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中学・高校受験:学びネット

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大阪信愛女学院中学校・高等学校

 
  英語力強化のために新しい取組みを実践
探究型の授業で主体性を身につける
大阪の私立女子校の中でも、ひときわ長い歴史を持つ大阪信愛女学院中学校・高等学校。明治17年創立、今年132周年を迎えたカトリックのミッションスクールである。保育園・幼稚園から短大まで備える名門だが、4年後に迫った大学入試改革を念頭に、現在、教育改革の最中である。「改革、そして前進」と掲げられたスローガンには、すべての教員・生徒が前に向かって歩めるようにとの思いが込められている。心豊かな女性、そして海外で活躍できる新時代の女性の育成を目指して、変わりつつある伝統校の様子を取材した。

校 長: 柿山 節子
住 所: 〒536-8585 大阪市城東区古市2-7-30
電 話: 06-6939-4391
交 通: 地下鉄今里筋線「新森古市」駅より南へ5分/京阪「関目」駅より東へ15分/地下鉄長堀鶴見緑地線「今福鶴見」駅より北へ15分/地下鉄谷町線「関目高殿」駅より東へ18分
学生数: 中学校 173名
高等学校 471名 (2016.9.1現在)
ホームページ: http://www.osaka-shinai.ac.jp

 

4技能を見据えた英語教育
外部試験への対策を強化中

 2020年の大学入試改革で受験スタイルが最も変わる教科は、英語と言われている。これまでの「書く・読む」だけではなく、「話す・聞く」という英語4技能が要求されるのは確実だ。大阪信愛女学院でもその対策として、様々なプログラムを導入している。まず中2では、5日間の英語集中講義を実施。外部から専門講師を招き、1日2時間、全員が受講する。

 毎年冬には福島県にある「ブリティッシュヒルズ」で模擬留学を行っている。ここは神田外語大学が運営する自然豊かな研修施設で、日本にいながら英国留学の体験ができる場所だ。こういう活動が功を奏してか、同校では中3終了時点で、66%の生徒が英検3級、準2級に合格を果たしている。

 高校になると「プラクティカルイングリッシュ」。英語でプレゼンテーションを行い、表現力や論述力を鍛える授業だ。指導にあたるのはネイティブスピーカーの教員である。夏休みを利用して、オーストラリアのメルボルンにある姉妹校での海外研修は今年20周年を迎えるが、さらに同校への3カ月の留学制度も開始する計画を進めている。

 2020年からの新しい大学入試では、TOEICやTOEFL、GTECといった外部試験のスコアでも判断される予定だ。

 「大学入試改革に向けて、いまTOEICやTOEFLの重要性が高まっています。そのための取組みとして本校でも早い段階から特別講座を設ける方針です」と山岨ひとみ副教頭は話す。

 昨年までは、こういった外部試験の対策講座は教員が担当していたが、今年からより強化を図るため、英会話スクールのベルリッツから講師を招き、「3日間英語漬け講座」として行うことになった。

 「講座は夏休みの補習期間に行ったのですが、希望者を募ったところ、わずか15分で定員(30名)に達し、その後も応募が止まない状況でした。結局、募集枠を増やし3クラス(41名)で実施したほどです」

 受講料は、3日間で14,070円と負担の少ない金額になっている。

図書館の支援を得て取り組む
探究型のパネルセッション

 英語と同様に大学入試改革の柱とされているのが、能動型の入試になる点。具体的には思考力、表現力を問う論述試験、グループ討論、プレゼンテーションなどの導入である。これらを見据えて、高1ではパネルセッションに取り組むのも同校の新しい試みだ。4、5人のグループでテーマを決め、調査を進めていくアクティブラーニングの一環。今のところ前期1回、後期1回の発表を行う予定である。

 「環境という大枠は設定しましたが、そこから何をテーマにするかは各グループの自由。9月24日の文化祭での発表を目指しています。とにかく失敗をしてもいい。評価を得るために無難なテーマを選ぶのではなく、思い切ってやってほしい。大切なのは振り返りなのです。それが必ず今後の発展につながります」と北島倫明教頭は話してくれた。

 このカリキュラムを全面支援しているのが、同校の図書館。大阪信愛女学院には19万冊の蔵書を誇る5階建ての図書館がある。大阪私立中学校高等学校図書館研究会の事務局は、この副館長が担っている。

 「探究型の授業ですから、必然的に図書館での調べものや討議も多くなります。本校の図書館は幼稚園から短大生までが使うので、他の生徒の迷惑にならないかと心配していたのですが、館長が全面的に支援すると言ってくれ、必要な本がなければ購入しますとまで言ってくれました。心強かったです」

 高2になると、ディベード大会も予定している。総合学習の実行委員会を立ち上げ、様々なプランを企画中とのことだ。

キリスト教の慈愛精神を受け継ぎ
活発なボランティア活動

 「“声をかけ、目をかけ、手塩にかける”」を目標にしています」と穏やかに話す柿山節子校長。キリスト教の精神を礎とする同校では、ボランティア活動にも力を注いでいるのも特徴だ。赤い羽根共同募金には昭和22年の第1回から参加しており、東日本大震災が起こった際には、素早く東北へ駆けつけた。この夏も生徒達は岩手県大船渡市で支援活動をしてきたところだ。

 「今年4月に熊本で地震が起こりましたが、熊本には姉妹校である熊本信愛女学院があり、体育館が被災してしまいました。自宅が被害を受けた生徒もいましたので、すぐに生徒や保護者が動き、200万円以上の義援金が集まり送りました。ようやく落ち着いてきた頃だと思いますので、今度は生徒が手紙を書いて励まそうと計画しているようです。人は助けられたから助ける。こういう慈愛の精神は絶対に忘れず、受け継いでいきたいと考えています」

 こう語る校長は自ら毎朝、校門に立ち、生徒への挨拶を欠かさない。その姿を見ていた生徒会の役員も順番で声をかけるようになったという。掃除の後、5限目が始まる前には姿勢を正して5分間の「黙想」も行っている。それは気持ちの切換えと共に自己形成を促す大切な時として定着してきているようだ。

 クラブ活動も盛んで、体操部、水泳部はインターハイの常連である。ソフトボールも強豪として知られている。また、奨学金制度も充実している。これまで入試結果上位10%の生徒は入学金が免除されてきたが、それに加え、進級時に各学年成績上位5%に年間12万円の奨学金も支給される制度を設けた。

 132年を経ても不動の建学精神。一方で新しい社会に対応する機動力。その両者を備えた学校であると実感を新たにした。

 
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