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中学・高校受験:学びネット

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天王寺学館高等学校

 
  『本当に絵をやりたいと思っているのなら
迷わず打ち込んでみよう!』
芸術コース充実で生徒の心に響く教育を
天王寺学館高等学校は平成14年に創立以来、通信制・単位制・総合学科の柔軟な制度を活用し多様な生徒を育成してきた。美術のジャンルを主要な学びとした芸術系コースの設立もこの高校の特徴と言える。開校以来、絵画や彫刻だけでなくアニメやイラスト、マンガといった日本の新しいサブカルチャーも取り入れて、生徒たちの持つ感性に応えようとしている。美術基礎やスキルを踏まえた上での自由な発想を活かす指導はモチベーションアップにもつながり、個人を向学心あふれる生徒へと活性化させる。2015年度、大阪私学美術展では多数の生徒が賞を受賞。私学写生大会でも金賞受賞者数は参加校トップだった。

校 長: 久井 通義
住 所: 〒547-0041 大阪市平野区平野北1-10-43
電 話: 06-6795-1860
交 通: 御堂筋線「天王寺」駅/(関西本線乗り換え)JR「平野」駅すぐ/地下鉄谷町線「平野」駅より/北へ徒歩約16分/地下鉄千日前線「南巽」駅より徒歩約15分/南へ徒歩約15分
学生数: 806名 (2015.8.10現在)
ホームページ: http://www.tg-group.ac.jp/tgkoko

 

単位制の利点を生かし
多くの芸術系授業時間を設定

 地域に根ざす数少ない狭域性の通信制高等学校である天王寺学館高等学校。開校以来柔軟な教育体制を構築して、全日制や通信制、定時制といった既存の高校教育の枠を超えた独自のカリキュラムを実践している。「通信部=(すべての生徒の共通授業)」に加えて全日制基準で学ぶ「通学部」を設置し、多部制度が運用されている。通信部には総合教養コース・国際教養コース・芸術情報コース・視聴メディアコースの4系列を設置。通学部には文理進学特進コース・文理進学総合コース・文系進学総合コース・理系進学総合コース・基礎総合コースの各コースと美術学習に特化した芸術系進学総合コースの6コースが設置されている。すべてのコースが年3回、コース変更できるため、通学部で入学したものの登校が難しい状態になった場合は通信部へ変更、通信部から通学部への変更も可能。個人の現状基盤を配慮した柔軟な対応が採られている。また、高大連携による集中授業も多数取り入れ、法学、経済学、心理学、理工学、自然科学、芸術(アートの世界、デッサン特講)などの授業が開講されている。京都造形芸術大学による出張講座『コミュニケーション力UPのためのマンガ入門』など芸大、美大の先生からも授業を受けることができる。

 「高校では、進学に向けて主要5教科を学ぶ教育が中心となっています。もちろん本校も一般的な進学指導に力を注いでいますが、一方、高等学校在学時代の多感な時期に芸術を学び、美しいものを見極められるような感性を育てる情操教育は重要です。芸術系科目は主要5教科と比較して遜色がある訳でもありません。とてもやりがいのある学習だと考えます。また、創立時期である平成14年前後は、絵画や彫刻といったオーソドックスなジャンル以外にも、マンガやアニメ、ゲームといった日本のサブカルチャーが芸術のひとつとして認められ始めた時期でした。すべての子どもたちはこの文化に触れています。登校に悩んできた生徒たちはもっとこの影響が大きかったのでないか。家で絵ばかり描いていた子たちです。高校進学に当たり、まず好きな事を入り口にして高校生活を頑張っていこうと考える生徒には、「本当に絵をやりたいと思っているのなら迷わず打ち込んでみよう。好きならば迷うことなくまずやってみよう、そして極めてみよう」と伝えています。

 久井通義校長は『押し付けられたものではなく、喜びや驚き、心情や感動から生まれてくるモチベーションが若者の第一原動力となる』という考えを持っている。この芸術コースに通う生徒のモチベーションはまさに、自分が見つけ、『自分の中から生まれた』ものであり、そこを伸ばしていくことで大きな成長を促そうとしている。

何事も基礎から忠実に、
描くテーマはどこまでも自由に

 通常、芸術科目の授業時間数は高1の時に週2時間程度を学ぶのが標準で、美術コースがある高校でも週6時間程度。一方、天王寺学館高等学校の芸術系進学総合コースでは週12−16時間の実習授業が可能。科目を生徒が選択できる制度のため、卒業単位の半数程度を芸術系科目の学習に設定することもできる。

 通信部の芸術系開講科目(共通選択授業)だけでも、美術1・絵画・デザイン・デッサン・キャラクター造形・芸術鑑賞・色彩論・西洋美術史・日本の工芸の9科目を開講。

 通学部の芸術系進学総合コースでは更に厚みが増す。素描・色彩構成・立体構成の専門基幹科目を中心にデッサン・絵画・立体造形を学ぶ密度の濃い授業が展開される。特にデッサン力は絵を描いていく基礎力であると同時に大学受験における実技試験として最重要のため、秋には講習会も実施している。英数国理社とともに芸術を教育の6本目の主要科目として考える天王寺学館高等学校ならではのコース設定である。

 芸術分野では将来生計を立てていけるのかどうかが難しい、といった印象がない訳ではない。しかし今ではCGやゲームキャラ、マンガ、関連グッズといった商品化ができる分野が生まれ、育ち、そこで活躍する人は数多く、好きなことを職業につないでいくことができる時代の中にある。オーソドックスなこれまでの芸術の世界でも、また新しいアートの分野でも、興味の分野を突き進め、極めていけば進路にも確実につながるというのが芸術系コースで学ぶ方向性の基本にはある。絵や音楽は何かのルールで拘束され『こう表現しなければならない』というものではなく、それぞれの表現形式の中で自らの内面やテーマを形にする自由な学問という純粋性があり、魅力に富んでいる。

 学校は、デザインや色彩構成などの基礎に関してはしっかりと従来通りのものを教えなければならない。これは絵を描いていく者が持たねばならないパスポートのようなものだ。その上で作品制作は生徒の発想に任せる。授業でできない表現はクラブ活動の中で自由に制作することができる。

 大阪芸術大学や成安造形大学との大学連携プログラム、芸術・美術系大学進学希望者を対象とした集中講習、美術館への校外研修、スケッチ旅行など、様々なプログラムで全面的にバックアップされており、より一層生徒たちの夢の後押しをすることになる。

 生徒の多くが進学を希望し、芸術系の大学や短大・専門学校に進むが、中には違う道を選ぶ生徒もいる。京都の染色の専門家に師事し日本の伝統芸術を伝承する道を選んだ者、英国の有数のアートスクールに留学し西洋画を学んでいる者、就職して様々な場所でそれぞれのスキルを発揮している卒業生も少なくない。芸術の学びは偏差値教育から外れることが一面許されていると思うが、進路希望大学によってはセンター試験対策も必要な生徒がいる。生徒一人ひとりが豊かな発想で次に何をしたいか、何を続けていきたいかの幅広い視点に立った進路を決定し、そしてそれを学校がサポートしていく。学校が無理強いすることは決してない。

今年の
大阪私学美術展で
多くの生徒が受賞

 毎年、大阪の私学の生徒が、様々なジャンルでの実力を競う大阪私学美術展に積極的に参加。今年も2年生・3年生が絵画・立体・イラスト・テーマ別の各部門で多くの優秀賞や奨励賞を受賞し、テーマ部門では部門最高賞を受賞。優秀賞5名、奨励賞7名の受賞者を出した。生徒たちの努力はもちろんだが、美術科教員3名のそれぞれの専門分野での指導も実を結んだ。

 「親の期待や確実な将来への希望などが背中にのしかかり、不登校や登校拒否に陥った生徒を持つ親は非常に柔軟な考えを持っています。世の中の価値観や、石橋を叩いて人生を渡ることよりも、子どもの本当に好きなことに賛成し応援していく姿勢がある、それが子どもを成長させる一番いい道だと考えておられます。」(久井校長)

 生きていくための公式などはどこにもない。だから、やりたいのだと思えることができたなら、迷わずやればいい、というのが天王寺学館高等学校の指導方針である。

 芸術系コース(通学部)は各学年15名ほどで、少人数教育が実施されている。ただ絵を描くことが好きで自分の希望に合っていると入学してきた生徒や、登校に悩んできた生徒など入学背景は様々だが、皆に共通しているのは絵やイラストを描くことが好き、色々な素材で形を造っていくことが大好きな生徒たちがここに集まっている。芸術という形式(手段)を通して何かを表現することは自身の内面や想いを表現することに通じる。自己を表現することは難しいが、絵や音楽を媒介としてならできる。この場所には、個々の個性を尊重し合う豊かな時間が流れている。教室内は作品の制作に熱中する生徒たちの明るい声と真剣なまなざしで満ち溢れている。

 芸術系コースは天王寺学館高等学校の教育の一つの柱として成長していると言えよう。

 
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