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中学・高校受験:学びネット

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学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

関西大倉中学校・高等学校

 
  学校風土に合った、「緩やかな変革」を旨とし
茨木から世界へ、国際的な舞台で活躍する人材を育成
大阪・北摂の雄大な山並みにいだかれたキャンパスをもつ関西大倉中学校・高等学校。尾崎正敏校長は長年放送界で活躍した経歴をもつが、大学で4年間教授を務めた後、母校である本校の校長として迎えられた。就任4年目の尾崎校長に、母校の思い出や伝統校ならではの「学校風土に合った教育」について語っていただいた。

校 長: 尾崎 正敏
住 所: 〒567-0052 大阪府茨木市室山2-14-1
電 話: 072-643-6321
交 通: 阪急京都線「茨木市」、阪急千里線「北千里」、北大阪急行「千里中央」、阪急宝塚線「石橋」、JR京都線「茨木」の各駅からスクールバス運行
学生数: 中学校 330名
高等学校 1,688名 (2013.11.1現在)
ホームページ: http://www.kankura.jp

 

放送の世界に導いてくれた
中学時代の恩師との出会い

 尾崎校長が中学へ入学した当時、関西大倉学園は旧校舎(大淀校舎)にあり、商業の中心地として賑わう町中にあった。自宅から徒歩10分で通学していたが、中学3年からは移転先の茨木学舎へ足を運ぶこととなる。

 「関西大倉は商売人の跡継ぎの子どもが通う学校でした。松下幸之助が通った学校だから間違いないと、親が商売を継がせる考えで入学させてくれました」と振り返る。

 ところが、中学2年の時に恩師・金林良治先生と出会い、進路は一転する。小学校時代、人前で話すことなどとても考えられないほど内気な少年であったが、金林先生は尾崎少年の心の扉を開き、顧問を務める弁論部へと誘った。弁論大会で発表する高校2年生の勇姿が、同校の「創立百周年記念史」に収められている。

 大学卒業後は放送局に就職、晴れてアナウンサーとしてその手腕を発揮することになる。後に、サラリーマンをしながら大学院で修士と博士を取得し、教育界に転身できたのも先生の親身なアドバイスのお蔭と話す。

 「金林先生との出会いがなければ、今の自分はなかったでしょう。その邂逅のチャンスを与えてくださった母校に恩返しの勤めができていることも、とてもありがたい」。89歳となった恩師との交流が今も続いていることを嬉しそうに語る。

 さらに、当時校長であった高木美喜次先生も忘れられない人生の師であると続ける。高木先生が教員時代、電車にひかれそうになった生徒を助け、自身が左足を切断するという惨事があった。その後、杖をつきながら校長職を務められた姿は、全校の誰の記憶にも留まっていることだろう。

 「先生として、人として大変尊敬しています。もし今、生徒に何か起これば、高木先生にも顔向けができない。生徒は皆可愛い後輩です。身を挺して助けに行かなくてはいけない」と声に感情がこもる。

学校風土に合った
「北風より太陽」の緩やかな変革

 教育現場は常に改革を迫られる厳しい現状にある。時として、校長のトップダウン方式で学校改革が実践されることも少なくない。

 同校は現在約2,000人の生徒を預かる中・高一貫校で、進学校として成長を続けているが、「緩やかな変革」を旨とする。「北風より太陽を」と尾崎校長はイソップ寓話を引用し、温かく見守る態度こそ生徒自ら変革を起こす原動力となると説明する。

 「生徒の特質・特性というのは、どこにどうあるか?原石はなかなか探せないですが、我々は6年かけて見つけるのが使命だと思っています。原石を磨いてこそ教育ではないですか」と自らの恩師との出会いを振り返るかのような言葉には説得力がある。

 非常勤を含めると100人を超す先生が教鞭をとるが、中学棟、高校棟の各学年ごとに教員室を配し、教員と生徒の関係が密になるよう、いつでも相談できる場の提供をしている。生徒には自分の力を引き出してくれる先生にめぐり会ってほしいと思うが、自分とは相性が悪い先生、また友人に出会うことも、社会の縮図を学ぶ上でとても重要な経験を積むことになると尾崎校長は断言する。

 「仏教用語で『怨憎会苦(おんぞうえく)』という言葉があります。世の中には気の合わない人もいることを認識し、共に生きていかなければいけないという体験のなかから、多様性を認め合うという教訓を得てほしい」と先輩社会人としてエールを送る。

 また、校長自身も、生徒の頃より校内を隅から隅まで歩き回っていると笑う。毎朝スクールバスを降りて登校する生徒と挨拶を交わし、クラブ活動の様子を見学し、食堂で談笑し、時には礼儀作法を教える。校庭で出会う先生の話にも耳を傾ける。

 この毎日の営みから学校の課題を見つけることは時間もエネルギーも要するが、実は「穏やかな変革」の根幹を成すものだということに気づかされる。「常に学校を良くしていかなくてはいけない。それも学校の空気、風土に合った方法で」という言葉が印象的だ。

雄大な自然は心を落ち着かせ
感性を育み、教育効果を高める

 生徒確保の点から交通至便な場所へと学校を移転する傾向にあるなか、茨木学舎に移転して50年を迎える同校の展望を尋ねた。

 「今の時代だからこそ、心を落ち着けて勉強に励むことができる自然環境は何にも代えがたい財産。入試説明会でも、まずこのキャンパスに足を運んで実感くださるよう申し上げています」と思春期の6年間をこの地で過ごす価値を強調する。

 日本各地で生息数を減らすモリアオガエルの卵が、最近、裏山の池で見つかったそうだ。キャンパスには植物や昆虫の生きた教材がたくさんある。周りに住宅がないので、昼間から太鼓をたたき、吹奏楽を演奏することができる。広大なグラウンドで思いっきりスポーツを楽しみ、身体を鍛えることができる。文武両道の素晴らしい舞台がある。尾崎校長の話を聴きながら、「自然と教育」の関係について、その奥深さを知った。

 昨年、創立110年を迎えた関西大倉学園。商人の子を育成する学校からスタートし、今では様々な分野で活躍する人材を輩出するまでに成長している。全員が4年生大学に向けて勉強しているが、できれば3教科より5教科を勉強し、全国を視野に国公立を目指し、就職の際も高く評価されるようにと指導する。その一環として、中学3年から、最難関国立大学への現役合格を目指す「Sクラス」を編成し、徹底した上位校受験指導を行っている。

 本年度の進学実績は、京大・阪大・神大へ38名、国公立大へ計177名(六年一貫含む)が合格。保護者から「関倉の先生は、とにかく熱心」という評価をもらう教員の進路指導が功を奏し、今後も右肩上がりに実績を伸ばすだろう。

 「男女・民族・ことばの違いを越えて、国際社会に生きる青年に成長してほしい。そのためには、まず家庭を幸せにし、日本を幸せにし、世界を幸せにできる人材になることです。その順番を間違わずに、自分の周りの人から幸せにできる人になってもらいたい」と尾崎校長は結んだ。

 キャンパスの景色と同様、これからも大地にしっかり根を張り、生徒の個性を開花させる学校として成長されることだろう。

 
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