「40周年を節目として、さらにしっかりと校訓の『万物感謝・質実勤労・自他敬愛』を礎に生徒たちを育てて行きたい」と村上靖平校長は語る。
40周年記念として、新体育館が今春完成し、創立者の名前を記念して「村上平一郎メ
モリアルスポーツホール」と名付けられた。同校は「体育コース」があり、体育系クラブも全国優勝の実力を持つ。この新体育館は3階建てで、建築面積が約1,982u、アリーナをはじめ空手道場、日本拳法道場、そして462名収容の階段教室(大ホール)も設置されている。旧体育館も校内にあり、スポーツ施設は一層充実した。
このほか、制服も詰め襟からブレザータイプに変え、新指導要綱の導入に伴い、新1年
生より総合学習として「人間学」を教科に加えた。
建学の精神を学ぶ「人間学」
「人間学」とは、オリジナルのテキストに沿って、倫理・道徳を学ぶ時間である。週1時間、学園訓・校訓をベースに、挨拶や身だしなみ、学習と労働の大切さ、いじめ・暴力行為やボランティア活動・環境問題などについて指導を行っている。
テキストは一つの単元が終われば、感想文を書くページが設けられており、生徒の学びを確認するシステムが採られている。
「新体育館の大ホールでは、警察の方に交通安全と少年非行についてお話をしていただいたんですよ。今後は、人権問題などについての講演を生徒たちに聴かせたいと考えています」と原正朗教頭は語る。また、挨拶の習慣づけと身だしなみを整えることを目的に毎朝校門指導も実施されている。
「いくら知識だけあっても、人間としてしっかりした倫理観や礼儀・マナーを身につけていなければ、社会では通用しませんから」と村上校長は躾教育の重要性について強調する。
進路に合わせ5つのコースを設定
入学すれば1年次は、「体育コース」のほかは「標準コース」になる。1年間は基礎を磨くことを重点に、特に国語と数学はチームティーチングできめ細かく指導を行っている。
「中学の基礎ができていない生徒でも、さかのぼってきっちり教えます。一人ひとりを大切に考え、欠席の場合は家庭への連絡は必ずしますし、長く欠席したり、何かあった場
合は家庭訪問を実施してすぐに対応しています」と原教頭は話す。
2年次になれば、標準コースは「大学進学コース」、「専門学校コース」、「就職コース」、「国英コース」の4つに分かれる。「国英コース」とは、国語と英語を増単位し、文化系の国公立大学や私立大学への進学を目指す特進コースだ。指定校推薦枠も約70校ほどあり、年々進学実績も上がっている。この2年間でも、青山学院大、中央大、関学大、関西大、立命館大、龍谷大、近畿大、京都産業大、桃山学院大、大阪学院大等多彩である。
なお、体育コースは、体育系クラブに所属し全国優勝を目指すアスリートたちの集団で
ある。空手道は10回の全国優勝、陸上や日本拳法も全国優勝の実績がある。野球、バトミントン、ラグビー、陸上などもトップレベルだ。日本一を目指し、全国から生徒が入学してくるため、寮が完備されている。
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充実した進路指導
同校では、生徒の進路の動機付けの機会を与えるため、1年次のカリキュラムの中に様々な選択科目を設定している。ボディ・アクティブと称した最新スポーツを取り入れた体育実技、コンピュータや美術、書道、家庭、外国語など6科目があり、1科目を選択し、週2時間学ぶ。
英語教育については7月に18日間のオーストラリア短期留学を実施している。ホームステイをしながら、シドニーの大学で語学研修を行っている。異文化に触れることも進路を考える機会になる。
高校3年次には、「進路別見学会」を実施。取材当日がちょうど開催日で、今回は大学4校、専門学校13校、企業10社と提携し、実際に授業を体験したり見学をするものだ。企業は機械、印刷、飲食など生徒の興味のある業種が選ばれている。
「今後はこの見学会は、コースが分かれる2年次に実施したいと考えています。進みたい道は早くから具体化する方がよいでしょう」と村上校長。
地域に根付く
「毎年8月末、『ふれあい祭り』と称して、学校を地域に開放して市民参加のお祭りをやってるんですよ。40周年の記念イベントも校内だけで開催するのではなく、地域と交流できるものにしようと検討しています」と村上校長は話す。柏原高校の良さを多くの人に知ってもらいたいと考えているからだ。
「最近はいろいろな問題を抱えた子どもが入学してきます。学力低下や学級崩壊など学校教育も難しいことも多い。しかし、高校に入ったら、再度がんばろう、と思っている生徒には、学力面でも社会面でもしっかり教育し、必ず目標の進路に進むことができるように指導していきます」と村上校長は力強く語る。
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