卒業生の
笑顔はじける成人式
四條畷学園は、同じ敷地内に幼稚園から大学までを併設する。幼稚園児や小中学生らが行き交い、学園全体が家庭的な雰囲気だ。
中学校の校長代理も務める平野養一企画部長は、「本校の合い言葉は『HOME』。生徒と教師、生徒同士、保護者との距離がとても近いですね」と話す。
毎年1月、中学校で開催される「母校で成人を祝おう会」には、卒業生の8割以上が参加。中学時代に戻ったかのような笑顔がはじける。
「『たった3年間だったけど、中学が一番楽しかった』と言ってくれます」と、平野企画部長は顔をほころばせる。
知・徳・体のバランスのとれた教育を進める同校では、学校行事やクラブ活動にも力を入れ、生徒は充実した密度の濃い学校生活を楽しんでいる。6年一貫生を含めて、クラブ加入率は約9割。学校行事は月に1回の頻度で行われる。生徒一人ひとりに活躍の場があり、クラスやチームで一致団結してひとつのことを成し遂げるという経験が、学習面でも効果をあげている。
「受験も団体戦と言われるように、皆で頑張ろうという意識で学習に取り組んでいます」。
実際に3年コースは、北野や大手前などの難関公立高校や、灘、東大寺、西大和などの難関私立高校に多くの卒業生を送り出している。一方、6年一貫コースの第1期生は現在高校2年生だが、半数以上の生徒が、外部模試で難関大学の合格圏に達しているという。
こうした教育内容の充実と実績が評価され、四條畷学園中学校の志願者は、4年連続で伸び続けている。
偏差値50から
上位難関校に挑戦
中学時代は、充実した環境で学び、可能性を広げてほしい。そんな保護者に支持されているのが、3年コースだ。
3年コースには、有名公立・私立高校進学をめざす英数コースと、難関国公立・私立高校を目標とする英数発展コースが設置されている。どちらも共通しているのは、基本の徹底だ。
「入学時点では学習に対して受け身的で、学習の習慣が不十分な生徒もいますので、自主性が生まれるまできっちり指導します」。
提出物のチェックはもちろんのこと、各教科のノートのとり方、まとめ方まで目を行き届かせる。
平野企画部長は、「『HOME』ですから、できるまでとことんつきあいます」と笑顔で話す。
3年生になる頃には、学習の自己管理ができるようになり、苦手分野のプリントをもらいに来る など、自主的に問題を解決できる ようになるという。
中学校の開校から約70年の間に培ってきた中学教育のノウハウは、独自のカリキュラムにも生かされている。国語は、国語Tと国語Uに分かれ、Tは読解中心、Uでは表現中心の授業となる。数学や理科なども分野ごとに分かれる。また、ときには2教科コラボ授業も行われる。例えば国語の教材が「縄文土器」のときは、社会科との合同授業となり、実際に縄文土器に触ってみたり歴史を学び、理解を深める。これらのノウハウは、6年一貫コースにも受け継がれ、成果を上げている。
「日直面談」も何十年も前から行われてきた。これは、担任が毎日の日直当番と面談するというもの。平均すると1人の生徒と月に1度は面談の機会がある。クラスの人間関係やクラブ、成績、進路などについて話し、生徒の状況を把握。メンタル面に気を配っている。
こうした取り組みにより、生徒たちは3年間で成績を大きく伸ばす。200点満点のプレテストで110〜120点台だった生徒が、3年後には東大寺や西大和などの難関校に合格。難関公立高校の文理学科にも合格を果たしている。偏差値にすると50台から15〜20ポイントのアップだ。
もちろん、ただ合格すればよいというわけではない。進路指導は学年団と進路指導部が連携して全員で情報を共有。11月に進路会議を開く。高校で中位以上の成績がとれるか、適性や性格に合っているかと、じっくり検討する。生徒数が160人を超えるため、会議は深夜に及ぶ。
平野企画部長は、「一人ひとりにきめ細かく対応して、3年間で生徒の可能性を広げます」と胸を張る。
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学校から飛び出し
社会へアイデアを発信
6年一貫コースは、社会に出てから自分の考えや思いを実現できる力を育てるコース。そのために、学力と人間力を高める「自分プロジェクト」と名付けたユニークな教育プログラムを実施している。
チームで調べる、まとめる、プレゼンするといったチーム学習が日常的に行われ、段階を追って課題やテーマが高度化する。中学3年では株式学習コンテストに参加し、バーチャル株式投資やレポートを作成する。一昨年は初参加で見事入賞した。
「自分プロジェクト」で鍛えられた生徒たちは、自分の思いや考えを適切に伝えられるようになる。月に一度、様々な職業の人を講師に招く「社会人講座」でも、講演後には生徒から次から次へと質問が発せられるという。
今年の学校説明会で、中学3年の男子生徒が参加者から将来の夢を聞かれ、「花が好きだから華道の先生になりたい」と堂々と答えた。「これまでは男子だから公言しづらかったけれど、社会人講座を受けて、自分の好きなことを追求していけばいいんだと勇気がでました」という。
平野企画部長は、「社会や人生を見る目が深くなっていき、自分の前にやりがいがある未来が待っている感じですね」と話す。
高校生になると、企業を分析して新商品のアイデアを出し、企画書を作成。企業担当者にアポをとり、訪問してプレゼンを行う。また、学校のHPのコンテンツもシステム会社と相談しながら作成している。
「個性の尊重」と「実行から学べ」は、四條畷学園の教育方針。それを見事に具現化した教育がいま展開されている。
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