中学3年
メガヒット曲を使用して
聞き取りと同時に深い理解を
大阪薫英女学院高校の国際コースでは、20年以上も前から一年間の長期海外留学が設定されている。現在中学3年の生徒もニュージーランド長期留学を翌年に控えており、夏期休暇を挟む中学最後の夏は、その準備段階の時期でもある。どの生徒も留学に対しては不安よりも期待が勝っているようで、「現地ではスムーズに会話できるようにがんばります」「クラブに入り、海外の友人たちと一年間楽しく過ごしたい」と留学への抱負を語った。
「夏期休暇前には中3までの英語の授業はすべて終わっており、現在は構文やリスニングなどで再度の復習を行っています」と英語教員の松岡美幸先生。
授業を受ける生徒たちの教室に響くのは、日本でも高い人気を誇るアメリカのトップシンガー、レディー・ガガの歌。生徒は仲間とともに、曲にあわせて何枚かのしおりを机の上に並べ始める。それには、歌詞が一行ずつ分けて書かれており、ガガの曲を聞き取りながら順番に並べ、何が書かれているのかを読み始めていく。リスニングと同時に歌詞の本質も理解でき、楽しみながら英語の力を身に付けられる効果的な指導法だ。
一度で並べられる生徒もいれば、繰り返して聞きたいと願う生徒もおり「先生、もう一回聞かせて!」の声に、"In English, please."と松岡先生。フリーでの質問も飛びかい笑顔の絶えない授業時間が過ぎていった。
高校3年
時事問題への理解・考察・雑談まで
すべて英語で行われる授業
高校3年は、すでに一年間の留学を終えた国際科オーラル授業を取材。
担当するのはネイティブ教員のデイビッド・スチュワート先生だ。授業の導入部分では『会話の糸』(会話をするたびに指に巻きつける)を使い、コミュニケーションを取りながら、英語に対する緊張をほぐしていくことから始まる。
黒板に数枚の人物や風景写真が貼られた。松本龍元復興大臣やウィリアム王子とケイト妃、リビアのカダフィ大佐やスペースシャトル…といった、近年世界的に報道されたニュースばかり。そして、先生の指名で生徒が興味ある写真を選択し、チームを編成。
まず一人が写真の内容を説明すると、聞き役の生徒がメモを取る。その後、説明役から質問役にバトンタッチ。今説明したばかりの内容で"クエスチョン"を出し、聞き役だった生徒が答える。このやり取りが終わればチームはシャッフルされ、次の写真へと移る──という繰り返しである。考えられた授業だ。
質問・説明・解答その他の雑談にいたるまで、すべてが英語。しかも、ネイティブ同士の会話と同様の速度だ。英語だけの授業が日常化しており、先生の突然の質問にも、生徒はにこやかに返答。 |
「将来はアメリカで暮らしたい」「外資系の企業で活躍したい」など、生徒たちは様々な夢を持っており、その夢を叶える力が十分備わっていると言う、企画広報部の谷口秀一部長の言葉を裏付けるような授業内容であった。
大阪薫英女学院中高の英検準2級取得者は647名、2級は345名、準1級は38名、1級は1名。(2010年度在籍者総計1005名。中高含む)SELHi校を持つ和歌山県では準1級の県内合格者総数が29名、同じく高知県は31名であり、薫英1校で県全体を抜いている。さらに、大学生でも上級レベルでしか合格できないと言われる1級取得者も、9年間に渡って連続輩出。いずれも全国で類を見ない成果を上げている。これだけの高成績を支えるのは、長期留学だけでなく、今回の授業のように、生徒自身が個ではなく全員で盛り上がって楽しみ、前向きに取り組める同校の教育方針にあることは間違いないだろう。
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