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中学・高校受験:学びネット

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上宮中学校・高等学校

 
  現場主義を貫いた学校改革
自由闊達な校風の新生上宮
1890年に創立された浄土宗大阪支校を前身校とし、以来123年の歴史を刻む上宮中学校・高等学校。大阪の私学で最も古い伝統を持ち、校舎は大阪府近代化遺産(建造物等)に指定されている。戦前からの進学校で、多くの著名人を輩出していることでも知られる。文武両道を目指す中高一貫の男子校だったが、2011年より男女共学の道を歩む。改革から6年が経過、前校長の右腕として学校改革プロジェクトチームを率いてきた田中裕史校長に、新生上宮の改革の行方を伺った。

校 長: 田中 裕史
住 所: 〒543-0037 大阪市天王寺区上之宮町3-16
電 話: 06-6771-5701
交 通: 近鉄「大阪上本町」駅より徒歩5分、地下鉄谷町線・千日前線「谷町九丁目」駅より徒歩10分、JR環状線「桃谷」駅より徒歩12分、市バス「上本町八丁目」停留所より徒歩2分
学生数: 中学校 344名
高等学校 2,366名 (2013.7.1現在)
ホームページ: http://www.uenomiya.ed.jp

 

「変わらない強さ、変わりゆく強さ」を
コンセプトに進められた学校改革

 本校の学校改革のスタートは6年前に遡る。前・土井校長の指揮で学校改革プロジェクトチームが編成され、若手教職員が中心となって進められた。田中校長が49歳で教頭に就任した年である。その改革が本格化したのが、120年の男子校の歴史を塗り替え、男女共学化をスタートさせた2011年だ。同時に田中教頭が校長に就任。

 「まず、共学に移行した東京の男子校から成功の秘訣を伺いました。当然、進学・就職の進路も多様化しますので、従来のカリキュラムを見直し、また、初めて女生徒を迎えるということで、男子生徒の身だしなみを整える生活指導を徹底しました。トイレや更衣室等の設備の改善なども急務でした」と校長は振り返る。

 そんな校内の努力もさることながら、改革を大きく前進させた要因は、大阪府の就学支援システム(共学化の前年に私立高等学校等授業料支援補助金制度が制定)であり、加えて、本校の交通の便の良さ、周囲に共学校がなく注目度が高かったという好条件が揃った結果だと分析する。また、多くの卒業生が子弟を本校に預けてくれていることも誇らしいと添える。

 「近隣の中学から入学してくれる生徒が増えました。女子は安全面からも近くに通学したいという気持ちがあるのでしょう。共学化を機に地元との交流を深めていきたい」と高等学校の山縣真平教頭。地域社会に開かれた学校へと意欲を燃やす。

 本校の教育活動のコンセプトは「変わらない強さ、変わりゆく強さ」と表現され、ポスターや学校案内等のキャッチフレーズに使われて浸透している。良き伝統は継承し、変えるべきことは積極的に改善するという意味である。例えば、進学率を上げるために、夜遅くまで生徒を残すことはせず、大学選びも学力本位でなく、将来の希望を叶えるための進路指導を徹底。進学校の風潮に流されない上宮の流儀は健在だ。

 浄土宗開祖の法然上人を学校租と仰ぎ、その教えに基づく「生きる力を養い、将来に役立つ教育」の基本理念が脈々と受け継がれている証である。

共学化で学校に活気が満ち、
教職員のモチベーションもアップ

 2010年、男子校として本校が最後に募集した高校の受験生は360名で入学者は250名。大きく定員割れをした。ところが、共学一期生(現・高3生)は内部生を含め900名を超える。期待以上の結果に安堵したが、教室の受容人数もあり、次年度からは合否のボーダーラインを上げ、1学年を700名余りに抑えている。教職員は慣れない女生徒への対応に苦労もあったというが、学力が高い生徒が集まることで、生徒の熱心さ、授業のしやすさというプラス面が大きく、指導のモチベーションが上がったという。実際、成績の上位者の7割以上が女生徒で、今年は級長・副級長とも女子というクラスが誕生したそうだ。

 前述の通り、共学化に伴いカリキュラムの見直しが行われたが、高校の体育の授業にダンスが加わったこともその一つ。外部から専門の講師を迎えて本格的な指導を行い、その成果は昨年9月に京セラドームで開催された体育大会で披露された。

 「当時の高2の女子全員、約260人のダンスは壮観でした。厳しい練習に耐え、多くの保護者や先生、仲間に称えられ、彼女たちの感激も一入でした」と山縣教頭。

 また、ドイツの修学旅行に参加した女生徒は添乗員の仕事に関心を持ち、学校の取り計らいで、仲間と共に旅行社からの職業説明会の機会を得たという。

 「就職活動のために情報を集める女子の行動力に感心しています。男子生徒はとりあえず大学に行けば道が開くと考え、現実的でない」と山縣教頭は指摘する。

 中学生の場合、一般に女子に比べ男子は幼いと言われる。本校の男子中学生は女子を良きライバルにして成長してほしいと期待を寄せる。

現場の声に耳を傾け、
生徒の満足度を高めるのが課題

 変化の激しいこれからの社会を生きるために、中等教育において、「知・徳・体」をバランスよく育てることが大切だが、本校は浄土宗の宗教情操教育により、とりわけ「徳育」に力を注いできた歴史がある。

 「これからは、生徒の学力を自らの努力で伸ばす『知育』に重点をおきたい」と田中校長。本校の中学は全学年共学クラスだが、中学から高校に進学した一貫コースのみ外部生とは混じらず、男子クラスのままである。しかし、国公立を目指すには外部生と机を並べ競争させる方がいいのではないかと、コース再編も視野に入れる。

 本校の改革は順調なスタートを切って進んできたが、今後は新機軸を打ち出すのではなく、改革の内容を見直し、生徒の満足度を高める時期と見ている。

 中学校は特進(難関国公立大学への現役合格を目指す)と標準(国公立大学・難関私立大学への現役合格を目指す)の2コース編成で、共に校外学習を積極的に学校行事に取り入れてきた。今後もその方針を強化する予定だ。

 また、高等学校はパワー(東大・京大・阪大をはじめとした難関国立大への進学を目指す)、英数(国公立大学への現役合格を目指す)、プレップ(私立大学への推薦入学を目指す)の3コース編成だが、プレップコースを中心に結んでいる提携大学を、女子の職業選択に対応できる大学を増やし、女子大見学も積極的に行っている。

 来春、共学一期生が巣立つ。大学から「いい生徒が来てくれた」と称賛される時、改革でまいた種が花開くのかもしれない。

 
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