理系に強くなった「アカデミー」
現在、生徒の進路に合わせて特進(アカデミーコース)、準特進(アドバンスコース)、進学(ジェネラルコース)、商業科(スペシャリストコース・セレクトコース)の5つのコースを設け、指導を行っている近江高等学校。平成20年の創立70周年に向け、施設の整備や、「アドバンス」に「理系進学」と「文系進学」と新しく「医療系特進」を設置するなど、学習環境の充実に努力しており、少しずつその成果も見えてきた。
「アカデミー」の卒業生は8期生になるが、初めて関東の国立大学(埼玉大)や関西の公立大学(京都府大、大阪市大)に合格者を出した。また、2年前に「文系アカデミー」か
ら「アカデミー」に名称変更し、理系にも力を入れ始めたことで、静岡大の工学部や同志社・工学部、立命・理工学部など理系学部への合格も果たした。この他、立命館アジア太平洋大学などにも合格している。
また、5期生となった「アドバンス」の実績は、滋賀大(経済)、龍谷、京産など例年どおりの数字をキープした。
進路課進学担当の望月満夫先生は、過去3年間の実績と来年度の目標について次のように話す。「3年間をふり返ると、どうしても主要目標の大学は40名を超えることができていません。来年度は、国公立大は2ケタ、関関同立は全合格数の10%以上、産龍近は全合格数の20%以上を目標に置きたいと考えています。アカデミー・アドバンスの生徒数は昨年度より多いので、のべ人数で50〜55名は合格させたいですね」。
長期目標は、東大合格と神宮球場での同窓会
改革は短期で終わらせず、時間をかけて、めざす学校づくりを実現する。そのため、来年度のみではなく短期(2〜3年後)、中期(5年後)、そして長期それぞれのスパンで具体的な目標を設定した。
まず、短期目標は、「アカデミー」は在校生のニーズもあり、京都大学合格を目指す。
「アドバンス」は滋賀大・県立大のダブル合格を最優先とし、県立大については6期生は理系に強い生徒が多いので、県立大の工学部合格を特に目標とする。医療系特進については、看護専門学校の複数合格を当面の目標とする。
次に中期目標だが、「アカデミー」は京大の他阪大、神大など関西国公立大への複数合格、「アドバンス」は生徒数が年々増加していることも考え、滋賀大、県立大の他、中堅大学で2ケタの合格者数を達成することが目標だ。また、医療系特進では、具体的に滋賀県立大学人間看護学部を目標として掲げている。
長期目標については、「やはり東大です。ぜひ赤門をくぐらせたいですね。それから本校は野球部が強いので、神宮球場で同窓会をやるのが夢です。選手でも観客でも構いません」と望月先生は目を輝かせる。
この他「アドバンス」でも関関同立の複数合格、医療系特進の医学部看護学科への進学も目標に置いているという。
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モチベーションを高めるさまざまな取り組み
同校では以上の目標をクリアするため進路指導はじめ、生徒のモチベーションを高めるための新しい取り組みを一昨年よりスタートさせている。
まずは、なりたい職種を見つけることが学習意欲を高める近道であると考え、1年生の7月の期末試験後より職業観の育成に力を注ぎ、職業体験のできる施設などを積極的に利用している。
また、進路に関するガイダンスは、学年を重ねるに従って細分化して実施し、2年では大学・専門学校・就職に分かれ、3年の最後のガイダンスは大学別に分かれ、直接大学などの担当者から話を聞くシステムをとっている。
今年5月には40校以上の大学・専門学校等の担当者が来校した。他校ではあまり例がないが、保護者向けにも2年生の2月にガイダンスを行っている。第1,第3土曜日の「土曜セミナー」の時間もある。これは通常は80分×2コマを確保している。進路希望調査はガイダンスの予備調査も含めば3年間で7〜8回も実施する。それは、生徒たちに自分自身の「今考えていること」を認識させる効果があるばかりでなく、一人ひとりを追跡することで「揺れ」が見え、そういった生徒は特に集中して懇談することで、進路指導の効果が上がるためである。これらの試みは、確実に進学実績に反映している。
「『アカデミー』を設置し、実績を出すと、外部からはよほどしごいているのだろう、などと思われているのですが、実際はそのようなことはありません。なぜなら、『アカデミー』はまだ新しいコースかもしれませんが、我々教員が長年積み重ねたもののなかで、最も効果があると思われる方法を選び、実践しているだけだからです」と望月先生は胸を張る。
また広報課の山本真弓先生も「よくあいつを関学に入れてくれましたねぇ、などと塾の先生から感謝と驚きの言葉をよく頂戴するのですよ」と微笑む。
短期から長期までの具体的な目標を設定し、情熱をもって創意工夫しながら確実に実績を伸ばしている同校。京都大学や東京大学への合格者が出る日もきっと遠くはないだろう。
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