サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

金蘭会高等学校・中学校

 
  1世紀の歴史を誇る女子教育のパイオニア
最新の教育スタイルで知性と優しさを育む
明治38年(1905)年、府立大手前高校の前身である堂島高等女学校の卒業生が、浄財を募って創立した金蘭会高等学校・中学校。以来100年余、女子教育の先駆的学園として歩んできた。美しい心と感性を養う「伝統教育」、時代に即した知性を育む「現代教育」を両輪に、女子教育の在り方を模索し続けてきた同校。昨今は電子教科書やデジタルボードなど新しい教育法を積極的に導入し、日々の教育改革を続けている。その最新動向とビジョンを伺った。

校 長: 藤林 富郎
住 所: 〒531-0075 大阪市北区大淀南3-3-7
電 話: 06-6453-0281
交 通: JR環状線「福島」駅下車、北へ徒歩8分/JR東西線「新福島」駅下車北へ徒歩10分/阪神電車「福島」駅下車、北へ徒歩10分/地下鉄「野田阪神」駅から徒歩15分/京阪電車「中之島」駅から徒歩20分
学生数: 中学校 240名
高等学校 449名 (2012.7.1現在)
ホームページ: http://www.kinran.ed.jp/

 

それを学んだら何ができるようになるのか?
目的を明確にし、生徒のモチベーションを高める

JR福島駅からオフィス街へ歩いていくと、白亜のモダンな校舎が見えてくる。朝8時半、校門で出迎えてくれたのは、藤林富郎校長ご自身。ちょうど校門立哨の最中だった。「good morning!今日もがんばろう」。生徒一人ひとりに声をかけている。満面の笑顔。昨今、朝の挨拶に立つ校長先生は少なくないが、藤林氏ほど爽快な挨拶は見たことがない。

 「生徒も教員も生き生きと過ごせる環境を作る。それが校長の仕事だと思っています」と豪快に笑う藤林校長。今年就任7年目。伝統の女子校に現代の風を吹き込んできた改革者である。

 金蘭会は近年、新しい学習法を率先して導入している。その代表は英語教育だ。2009年、全教室に最新のデジタルボードとプロジェクターを設置。電子教科書を活用した授業を行っている。中3の英語科の授業を見せていただいたが、内容の濃さに驚いた。電子教科書の場合、紙の教科書と違い、パソコンから瞬時に指定した音声や画像が流れる。無駄なタイムラグがない。そのため、通常の2倍近いプログラムをこなしている。フラッシュカード、聞き取り、文法解説、単語テスト、筆記テスト……50分の授業に数多くのアイテムが組み込まれ、集中力を途切れさせない工夫がされている。

 ツールだけでなく、教員自身も研鑽に余念がない。英語科の専任教員は、英語指導で評判の灘高の木村達哉先生が主宰する勉強会「チームキムタツ」に全員が参加。常に新しい指導法の研究を行い、授業に反映させている。また、通常授業とは別に、ネイティブスピーカーによるオーラルイングリッシュの授業も実施。こちらは10数人の少人数クラスで会話力を磨いている。

 「本校のキャッチフレーズは“授業が自慢の金蘭会”。指導法を研究し、良いものはどんどん取り入れています。常々教員に言っているのは、“Can do”を明確にしてほしいということ。漫然と学習するのではなく、それを学んだら何ができるようになるのか?目標が伝わらなければ、生徒のモチベーションも上がりません。指導計画を立てる際、“Can-doリスト”を作成してもらい、シラバスにも反映しています」と校長は語る。

授業マイスター制度に勉強クラブ
新しい取組を通して、可能性を広げていく

 2012年度も新しい試みを導入した。まずは、「授業マイスター制度」。これは授業内容が特に優れた教員を表彰する制度で、第1号には中学の英語指導で功績を挙げた中垣優子先生が選ばれた。中垣先生は英語音声学の手法を活用し、わかりやすい授業を行うと評判。

 また、この春から中3対象の放課後補習を開始。英数は週2回、国語は週1回、放課後の時間を有効に使っている。

 ユニークなのは「勉強クラブ」だ。「スポーツや音楽のクラブがあるなら、勉強のクラブがあってもいいじゃないか、ということで、勉強をクラブ活動にしたんです」と笑う藤林校長。平日は19時半まで、土日は9時から17時まで、図書室を活動場所としてみっちりと勉強に打ち込む。部員は現在40名。部員一人ひとりがクラブ日誌(学習記録)をつけ、活動実績を残しているという。

 現場の先生方からこんな声を聞いた。

 「校長は、我々教員がこれをやってみたいと言うと、即座に判断し、良いものはどんどん取り入れてくれます。新しい物事に挑戦しやすい環境です」

 同校を訪ねる度に感心するのは、校内随所に「学習の足跡」が掲示をされている点だ。中学では、生徒全員が英語のスペリングノートをつけているが、その到達度を示す一覧表が廊下に貼り出されている。また、朝の自主学習などで読んだ本の感想を「読書レポート」に記録。その内容もきちんと掲示されている。

 「成果を“見える化”することで、自分の到達度を把握することができますし、お互いに刺激をし合えます」と、校長は小さな工夫を積み上げていく大切さを語る。

伝統の女子校ならではの情操教育
食育と服育で心身ともに健やかな女性を育む

 教科指導と並行して情操教育にも力を入れている金蘭会。歴史ある女子校らしい一面だ。中学では2年次に「教養講座」として華道、茶道、お箏の授業を実施。高校ではさらに本格的。1年で茶道、2年で華道、3年次には礼法(小笠原流)の授業を週に1度実施する。それぞれ1年間のカリキュラムの中で正式な免状を取得することも可能だ。

 近年、「食育」の必要性が問われているが、金蘭会では2009年より中学で給食を実施。小学校で毎日給食に親しんだ子どもたちに、健康的な食習慣と良きマナーを身につけてもらうため、中1は週3回、中2は週2回、中3は週に1回、栄養面に万全を期した給食を全員で味わっている。また、給食のない日も、食堂のメニューから自由に選んでランチを食べることが可能。メニューはすべて100円と配慮されている。

 同時に掲げているのが、「服育」。生活に大きな影響を及ぼす「衣」。豊かな心を育むためには、成長期から美しい装いを心がけることが大切との考えから、近年は服装指導を徹底して行ってきた。その取組みが功を奏して、生徒の身だしなみは非常に良好だ。

 知性と感性。その両輪をうまく動かしながら、100年の歴史を刻んできた金蘭会。その教育スタイルは、これからもどんどん進化していくに違いない。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.