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中学・高校受験:学びネット

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龍谷大学付属平安中学校・平安高等学校

 
  “主役”である生徒の夢の実現に向け、
時流に乗った教育を自校のニーズに合わせて展開
プレテスト・中学受験者数・入学者の大幅増、中高入試並びに入学後の平均点アップ、国公立大・難関私大への大学合格実績の躍進など、目覚ましい成果を上げている龍谷大学付属平安中学校・高等学校。今や、関西を代表する人気校となった同校では、それに甘んじることなく、時流に乗った数々の取り組みをいち早く展開。建学の精神をベースに、知育・体育の充実、人間力の向上を図り、社会で通用する人間づくりの実践に、教職員が一丸となって努力している。そんな同校の教育の資的向上に向けての取り組みを中心に取材した。

校 長: 燧土(すいど) 勝徳
住 所: 〒600-8267 京都府京都市下京区大宮通七条上ル御器屋町30
電 話: 075-361-4231(代)
交 通: JR各線「京都」駅より徒歩15分/阪急京都線「大宮」駅より徒歩15分/JR嵯峨野線「丹波口」駅より徒歩10分/京都市営バス「七条大宮・京都水族館前」下車すぐ
学生数: 中学校 370名
高等学校 1,424名 (2015.11.1現在)
ホームページ: http://www.heian.ed.jp

 

日本の教育の流れに合わせた
取り組みを他校に先駆けて展開

 龍谷大学付属平安中学校・高等学校は、創立139年という長い歴史をもつ伝統校だ。親鸞聖人のみ教えをもとに仏教精神に基づく情操教育を行うことを建学の精神としている。

 同校では、2012年、燧土(すいど)勝徳氏の校長就任を機に、学校改革が始まった。以来3年、数々の成果を上げ、各分野から脚光を浴びている。

 高校のコースコンセプトは、中堅国公立大・有名私大を目指す「選抜特進コース」、龍谷大学進学を目指す「プログレスコース」、甲子園での全国制覇を目指す「アスリートコース」である。また、中学校では、今春から、京阪神に代表される難関国公立大を目標とする「特進アドバンスト(特A)」、中堅国公立大・有名私大を目標とする「特進ベーシック(特B)」にクラス編成されている。

 成果は顕著で、中学校では、2011年には35人に過ぎなかった入学者が年々増加し、今春は149名と、4・3倍にもなった。中学入試の平均点も上がり、一貫選抜コースの高1生は、中学3カ年間の5教科学習到達度において全国上位層レベルの生徒が倍増。高2生では、その層が6割を超えた。高校入試の平均点も大幅アップ。大学合格実績も国公立、有名私大共に大幅に伸びている。

 その背景にあるのが、教職員の意識変革。同校では特に力を入れており、2013年には年間スローガンに「授業力と担任力」と掲げたほど。目標管理制度の一環である「トライアルプラン」では、各教員が年間目標をPDCAサイクルに落とし込み、「授業満足度アンケート」「学校評価」などを通じて自身を振り返る。その他、様々な取り組みを行い、研鑽を重ねてスキルアップを図っているというわけである。

 さて、今、日本の教育の方向性は、大きな変革期をむかえている。「これからの教育の潮流は、国際社会に通用する人間づくりが主要テーマになり、コミュニケーション能力、英語、サイエンス・リテラシー、ICTリテラシー育成がファースト・ステップとなるでしょうし、その一環として2020年の大学入試改革があると言っても過言ではありません」と同校の校長補佐・平井正朗先生。これらのキーワードに合わせ、教育の資的向上に向けた取り組みを同校では、他校に先駆けて展開している。

 今年は「グローバル英語専修クラス設置委員会」「理数教育推進委員会」「ICT教育推進委員会」「教育研究会」「140周年記念事業委員会」といったプロジェクトチームを立ち上げ、すでに行なっている5教科CAN-DOリストに基づくシラバス・マネジメント、表現力重視のパフォーマンス評価検討、10教科新企画、模試分析会、「センター試験対策プロジェクト」「学校評価」「相互授業参観」「新任研修」「新担任研修」など、“チーム平安”をベースにしたスクール・マネジメントは年々、進化を遂げている。

2017年度より
「グローバル英語専修クラス」増設

 「プログレスコース」では、2016年度高校入学生から、2年次より「グローバル英語専修クラス」が設置される。「国際学部国際文化学科やグローバルスタディーズ学科など英語に重きを置く学部学科の核になれるような生徒を育てたいという思いで、英語に特化したクラスを創ることになりました」と英語科主任の古川博士先生。

 「グローバル英語専修クラス設置委員会」は、いわばそのクラスの準備のための委員会。教務、進路、英語科、国際交流室からなるメンバーが国際学部とも協議しながらカリキュラムや留学制度を設計、さらなる高大接続を強化していくことになる。高大連携教育がさらに進化することは確実だ。到達目標は、「5教科の基礎・基本に習熟することを前提にした上で、高校2年より英語の基礎知識を活用する演習科目を増加し、より高いレベルの英語力を養成するのと同時に、短期(長期)留学等を通じて英語を活かした学部・学科への接続を図る。英語の授業は原則、すべて英語とする」とのこと、英検準1級、GTEC600点、TOEIC700点取得も掲げている。

 「英語の授業時間数は他のコースとほぼ同じですが、その内容が特別なものになる予定です。バランスよく英語の4技能を身に付けさせてあげたいと考えています」と古川先生。

 現在検討中の科目は、高2では英語理解(多読)と異文化理解(テレビ会議システムを活用した、ハワイのPBA=パシフィックブディストアカデミーの生徒との交流)、高3では、英語表現(スピーチ力育成)、異文化理解(ネイティブ教員とのコミュニケーション)、時事英語(英字新聞、インターネットなど、メディアを使った授業)、英語演習(英検対策)。かなり充実した内容になりそうだ。

 英語科副主任の村上幸一先生は、「龍谷大学の先生からは、高い英語力をもっているだけでなく、幅広い視野と教養、見識を備えた生徒を送ってほしいという要望があります。それに応えて、龍大進学後、ひいては社会に出てからリーダーシップを発揮し、将来的に、グローバルに活躍できる人材を育てたいと考えています」と抱負を述べた。

 二人の先生の話から、大きなやりがいを感じている様がうかがえた。

時代のキーワードに合わせた
各委員会を設置

 他の委員会についても簡単に触れておきたい。

 「ICT教育推進委員会」は、ICTリテラシー育成をリードするプロジェクトチームである。電子黒板の校内普及から始まり、大学の情報メディアセンターと連携をとりつつ、後期より龍谷大学と同じ学事情報システム「MANABA」の全校導入を図り、反転授業やタブレットを用いた授業デザインを検討している。

 「理数教育推進委員会」は、数学科と理科の教科横断的レベルで21世紀型授業デザインと自然科学への探求力を深める目的で発足した。数学科では、教員同士がスキルアップを目的に自主的に勉強会を実施して3年になる。すでに新テストにおける「合教科・合科目」に備え、理数研究におけるコラボ、水族館・動物園・植物園との連携を開始。ネイチャー部が、「平成27年度科学教育振興助成」を贈呈されたり、「科学の甲子園ジュニア全国大会京都予選」に参加する中学生が出てきたりと、活発な動きがみられる。

 「教育研究会」では、10教科それぞれ行っているバリエーションに富んだ取り組みを研究紀要として編集、HPでアップしていくとのこと。学校全体が生徒の成長に向けて“躍動”しているのが手に取るようにわかる。

教育の資的向上に向けた
様々な取り組みを実施

 教育の資的向上に向けての他の取り組みも興味深い。

 学習指導要領の改訂に伴う教務内規の見直しと全教科への落とし込みに始まり、各教科の年間到達目標を示した「5教科CAN-DOリスト」の活用はいわば授業の“質の保証”とも言えるものだ。今年からは全生徒が前後期に各自を振り返れるようにスケジュールに盛り込まれているという。また、10教科新企画の今年のテーマは次のようになっている。

■ 国語科:論理力検定の奨励、校内読書運動
【目的】表現力の育成、背景知識の強化

■ 社会科:公民オリジナル問題集の構築、N検定3級全員合格→準2級合格率向上
【目的】社会的事象への興味・関心・時事力の向上

■ 数学科:勉強会、ICT(反転授業、電子黒板)
【目的】スキルアップ→授業へフィードバック

■理科:水族館・動物園・植物園との連携、ICT活用の授業開発
【目的】環境保護の意識強化、若手教員のスキルアップ、授業へのフィードバック

■英語科:音読からスピーチへ 「グローバル英語専修クラス」増設
【目的】アウトプットの発展

 5教科以外の科目でも同様。例えば、作文コンクールでは、中1女子が全日本中学校校長会賞を受賞している。宗教では、「宗教行事における法話感想文の提出」をあげ、同校生徒としての在り方を見つめることを目的としている。中3男子が、宗門関係学校最優秀作文に選ばれたとのこと。また、音楽や美術では、「演奏会・美術館に行こう」と掲げており、鑑賞を通して芸術に触れる体験を目的としている。

 各教科とも、前後期ごとに分掌・学年における振り返りと次の取り組みについての報告が行われている。「模試分析会」「センター試験対策プロジェクト」「模擬分析通信」といった受験対応とともに、真の学力をつけることに主眼を置いた取り組みは注目に値する。

 「学校評価」「相互授業参観」「新任研修」「新担任研修」は、2013年より行われている。「学校評価」の3年間の達成度推移は、教職員、保護者とも安定している。「相互授業参観」では全教員が他の教員の授業を見学して意見を述べあい、自分の授業に活かしている。「新任研修」「新担任研修」は、同校独自の取り組みだろう。同校への採用が内定した新任教員は、月1回のペースで研修を受ける。「新担任研修」は、初めて担任になる教員への指導体制。学級経営、生徒への対応など、事細かな指導が行われている。

今春卒業生の第一志望決定率、95%!

 様々な取り組みの根底にあるのは、「心の教育に基づく人間力と学力の両立。まずは、21世紀型スキルの一つとして、ダイバーシティー(多様性)を受け入れる自由な発想力の育成です」(平井校長補佐)といった時代の流れを見据えた的確な方向付けだろう。だからこそ生徒のために、学校がチームとなり、常に時流に乗った教育を自校のペースに合わせて実践している。それが、生徒一人ひとりの自己実現につながっているというわけである。

 今春の進路状況をみると、卒業生472名の第一志望決定率は、実に95%。体育系・文化系ともクラブ加入者の第一志望決定率93%と、“文武両道の平安”は健在である。この結果も到達目標ではなく、途中経過に過ぎない。

 同校の人気・実績とも盤石なものとなってきており、昨年の中学校入試のプレテストは709人がトライ。また、今年のオープンキャンパスには、中高で約3,000人もの来校者があったという。同中学校入試の平均点が上がっていることは先述したが、今春入学した149名のうち、かなり学力レベルの高い生徒も集まり始めているという。

 「今までは、安全志向も強く、最上位の難関国公立大学を受験しなかったのですが、中1段階から医学部医学科を希望する生徒も出てきており、今年から京阪神をはじめとする難関を目標とする特Aを創った意味があったと思います。学校評価でも生徒や保護者、教職員のモチベーションも上がってきているので主役である生徒一人ひとりの夢の実現にまた一歩前進します」と平井校長補佐は、自信と意欲を見せる。

 来年は創立140周年という、メモリアルイヤーを迎える龍谷大学付属平安中学校・高等学校。今後とも、伝統を生かしつつ、時代の要請に応える先進の取り組みを重ねていくのは確実だ。取材するたび、同校の進化・発展ぶりに感服させられる。そんな同校に、大きな注目が集まるのは当然だろう。

 
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