今年、創立62周年を迎えた清教学園中・高等学校。6年コース生のおよそ2人に1人が現役で国公立大学に合格という大学進学実績を誇る。これまでの教育成果を生かしつつ、「より分かりやすい授業」に向け、新しい教育シーンを創りだしているという同校を訪問し、中2理科を指導する慎先生の授業を参観した。
当日は生物のテスト結果についての解説が行われた。生徒は各自“やり直しプリント”を手元に授業に臨んでいる。テストのやり直しに加え、授業で得た新たな情報を加筆し、完成度の高い“やり直しプリント”を提出するという。
パワーポイントで作成したスライドをプロジェクターで映し、カラーペンで書きこみをしながら解説するスタイルだ。ホワイトボードに映された画面はワイヤレスマウスで操作。PCへの移動を減らすことで生徒の集中力が持続するらしい。
模範解答だけでなく珍解答も紹介されるので時折どっと笑いが起きる。「ウケ狙いや!」というヤジも飛ぶ。解答用紙を全てスキャナで読み取り電子的に採点しているので、必要な解答を貼り付けることができ、小問ごとの正解率も確認できる。 |
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「教師の話に反応があるのは興味を持っている証拠。正解を解説するだけでなく、不正解も紹介して印象づけます」と慎先生。また、人間の消化器官に関する問題では、正解の頭文字で面白いフレーズをつくり、覚えやすくする技も披露。
授業の中盤、「ゾウリムシの映像です。ユーチューブでも見られるよ」と前置きし、ゾウリムシに炭素を食べさせて消化の流れをリアルに伝える動画が流された。実際に体験しにくいことが学べるネット動画やTV番組を、視覚化する素材としてよく活用するという。
一方、同校は履修時間の制約を克服し、体験型学習にも力を入れる。和歌山の海で行われる中2対象の磯観察は人気ある恒例行事だ。「アルコールのパッチテスト、風船を膨らませて肺活量を調べるなど、わずかな時間でも実体験を挟んで授業にリズムを持たせています」と「分かりやすい授業」に挑戦する慎先生の情熱は熱い。 |
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