望の関西大学に進学しました」(竹中校長)
海外に滞在しながら単位を取得できる「国際交流プログラム」も用意されており、2週間から3ヵ月の間、カナダ、オーストラリアでホームステイをして、現地の語学学校に通う。英語以外の教科は、ネットで受講してレポートを送れば単位が取得できる仕組みだ。
「中学では不登校だった生徒が、このプログラムに参加して戻ってきたら驚くほど明るくなっていました。環境が変わったことが良かったのだと思います。彼は海外に興味を持ち、カナダの大学に進学しました」(竹中校長)
多様な生徒に応じた学習法を提供していく通信制・単位制高校。今後ますます必要性が高まると感じた。
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