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中学・高校受験:学びネット

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天王寺学館高等学校 総合学科・単位制

 
  血の通った教育理念を具現化
新キャンパスで特色ある教育を
2010年10月、大阪市阿倍野区から平野区にキャンパスを移転した天王寺学館高等学校。「血の通った教育」を教育理念に掲げ、新天地で特色ある教育を実践している。2002年の開校以来、これほど教育理念を具現化している学校はない。2003年には通学部を開設し、新しい学びのスタイルに注目が集まる。そして創立10年目、将来構想委員会で次の10年を見据えている。

校 長: 久井 通義
住 所: 〒547-0041 大阪市平野区平野北1-10-43
電 話: 06-6795-1860
交 通: 御堂筋線「天王寺」駅(関西本線乗り換え)JR「平野」駅すぐ、地下鉄谷町線「平野」駅より北へ徒歩約16分、地下鉄千日前線「南巽」駅より南へ徒歩約15分
学生数: 748名(平成24年7月28日現在)
ホームページ: http://www.tg-group.ac.jp/tgkoko/

 

柔軟な指導要領が開校の決め手

 生徒からは通称“天学”と親しまれている天王寺学館高等学校の新キャンパスは、JR大和路線「平野駅」北口すぐそばにある。駅ホームからはキャンパスを眺めることができ最高の立地といえる。6階建ての校舎には生徒のラウンジやギャラリー、普通教室はもちろんのこと理科実験室、PC教室、図書館、体育館(シャワー室完備)などが設置。耐震構造についても高い基準で設計されており、充実した高校生活が送れるように配慮されている。

 学校法人天王寺学館が運営している天王寺学館高等学校は、2002年3月に大阪府から設置認可を受け、2002年4月に大阪市阿倍野区松崎町に開校、通信課程を設置した。当時はグループ校の天王寺予備校や関西外語専門学校と敷地を共有していたが、久井通義校長はいずれ広い場所に移転をする考えだったと語る。

 10年一区切りということで久井校長に開校時のことを紐解いていただいた。
現在通信制の学校は全国で216校ある。開講当時は180校程であったという。通信制の制度そのものは昭和37年の集団就職の時代に、働きながら勉強をする意欲の高い人のために作られた制度。ところが50年たって、状況は激変している。元々制度設立時のような生徒はほとんどいないに等しい。新たな時代を迎えて、家庭や時代背景などさまざまな事情で登校に悩む生徒たちが学習を行っているのが現状である。

 このような中で久井校長は「通信制は柔軟な制度を持つ、文部科学省の指導要領にそれほど沿わなくても良いところがあり、自由度の高い学校運営が可能。この制度を生かした今の時代が必要とする高等学校を作り出したいと思いました。」と創立当時を振り返る。全日制では規定が厳しく、融通が利かないことも要因の一つだった。

通信制高校では初めての通学部

 開校時の方針は今も変わらず、卒業資格取得を目的とした高校とは一線を画した新しい学びの場を作りたいという考えだ。時代に翻弄される子どもたちは得てして卒業資格のみに走ることも少なくない。そんな背景がある中、決してそういう生徒ばかりではなく勉強をやりたいという子どもたちが確実にいる。ならば「旧来のあり方にしばられず、学校裁量によるこれまでにない高校を作ろう」と当時の思いを感慨深げに校長は語る。

 教育理念は「血の通った教育の場」。学校法人設立時から使われていた理念を継承してきたものだが、この10年、その言葉が教員一人ひとりの中に生きているように思うと久井校長は話す。そして校訓の自立・自尊・自助。最終目標である自立に向かっていくためにはまず個としてのプライドを失わないこと、しかしながらおごることなく(自尊)、また他に頼らずに自らなんでもやっていける人間(自助)を育てることにあるという。

 社会で自立していくためには、登校し人間関係をいちから作り上げて構築する必要がある。そのために開校2年目に通信制では初めての通学部を設立した。

 「現在は、通学型の学校が他校にできていますが、当時は通学部という言葉そのものも聞いたことがなかった。本校が最初に作ったと思います。勉強を積み上げていくという意味でも通学は必要なコースだと思います」

 時代が求める本物の高等学校を作りたいという久井校長の思いは着々と具現化され、総合学科・単位制のもと、通信部と通学部の多部制で生徒の幅広い進路に対応している。具体的には、通信部は月・水・金の午前授業(総合学科・自由選択科目開講)の中から選択し受講、1ヵ月に1〜2回レポート課題を提出する。通学部は、5日制(月〜金)と3日制(月水金)があり、午前の授業に加えて午後にも授業が編成されている(3年生は4日制も)。コース設定も多彩で、通信部で4コース、通学部で6コースある。

 また、年に何回か転コースが認められており、生徒の心身の状況や学習の姿勢、出席状況によって柔軟に対応している。

※総合学科:
普通科と専門学科(工業・商業・農業・国際教養など)を融合させた新しい学科。

※単位制:
科目ごとに単位修得の成果を評価する卒業認定の制度

生徒像は意欲と向上心のある人

 通信制高校の中で一番気になるのが卒業後の進路だ。公立の通信制高校は、統計によると全国的に見て卒業率が3分の1程度に留まっているようだ。同校の状況はどうだろうか。2011年度の状況を見ると、卒業生214名のうち大学合格者延べ数184名(実人数134名)、短期大学合格者人数16名、専門学校実人数38名。進学率87.9%、就職0、進路未定12.1%という評価できる結果が出ている。進学先の大学を見ても国公立、早慶上智、関関同立など上がっているのは注目だ。これほどの進路結果を出している背景には、入学時の学校の姿勢が一貫していることにある。“天学”の求める生徒像は意欲と向上心のある人だ。「学び」に重点を置き、意欲が感じられない生徒は受け入れない。

 「ペーパーテストはありませんが、面接をしています。創立時は希望者すべてを受け入れていました。勉強に集中できない子もいましたね。でも勉強をしたい生徒が我慢をしていたことがわかりました。生徒の我慢に甘えてよって学校は存続していたのです。それで3年目には決断をし、意欲が見られない生徒の受け入れを断り続けました。その考えを徹底したことが良かったのでしょう。授業は大変落ち着いていて前向きですし、生徒数も戻ってきて、今では生徒数は750名程になりました。」

 2011年度より、「学習指導部」を組織し、進路指導部との連携による取り組みにも着手している。これによりさらに充実した生徒の未来が開けるだろう。

 久井校長が生徒に常に言う言葉がある。「高校時代に勉強をするということは社会に出たときに頑張っていける原動力を養うことだ。進学のために学ぶのではない、これからの時代を生きていくために学ぶのだ。学ぶということによって努力することを知ることである」

 
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