先進のサポート体制で
生徒の可能性を最大限伸ばす
神戸龍谷中学校高等学校では、10年以上前から学校改革に取り組み、平成14年に現校名に改称するとともに男女共学化を開始、平成17年には中学校を再開した。岡田万里先生が平成22年に副校長として着任、翌年に校長に就任して以来、改革はさらに進んだ。
まず、コースの変更。中高一貫は、英語にさらに力を入れる「英進グローバルコース」と、数学に重点をおく「特進コース」にした。
高等学校のコースは、クラブ活動と両立しつつ有名私大を目指す「進学GRコース」、難関私大を目指す「特進文理コース」、国公立大や医歯薬系学部を目指す「特進文理Sコース」、英語力と国際性を磨く「特進グローバルコース」の4つである。英進グローバル、特進グローバルコースには、交換留学(長期留学、1年間)、セメスター留学(3〜6カ月)の2つの留学制度があり、特進グローバルには短期留学(1カ月)もある。交換留学の場合でも、留学中の取得単位は、そのまま神戸龍谷高等学校の単位として認められるため、3年間で卒業できるというメリットがある。なお、全コースの生徒が、在学中に1回は海外を
経験できるのは大きな魅力だ。
いずれのコースも特色が実に明白で、学力レベルは様々。「ポイントは入学後の伸びしろだと思います。それぞれの生徒の可能性を最大限伸ばすことが大切だと考えています」と岡田校長。
そのために用意したのが、先進のサポート体制。改革の一環だ。入試センターは、その代表といえるもので、在籍する生徒全員のすべての成績データを一元管理し、それらを分析して、各担任にフィードバックする。各担任は学習状況や成績の変動を把握したうえで、的確な学習方法・進路等の指導が行えるというわけである。そのほか、勉強合宿、龍谷ゼミ、自習室、eラーニングなど、多彩な体制が整っている。
勉強合宿は、従来から行われていた中学校(全生徒対象)の合宿に加え、昨年から高校でも、一貫生と特進文理Sコースの中の成績優秀な希望者を対象に実施している。当合宿の狙いはフロントランナーの育成。授業・講義のほか、モチベーションアップを図るための講演も行われる。
龍谷ゼミは、受験対策の課外講習。センター対策や国公立・難関私大対策など、約20の講座が用意されている。
バランスよく、
心の教育と
確かな学力の養成を図る
こういったサポート体制の成果は、様々な面に現れている。そのひとつは、大学進学実績。今春は国公立大22名、関関同立81名、東海大医学部、早大・上智といった首都圏の難関大にも多くの合格者を出した。
関西では私立中学受験率が減少しているが、同中学校は、受験者数が増え、今春の定員を確保できた。ちなみに、今春、定員を確保できた兵庫県内の私立中学は13校(36校中)。同じく私立高校16校(52校中)。中学高校ともに定員を確保できているのは、わずか4校に過ぎないが、神戸龍谷はそのうちの1校という人気ぶりだ。
学校改革の立役者はいうまでもなく、今年、着任5年目の岡田校長。「教育改革を進めるに当たって一番大切なことは、建学の精神を忘れないことだと思います」と語る。
同校の建学の精神は、親鸞聖人の教え。その教えを受け継ぎ、心の教育と確かな学力の養成の2つを車の両輪に例え、バランスよく回していくことが大切と考えている。岡田校長は、「心の教育は、創立以来の不易な部分。学力の養成という流行に走るだけでなく不易な部分を大切にしていくことが重要と考えています」と強調した。
同校では、中学・高校とも毎週1回礼拝を実施しているほか、宗教の授業もある。加えて、3大宗教行事(降誕会、追悼会、成道会)が催され、本願寺への参拝も行っている。 |
教育改革面でも
新たな取り組みが始動
さて、同校のサポート体制は、さらにバージョンアップ中。来年度より、高校(進学GRコースは除く)の土曜授業の内容の見直しが予定されている。現在は普通の授業だが、入試での実践力をつけるための演習と講座に変えるとのこと。「模試・入試の過去問に取り組み、×を確実に○にするための学習法を身につけさせていきたいと考えています」と岡田校長。
教育改革の面でも新たな取り組みが始まった。それは、平成26年度から、グローバル・リーダーの育成を図ることを目的に文部科学省が実施している「SGH(スーパーグローバルハイスクール)」プログラムの実践。SGHの取り組みと同校が目指す教育方針が一致することから、各教科の境界線を越えて、グローバル・イシューに関する授業や大学と連携した授業、企業並びに海外の学校と連携した授業等を取り入れていく。すでに今年の4月からスタートしており、知識そのものを教えるだけでなく、社会人として不可欠な問題解決能力や論理的思考力、表現力、判断力を養っていくことを狙いとしている。
神戸龍谷から、国際的に活躍できる人材が多く輩出される日も近い。
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