生徒の能力を引き出す環境を整備
学内予備校「龍谷ゼミ」で効果を実証
取材の冒頭、進学実績にふれると、岡田万里校長は穏やかな口調で話を始めた。
「東大に合格した生徒は、実は高1進級時には平均よりやや下の成績でした。高校に入ってグッと伸びたのです。本校では目的意識を持てば、こんなふうに伸びていくことができるのです」
生徒の意欲を応援する環境整備に関しては、同校は非常に充実している。まず、校内に「入試センター」を設置しており、生徒の3年間の成績を一元管理。夜7時30分まで使える自習室にはチューターが常駐しており、職員室の前には質問コーナーが設けられ、いつでも生徒が聞けるよう配慮されている。
高1、高2の希望者には英・数・国(古典)の講習を週に1回実施。高2終了時になると放課後や長期休暇に受験対策として学内予備校の「龍谷ゼミ」を開催。一般の予備校では少ない倫理、政治、地理をはじめ、20もの教科があり、費用は90分1,000円と市価の3割程度。2011年にこのゼミを始め、関関同立への合格者が倍増したという。
また、春夏の休暇時には学外での勉強合宿も。中学は全員参加、高校は成績優秀者のみが参加する。この合宿では校長も自ら教壇に立ち、教科の指導にあたっている。
高校はクラブと両立しながら有名私大を目指す「進学GR」、難関私大を目指す「特進文理」、国公立大を目標とする「特進文理S」、語学と国際性を養う「特進グローバル」の4コース。中学は6年一貫制の「特進」「英進グローバル」2コースとなっている。
30年前から取り組んできた国際教育
独自の教育プロジェクト「KRiP」を展開中
神戸龍谷は国際教育に力を入れていることで有名だ。1985年には早くも英語コースを開設。今でこそグローバル化が叫ばれる時代だが、30年前から国際教育に取り組んできた先駆けである。現在はKRiP(クリップ:Kobe Ryukoku innovation Project)というプロジェクトを展開している。
主要な活動を紹介しよう。まずは、クラブ活動のひとつである「ジュニアボランティアクラブ(JVC)」が中心となるネパールの教育支援活動。
「JVCではこれまでも様々な支援活動を行ってきましたが、数年前に赴任してきた教員がネパール事情に詳しく、『世界でも最も貧しい国のひとつ』と教えてくれたのです。ネパールは仏陀が生まれた国でもあるので、何か支援をしようということになり、4年前から活動を始めました」と経緯を説明してくれたのは、KRiP担当の松下幸世先生。
当初は何から手をつければいいのか試行錯誤だったものの、街頭募金を始めると2年間で40万円が集まり、孤児の保護施設にソーラーパネルを寄贈することができた。そんな矢先、2015年4月にネパール地震が発生。急遽支援を募り、ブルーシートやミルク、支援金を送ったという。
こういった活動を積み重ねつつ、昨年は文科省主催の「トビタテ!留学JAPAN」に参加。このプロジェクトは、生徒自身が留学計画を設計し、現地でのフィールドワークなどに挑戦するプログラム。これにネパールとの交流活動を行いたいと手を挙げた生徒がいた。ネパール社会の勉強から始まり、手紙やビデオレターの交換、そして生徒代表がネパールを訪問し、スカイプを通じて両国の生徒と交流を図った。
アクティブラーニングとしては「グローバルイシュー」。環境問題や経済など世界規模で解決が必要な問題を取り上げ、生徒が主体となってグループワークや討議を行う。その他、英字新聞の記事を教材として活用したり、ニュース検定にもチャレンジしている。
「何はさておき、生徒が主人公です。がんばっている生徒には支援を惜しみませんし、必ずサポートしていきます」と意欲を語る松下先生。
授業改革なくして教育改革はなし
教員も日々、勉強に取り組む
高大連携の一環として、龍谷総合学園の加盟校が参加する「龍谷アドバンストプロジェクト(RAP)」にも加わっている。数多くの高校が集まっての交流学習やフィールドワークを実施。昨年度はRAPのプレゼンテーションコンテストで最優秀賞を受賞している。
また、複数の教科を合体させた授業も積極的に取り組んでいる。ネイティブの教員が英語の記事を解説した後、地理歴史の教員が日本の観光の現状を説明。その後、グループワークを行う、といった教科横断型のアクティブラーニングだ。
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神戸龍谷では、生徒の活動も積極的だが、教員も負けていない。現在、全教員あげての授業改革を実行中である。
「去年の12月に授業研究大会を設定しました。当日は、生徒は登校せず、兵庫教育大の教授に来てもらい、各先生の授業を評価してもらいます。また、教員自身もアクティブラーニングに重点的に取り組んでおり、年度の初めには“どんな手法で実行していくか”という課題を与え、計画書を出してもらっています」と語る岡田校長。
教員同士でも授業見学を頻繁に行っている。「その先生をどれだけ誉めることができるか、という点を重視しています。良いところは伸ばし、改善が必要な点は『こんなふうにしてみれば?』という“ラブレター”を送っています。これからは教師自身がどんどん勉強していかないといけない時代。授業改革なくして教育改革はないと考えています」。
オープンハイスクール(予約不要)
10月2日(日)10:00〜15:00
学校見学会 高校(予約不要)
10月30日(日)
11月6日(日)
11月12日(土)
11月20日(日)
11月27日(日)
いずれも9:00〜15:00
入試説明会 高校(予約不要)
12月10日(土)
10:00〜12:00
※いずれも本学舎にて開催
※詳細はHPでご確認ください
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