「Good morning!」教壇に並んで元気よく挨拶をする宮下良治先生とポケット先生。
SEコースでは週5時間の英語の授業のうち、LLを除く4時間の授業をすべてチームティーチングで行っている。現在6名のネイティブ講師(アメリカ5名、イギリス1名)が常勤し、各学年の授業を担当している同校だが、ポケット先生はSEコースだけではなく、SSコース、IコースのLLの時間も担当する、アメリカ・ウィスコンシン州出身の気鋭の指導者だ。
まずはプリントを配布。短い会話文を音読していく。「Dogs teach their young the value of loyalty and trust」「Oh,it’s okay」 授業は原則として英語のみで進行する。
続いてスクリーンに映しだされたのは動画。犬と人が仲良く遊ぶ映像だ。プリントは、この映像の会話を記したものだった。毎週水曜日、ポケット先生が選んだ動画を使ってネイティブの日常的な言い回しを学んでいく。そんなカリキュラムだ。
SEコースの英語授業はじつに多彩。月・木曜はフォニクス(音声学)。ポケット先生が中心となって正しい発音を身につける。火曜は最新機材を設置したLL教室で宮下先生によるリスニング。ナチュラルスピードでどんどん英文を聞く。水曜は映像を活用した英会話。金曜は文法。そして土曜は確認テスト。徹底的に量をこなすことで基礎学力を上げていく、それがSEコースの基本的な指導法だ。そのため、使用するテキストは教科書を含めて6冊にも及ぶ。
「中学生のうちは、あふれるほど量をこなすのが大事です。そうすれば、ある時フッとわかる瞬間が来るんです。最初から完璧に理解しようとすると無理が出てくるので、ある程度のレベルで充分なんです」と同校で英語指導に携わって19年目のベテラン、宮下先生は話す。
文法の要点は日本語で解説
効果的なチームティーチングを実践
続いては、先週行った確認テストのチェック。解答を説明しながら要点をおさえていく。そして、今日のメイン課題。まずは、宮下先生手作りのスライドを表示。教壇で両先生が即興で会話をしていく。
「How aboutの後には名詞だけでなく動名詞も入ります。3つの使い方がある。こことても重要です。覚えておいて」
授業の冒頭からずっと英語が続いていたが、ここで初めて日本語が飛び込んできたことに新鮮な思いだ。
「6年前にチームティーチングを導入した時はすべて英語で授業をしていました。でも、文法事項を英語で教えると生徒の理解が不十分だとわかったんです。その反省として、文法の要点だけは日本語で教えています。その方が効果的で時間がかからないんです」 |
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英語が当たり前の環境に身を置き
あふれるほど量をこなすのが大事
SEコースで重視しているのが「多読」だ。教室の一角には多読用テキストが常備されており、その数は700冊。図書館にも多読専用の書架がある。徹底的に英文を読んでいくその道のりを多読記録手帳に記録し、現在の語数が一目でわかるようになっている。
「多読のコツは辞書は引かない、わからないところは飛ばす。つまらなかったらやめる。
これは日本語の習得過程と同じです。だから生徒は自然にやっています」
多読は、中3終了時点で通常12、3万語が目安と言われるが、同校では100万語を読んだ生徒もいるという。
中1後半からは音声教材による多聴、多書も取り入れる。朝礼は基本的に英語で行う。毎日提出する日記帳の内容もすべて英語で筆記。
また、外国人講師が常駐する英会話ルーム「チャットルーム」が校内にあり、放課後に開講。お茶を飲みながら英会話を楽しめる場所として活用されている。
このように、日本にいながら“模擬留学環境”を目指しているSEコース。とはいえ、生徒は小学校時代に英語を学んでいる人ばかりでなく、多くがゼロからのスタートである。「英語が当たり前」の環境に身を置くことで基礎学力を上げていく授業。中3で英検の準2級取得を目標に掲げているが、8割以上の生徒が合格する。
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