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中学・高校受験:学びネット

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洛南高等学校・洛南高等学校附属中学校

 
  弘法大師の教えを原点に
心の根を育てる教育に邁進
洛南高等学校・同附属中学校は、弘法大師がつくられたわが国初の私立学校・綜藝種智院(しゅげいしゅちいん)をルーツとする宗教校。世界遺産・東寺に隣接しており、通学路も厳粛な環境の中にある。私立中学受験生の確保が厳しい今春にあっても志望者数が増加した同校の人気の秘密は、進学実績での圧倒的優位性もさることながら、仏教に基づいた心の教育にある。中学校開校、共学化と変化を遂げながらも、常に原点回帰を目指す同校の今を聞いた。

高等学校校長: 川田 信一
中学校校長: 青木 純孝
住 所: 〒601-8478 京都市南区壬生通八条下る東寺町559
電 話: 075-672-2661(中学校)
075-681-6511(高等学校)
交 通: JR「京都」駅八条口から徒歩13分/近鉄「東寺」駅から徒歩10分/四条大宮から市バス18・71・207系統で「東寺東門前」下車徒歩3分
学生数: 中学校 730名
高等学校 1,462名 (2012.7.1現在)
ホームページ: http://www.rakunan-h.ed.jp/

 

心の教育の柱となる、御影供法要

 洛南高等学校・同附属中学校の学校案内のパンフレットを開くと、トップには数珠を手に拝んでいる生徒の写真、次の頁にはほうきを手にしている生徒の写真が目に飛び込んでくる。とてもインパクトがあるこれらの写真は、宗教校である洛南高等学校・同附属中学校の教育理念や校訓を如実に表したものといえる。

 校訓の「自己を尊重せよ 真理を探求せよ 社会に献身せよ」は仏教の三帰依を現代の言葉に直したもの。40年以上洛南高等学校で指導に当たり、昨年、校長に就任した川田信一氏は、「生徒たちには、『自己を尊重せよ』とは、自己の持つ仏性を確認するということである、と同時に他人にも仏性が明確にあると確認されるはずであるということ。『真理を探求せよ』とは、自分の都合で物事を見ないということ。『社会に献身せよ』とは、人のため、世のために役立つことを成し遂げることという表現をしています」と説いてくれた。

 仏教を基本において、心の根を育てるのが同校の教育のあり方。その柱となっているのが、毎月21日に行われている「御影供」法要である。自己の根源に思いを致す日として、生徒と教師全員が一堂に会し、校長の講話(高等学校の川田校長と、中学校の青木純孝校長が毎月交代で行っている)を聴き、吹奏楽部の演奏を楽しむ。その後、生徒はこの一月を振り返り、講話を聞いての感想文を書き、HR、掃除をして帰宅。当日は、授業もクラブ活動もない。

 講話において肝胆を砕いているのは、いかに仏教用語を使わないで、現代風に話すかということ。同校の20余名の教師たちから成る宗教教育委員会でも、教師自身が身をもって、日々、生徒たちに仏教の教えを説いているとか。全校挙げて、生徒の心の教育に努めている様がうかがえる。

進学やクラブの実績でなく、卒業生で評価してほしい

 洛南高等学校と同附属中学校の校長は、歴代1人が兼務していたが、昨春、それぞれに校長職を設けた。それから1年。高校の川田校長は、「2人に分けたのは正解だったと思っています」と振り返った。その理由の一つは生徒数が増え、多忙であること。もう一つは、中学と、大学受験を控えた高校とでは感覚の部分で違いがあること。こまやかな教育のためには、校長2人制がベストということだろう。

 中学校では中高一貫教育を行っており、卒業生は、洛南高等学校のV類内部進学コースに接続している。一方、高校から入学した生徒は、V類(A・B)とT類に分かれる。V類は、国公立難関大学を目指す生徒が中心のコース。7限授業が基本で、英数国が手厚いカリキュラムとなっている。T類は、基礎学力を充実させ、適性に応じた大学進学を目指す生徒が中心のコース。基本は6限授業だが、2年生からは7限授業も導入される。

 いうまでもないことだが、洛南高等学校は全国屈指の進学校として名を馳せている。今春も、東大17名、京大85名、阪大41名、神大37名と、国公立大学に357名が合格。早慶にも各37名が合格している。

 「世間一般で洛南が語られる時、進学やクラブの実績がまず取り上げられるようです。しかし、学校の評価というのは実績ではなく、卒業生でなされるべきではないかと思っています」と川田校長は、卒業後の生徒を見て評価してほしいと、静かにかつ熱く語る。それは教師全員の総意として、常に確認し合っていることだと言う。洛南の教育の真髄は、卒業15年後を見据えた指導にこそあるのだ。

 同校の学習の基本は、自学自習。日々の学習はもちろん、高校で行われる学習合宿でも同様だ。これは、1年の7月に東寺境内にある洛南会館で、また2・3年の8月に高野山で行われる伝統行事。一日約12時間の勉強漬けになるが、授業があるのは午前中のみ。残りは生徒が自ら作成した学習計画に基づいて学ぶ。自ら学ぶ喜び、向上する楽しさを身につけていくことだろう。

クラブは、生徒の適性・目的に合わせて2部制で活動

 学習合宿以外にも、同校には行事が非常に多い。体育祭、文化祭、バレーボール大会、水泳大会、バスケットボール大会、合唱コンクール、歌かるた会…。加えて中学校では、オリエンテーション合宿、登山合宿なども行われる。これらの行事は、健全な心身と協調性、献身する姿勢を養うために欠かせないもの。体育祭や文化祭は特に盛大に行われ、クラス単位での競技や出し物があるため、クラス全員が力と知恵を出し合う。

 「体育祭では学年を縦割りにしたブロックごとの応援合戦もあり、非常に盛り上がります」と川田校長。「本校は、勉強ばかりしている学校じゃなく、むしろ子どもたちが青春を謳歌している学校だと思っています。子どもたちが元気なのが一番です」と付け加えた。入学した生徒に志望動機を問うと、「体育祭や文化祭を見て」と答える生徒が多いというのもうなずける。

 行事と並んで盛んなのがクラブ活動。バスケットボール・体操・陸上部は、インターハイや国体、総体で傑出した成績を収めている。また、ディベート部はディベート甲子園で優勝実績もある。同校の体育系クラブの特徴は、全国レベルの実績のある1部と体力づくりを目的とする2部に分けていること。これによって、生徒は適性や目的に合った活動が選択できる。クラブ活動においても、こまやかな配慮がなされていることを示す一例である。

 川田校長に、同校の今後の方向性について尋ねると、昨年同様「原点回帰」という返事。その一徹なまでの信念に感動すら覚えた取材であった。

 
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