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中学・高校受験:学びネット

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大谷中学校・高等学校

 
  授業に、進学指導に生きる仏教観 改革を重ね、国公立大進学伸ばす
人は生まれながらに人間なのではなく、他者を受け入れ他者に認められ成長し人間と成る。親鸞聖人の教えにもとづく中等教育を実践し続ける大谷中学校・高等学校。訪れるたび、挨拶を投げかける生徒たちの明るさに心が和む。表情の豊かさ、屈託のない笑い声から、受け入れられている安心感が伝わってくる。厳しい受験勉強も、悩み多き十代の時間も、支え合う豊かさの中で流れている。春、新校長を迎え、永遠性と新風を求め、さらに一歩を踏み出した大谷の今を聞いた。

校 長: 太田 清史
住 所: 〒605-0965 京都市東山区今熊野池田町12
電 話: 075-541-1312
交 通: JR線、京阪本線「東福寺」駅より徒歩5分
学生数: 中学校 234名
高等学校 999名 (2011.9.1現在)
ホームページ: http://www.otani.ed.jp

 

認めて伸ばす教育、
生涯の「学び始め」促す

── 真宗大谷学園の常務理事であり、今春、大谷中学校・高等学校の校長に就任したのは太田清史氏。穏やかな笑みを絶やさず今後に向け抱負を語ってくれました。

太田校長 大谷が教育の根本として掲げる"To Be Human"は、単に能力や体力、キャリアに優れた人物というだけでなく、もっと広く大きくあらゆる可能性を包含した、自他ともに幸せになろうとする人物の育成を意味しています。一方で、国公立をはじめとする大学合格実績やハイレベルなアスリートを輩出するといったニーズも背負っており、この両立についての理解を得ることが、目下の私の課題だと思っています。

── ―大谷は親鸞聖人の教えを、今を生きる子どもたちに分かりやすくインプリントするような教育を実践しています。決して大学への"足がかり的存在"に陥ることなく、明快なアイデンティティを持つ学校として、中等教育の一角を築いています。

太田校長 その点では理念は広く受け入れられていると思います。ただ、理念偏重にならないよう、子どもたちのニーズをしかと受けとめる受け皿(出口保証)を創っていきたいですね。「大谷が大好き」という在校生の声を聞くたび、系列の大谷大学に、より具体的に未来を描ける学部を創出したいという思いを強く持ちます。それが幼稚園から大学院までを有する一貫校の良さを、これまで以上に発揮できる道だと考えています。

── すぐに満足できる結果を出せない生徒に対しても、「それでよし」とあるがままの姿を認める懐の深さが大谷にはあります。

太田校長 卒業生に横浜ベイスターズの福田岳洋選手がいますが、彼は中高時代、結果を出せずに大いに悩みました。それでも好きな野球を卒業後も続け、大学ではスポーツ科学の研究にも没頭しました。結局、野球と研究のどちらにも妥協することなく、京都大学大学院でさらに研究を続けた後、プロ野球選手となって夢を現実のものにしました。大谷のプロトタイプ(典型例)といえるでしょう。

── 野球で今も学び続ける福田選手ですが、学ぶということには始まりがあって、終わりがないといいます。一生、尽きることのない学びの愉しさに出会うほどの財産はないでしょう。認めて伸ばす大谷が、学びの「始まり」を提供している気がします。

着実な改革が結実
国公立進学に伸び

 今春の入試では志願者が前年より231名増の2073名となり、京都府内私学で最多。専願志願者数も前年より75名増の200名と好調である。要因の一つに梅垣道行入試広報部長は、バタビアコースの改革を挙げた。

 バタビアコースは国公立入試対応型のマスタークラスと、習熟度別授業によって得意科目のいっそうの伸長と不得意科目の底上げを徹底したコアクラスで編成される。このバタビアコース全体のカリキュラムを国公立受験型に改訂したのが5年前。教員の世代交代期であった。改訂時高1だったバタビア改革1期生が卒業の2009年度、マスタークラスの国公立大進学者は14名、翌2010年度には20名と増えている(母数はいずれも37)。

 マスタークラス実績の伸びはコアクラスにも波及し、高校全体の国公立大進学者は2009年18名、2010年30名、2011年52名と順調に増加。こうした実績が認められ好調な入試となったようだと梅垣広報部長。

 高校の改革を受け、中学校の改革が始動したのは2010年。特定教科の先取り学習を行うマスターJrと、担任が主要3教科の授業に参加する二人制授業バタビアシステム(中1〜2年次)を採用するコアJrを設置した。入学時にコアJrに在籍の生徒も、1年修了時の編入試験に合格すればマスターへの転クラスが可能というシステムも同時採用している。システム改編と新たな入学者で2010年には13名だったマスターJrクラスは、翌年には22名に増えている。

 これと並行し、国公立二次対策として大学別出題傾向に対応した特別講義(センター試験後、英・数・国に限定して実施)も定番化させ、加えて、今年度から河合塾との提携で校内予備校も開始。国公立を目指す生徒の受験指導を手厚くする方針である。

 指導体制の充実により、校内の至る場所で自習する生徒の姿が見られるようになっている。二か所に設けられた自習室は言うまでもなく、職員室内の質問スペースや校舎各階にゆったりと設けられたフリースペースでは、生徒が教科書や参考書を広げる光景が珍しくない。ちょっとした隙間時間でもすぐに手近なスペースで、あるいは計画的に腰を据えて自学自習しやすい環境が整えられている。

表面だけをなぞらない
関連性の中で学びとる

中学部長を務める大橋眞悟教諭は、国語科の先生。生徒が新しい言葉を獲得するときの様子を話してくれました。

大橋教諭 中学生が未知の言葉を獲得するとき、とても柔軟性を持っていると感じます。知らない言葉と出会ったとき、こちらが意味を噛みくだいて説明するより文脈から想像してごらんと、まず言うようにしています。

辞書に載っている説明は的確でも、実態理解に欠けるということがありますね。

大橋教諭 例えば、教科書で「学童疎開」という言葉が出てくると、辞書を引いても今の中学生にとっては理解し難いことでしょう。体験した世界があまりに違いすぎるためです。そこで、理解の助けになるように、虱(しらみ)やラジオ体操の話をこちらがすると、今度は虱もラジオ体操もピンときません。次に、テレビで震災の被災地が害虫による衛生問題が深刻というニュースを流していたのを思いだし、その話をします。すると、蠅や蚊が大量発生した状況は中学生にも想像がつき、そこから虱を想像し、学童疎開の実態理解に少し近づいていく。そういうことが大切だと考えています。

言葉の意味を人の営みを通して獲得する授業ですね。授業の奥行きを感じます。

大橋教諭 言葉以外でも何かを理解しようとする時、コピーするように覚えるのは大変苦労を伴いますし、楽しい理解の仕方とは言えません。学習は体系的につながっているのですから、関連の中で理解していく、その関連の中にはできれば人を思いやるという視点も組み入れていきたいですね。

人を思いやることが次第に薄れゆく風潮では大切なことですね。

大橋教諭 校訓の一つに「相互に敬愛せよ」ということばがあります。お互いを認め、大切にしようということであり、人の中で生かされている自覚を持とうということです。ご縁を喜ぶ、大切にすることに通じます。先日、定年退職された恩師を送る会に、大谷中学を7年前に卒業した140名のうち100名近くの教え子が集まりました。これも大谷らしさかなと感じましたね。

人間関係も含め、大谷で始まった学びが卒業後も続いていることを教えてくれるエピソードですね。

大橋教諭 卒業生が自分の子を再び大谷に送りだしてくれるケースもあります。私たちにしてみれば、還ってきてくれたという嬉しさと教師をやっていてよかったという喜びを味わいます。親は子を産んで親になるのではなく、育てながら親になっていくと言います。私たちも生徒との関わりの中で、また一つ教師として成長させてもらっています。

大谷高から大谷大学へ
夢実現に向け充実の日々

── 今春、大谷高校を卒業し、大谷大学文学部教育・心理学科に入学した渡邊梓さんが、高校と大学、二つの大谷の魅力を語ってくれました。

渡邊 高校の思い出で印象深いのは、3年生の文化祭ですね。中庭のステージで、クラス全員で創作ダンスを発表したのですが、練習や当日の盛り上がりでクラス全員が意気投合できたことは良い思い出となっています。

── 部活動では何を。

渡邊 女子バスケットボール部に所属していました。私はインテグラルコースに在籍していましたが、部活ではコースの枠を超えた交流もあって、人間関係を深めることができました。校内だけではなく、休日などにも一緒に遊びに行ったりして楽しかったです。

── 先生方とはどうでしたか。

渡邊 先生方はとても身近な存在でした。職員室に気軽に質問に行くことができましたし、受験前には小論文の指導などをお願いすると、お忙しい中でも快く受けてくださり、参考になる資料も見つけてくださいました。
今も友達と誘い合って母校に遊びに行きます。大谷高校で学んだ一番大きなことは、人間関係を深めることの大切さだと思っています。

── 幼稚園教諭を目指されています。大谷大学を選んだ決め手はどこにあったのでしょう。

渡邊 いくつか大学を見学しましたが、大谷大学には小学校の「未来の音楽室」や理科室、小さな椅子、机が並ぶ模擬授業教室など設備が整っていたことが決め手になりました。音楽室には、広々とした空間に多種多様な楽器が置かれ、リズム楽器になるカフォンチェアが並んでいたのです。それらを見たことで、教諭になるという目標が、より具体的な現実感を帯びて胸に残りました。

── 実際に学生生活が始まりました。どんな感想をお持ちですか。

渡邊 まず、授業に驚きました。高校までは、授業は黙って受けるものと思っていましたが、大学では自ら働きかけ、提案するスタイルの授業が行われているのです。子どもの目線に立った、手づくりの道具による遊びの紹介では、グループごとに発表の機会が与えられました。私は割り箸と輪ゴムを使ってつくるゴム鉄砲を紹介しました。最初は戸惑いましたが、1年生のうちから教諭の立場を意識できる授業が受けられるチャンスを活かしていきたいと思います。また、学校ボランティアに熱心に取り組んでいる大学ですので、後期からは幼稚園や小学校で行われているボランティアにも参加したいと考えています。子どもたちと触れ合い、向き合える実践の場として勉強になると思います。

── 渡邊さんのお話から、目標に一歩ずつ近づいてゆく印象を強く受けます。教育・心理学科で学び始めて、何か変わったことはありますか。

渡邊 街中や駅のホームなどで、遠足なんでしょうか、先生と子どもの集団を見かけることがあります。以前は可愛い子どもたちに目を向けていましたが、最近は、自然に先生にも目がいくようになりました。ああ、あんな時は、あんな風に言葉をかけるんだなと。

── 今日はありがとうございました。4年後が楽しみですね。

大谷大学

文学部
真宗学科、仏教学科、哲学科、社会学科、歴史学科、文学科、国際文化学科、人文情報学科、教育・心理学科

短期大学部 仏教科、幼児教育保育科

大学院 文学研究科、修士課程、博士後期課程

 
住 所: 〒603-8143 京都市北区小山上総町
電 話: 075-411-8114(入学センター直通)
交 通: 京都市営地下鉄「北大路」駅下車すぐ
学生数: (文学部)男子2169名 女子1313名
(短期大学部)男子49名 女子167名
(大学院)男子104名 女子35名
(2011.5.1現在)
ホームページ: http://www.otani.ac.jp/nyushi/

 
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