緑豊かな土地に広がる
キャンパス
ゆとりある環境で
中高大の深い連携教育
最寄り駅からバスで約10分。時間があればのどかな田園風景を見ながらゆっくりと散策したくなる、そんな静かで広大な場所に8年前に建てられたのが、立命館守山中学校・高等学校である。周囲の風景に溶け込むような茶色い壁と黒い屋根が印象的な校舎は、それぞれが独立した形で建てられており、その間にはゆとりある緑の芝生や木々が植えられている。全学年が使えるメディアセンターやコミュニティセンターが中央に置かれ、中学校棟と高等学校棟の拠点になるよう設計されて、中高一貫校ならではの幅広い学年の生徒が混成して学ぶ姿が見られるのが特徴だ。また、グラウンドは2万2千平方メートル。様々なクラブ活動や学校行事に対応できる十分な広さを誇っている。
「圧迫感を与えず、空間と緑で余裕を持った学習環境を整えました。立命館大学びわこ・くさつキャンパスも近く、そちらでの高大連携の授業のために、大学キャンパス内には守山中高の専用の施設も整備しています。」
そう語るのは松井健副校長。通常の高大連携と異なり、附属校生も受講できるよう講座設定を行い、大学生と一緒に授業を受けることができる。生徒たちも大学内での授業に参加する際はさらにいきいきとした表情を見せるのだそうだ。受講した授業の一部を大学の単位の先取りとして認可する予定。大学で4年間かかる単位取得を3年間で修了、一年間の余裕を持ち大学院へ進学してより深い研究を様々な分野で続けてほしいと、現在アカデメイアコース(高大一貫教育コース)を中心としたシステム化を進めている。結果、同校から立命館大学へ進学する生徒数は全生徒の98%近くとなり、大学で自己目標を達成できるよう日々努力を続けている。
また、高校には以前から立命館大学進学を目指すアカデメィアと、医科歯科などの立命館大学にはない学部への進学を目指すフロンティアサイエンスの2コース制を導入していたが、中学でも今年度からフロンティアサイエンスコースを導入した。一貫コースとの2コース制で、2コース間での移動は学年進級時に可能だが、高校進学後は滋賀医科大学と連携し大学レベルの医学教育をはじめとした特別カリキュラムを組むため、アカデメイアとの移動は許可されない。(ただし、立命館大学への内部進学選択は可能)
リベラルアーツを重視した
多様な文理融合教育を実践
立命館守山の教育の基礎となるのは『文理融合教育』。通常の高校では、大学合格のために生徒たちは理系・文系の進学に合わせたクラスに別れたり、授業選択を行うが、立命館守山はその教育に警鐘を鳴らしている。
「例えば理系に進学しても、自己表現やディスカッションには社会の出来事や国際情勢に通じた知識が必須です。しかし、今の理系教育ではそこにつながる社会科学や人文科学系がおろそかにされている。グローバルな社会で生きるには、もっとリベラルアーツ、質の高い深い教養が身につけられるような教育を行う必要があるのです」
小川多聞教頭の言葉通り理系文系に関わらず、多くの体験教育プログラムが実践されている。琵琶湖という豊かな水源に恵まれた農業体験やびわ湖博物館での生態研究、本物に触れる芸術鑑賞など、文理融合の中で生徒たちが様々な発見をすることを大切にしている。また、高校では、海外の各地でプロジェクト型の研修やリサーチ・発信力の育成を目指した多種多様なテーマ別研修が実践される。例えばシカゴ・シアトルでは協力企業に研修に入り、企業から商品開発やサービスなどのミッションを受けて、自分たちで実現可能な案を考え、企業側にプレゼンテーションするというものだ。このような基本的な知識を身につけた上での多様なプロジェクトに対応できる力をつけることで、卒業後は大学でリーダーシップを発揮する卒業生も多い。
「中学入学時に目立たなく、おとなしかった生徒も、大学でサークルの代表になり、卒業後は大手新聞記者として第一線で活躍しています。また、文系の学部に入学した生徒は、理系のサークルに入って実力を発揮、卒業後は理系企業に就職しました。これらは中高での文理融合やリーダーシップ教育などの学びを大学で開花させるという、立命館守山の一貫教育の良さが出たと言えるでしょう」(松井副校長) |
最先端のIT教育を導入
学習意欲をSNSを通じて身につける
今年より導入されるRICS(立命館インテリジェントサイバースペース)と呼称されるICT教育システムは、生徒一人ひとりがタブレットを持ち、独自のSNSを使って学ぶ教育方法である。SNSの中には学習素材をダウンロードできるもの、教員によるチェックが受けられるもの、生徒同士が交流するものがあり、生徒の自学自習をまずは促すことになる。学習素材は生徒により選別されるので、ダウンロード数の少ないものは削除し、新たな演習問題や学習素材が追加される。また、生徒の回答数や正答数によって習熟度や弱点を分析、システムから実力アップにつながる問題を生徒に提案できるようにもなる。
「このようなアダプティブ・ラーニングの学習スタイルは海外でも高い成果を挙げており、今後、導入が進むことでしょう。本校では本年度からの導入で、先進的とはいえますが、指導する教員のスキルアップも要求されます。より、効率的で質の高い指導ができるよう講習を教員に対して行っていきます」(小川教頭)
今後はこのシステムを含め、2020年を目指してより良い教育に向けた長期展望を確立していく時期となる立命館守山。中高大一貫という私立教育の利点を生かし、未来に向ってさらなる高みを目指すために、様々に発展した教育方針で生徒を導いていくことになる。
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