サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

洛南高等学校・洛南高等学校附属中学校

 
  中・高それぞれに新校長就任 より細やかな仏教教育に期待
26年前、1学年3クラスでスタートした洛南高等学校附属中学校は現在、1学年6クラス、全体で約700名という規模となった。5年前には中高ともに共学化し、学校行事も多彩であることから、今年度より中、高それぞれに校長職を設けている。加えて、これまで同一法人であった種智院大学と分離し、法人名を真言宗洛南学園(柴垣弘巌理事長)とし新たな一歩を踏み出した。2人校長制により、さらにきめ細やかな仏教教育の展開が期待されている。

校 長: 高等学校校長:川田 信一
中学校校長:青木 純孝
住 所: 〒601-8478 京都市南区壬生通八条下る東寺町559
電 話: 075-672-2661(中学校)
075-681-6511(高等学校)
交 通: JR「京都」駅八条口から徒歩13分/近鉄「東寺」駅から徒歩10分/四条大宮から市バス18・71・207系統で「東寺東門前」下車徒歩3分
学生数: 中学校 695名
高等学校 1,511名 (2011.7.1現在)
ホームページ: http://www.rakunan-h.ed.jp/

 

原点回帰
手段より目的を

 およそ1200年前、弘法大師空海によって日本で初めて創られた私立学校「綜藝種智院」が洛南高等学校と附属中学校の前身である。真言宗の総本山である東寺の北側に位置し、弘法大師の教えを日々に生かす教育を行うに相応しい環境にある。校内では菩提樹、沙羅双樹など仏教に縁(ゆかり)の深い木々が目を引いている。「こうした肌で感じる環境が大切」と話すのは、4月に高等学校校長に就任した川田信一氏。

 1971年より洛南高等学校で教鞭をとり、中学校教頭を1年、高校副校長を3年務めた生え抜きの人である。これまで中学校、高校の校長は1人が兼務していたが、今年度よりそれぞれに校長職を設けることになった。

 その理由の一つは、中学校が全体で約700名という超える規模となったこと。また、年間を通して、多彩な行事を行っていることから、校長1人制よりも、中高に校長を置くことで、いっそう細やかな教育実践を目指すものと考えられる。

 行事は中学校入学後すぐに行われる高野山オリエンテーションから始まって、文化祭、体育祭はもとより、登山合宿、スキー合宿、研修旅行と宿泊を伴った行事が多い。また、バレーボール大会、バスケットボール大会、水泳大会、合唱コンクール、歌がるた大会などの大会も含めると、済々たる内容である。ここに日常にも増して、行事を教育実践の好機ととらえ積極的に取り組む姿勢がうかがえるのである。

 川田校長に今後目指すべき方向を問えば、ひと言「原点回帰」と返ってきた。「社会が洛南について語る時、進学にしても、クラブ活動にしても、『実績』という言葉を多用しがちです。しかし、洛南の教育は東大、京大、国立の医学部を出た後に、何を成すかにある」と話し、目的と手段を混同してはならないことを強調した。

「医師になるというのは手段であって、医師になって何を成すのかが目的」との明快な例えを挙げた。生徒が将来社会に存在し、社会のどの部分をどう支えていくのか。それを見いだせるよう育むのが洛南の教育である。

 毎年、国公立大学医学部へ数多くの生徒を送り出す同校校長の言葉に、「物の興廃は必ず人に由る。人の昇沈は定めて道に在り」という弘法大師の教育理念が浮んだ。

生徒の15年後を
イメージし教育

 在籍する生徒、保護者に入学動機を問えば、その大半が進学実績を挙げる。だが、既述の通り、仏教教育の目的は、いかに社会の役に立ちながら自己を生きるかを追求する姿勢の涵養にある。そこに至るには、生徒一人ひとりが内なる仏性に気づかなければならない。

 「自己を尊重せよ、真理を探求せよ、社会に献身せよ」の校訓は、仏教の教え「三帰依」を現代の言葉に直したもの。これを分かりやすく生徒に伝えるため、20余名の教師でつくる宗教教育委員会が、発達段階に応じ諄々と説くことをめざし、仏教教育の中核を担っている。一人ひとりの生徒を大切にする洛南の指導である。

 いまひとつは、生徒が卒業して15年後をイメージした指導、つまり迂遠に包み込む指導というものがある。卒業後15年といえば生徒は33歳になっている。職場ではある程度の自由がきくようになり、家庭を築いている者もいるだろう。「そういう時期に、卒業生と偶然に道で会ったとしましょう。その顔が幸せそうで、元気そうであれば、教師にとってこんなに嬉しいことはありません」。教師が生徒の人生にどのように寄与したのか。それを知って満足できる時、教師の仕事に実感が湧くのだという。

 言われてみれば、教育は3年、6年という期間で完成し得るものでは到底なく、生涯をかけて自己錬成のための種を蒔くようなもの。卒業生の15年後の姿も、また通過点といえばそのとおりだが、万古不易の真理の軌道を進んでいるか、そのことを知る一つの目途といえる。

クラブ活動の指導
に見る理念教育

 インタビューがクラブ活動のことに及ぶと、川田校長はこの日、初めて相好を崩した。洛南高等学校では陸上部、体操部をはじめ活躍目覚ましいクラブが多い。「たとえば陸上部で(生徒が)優勝してくれるのはもちろん嬉しいですが、高校時代には結果を出せなくても箱根駅伝で走る姿を見たりするともっと嬉しい」という。部活での指導が「促成栽培」でなかったことを知るからだそうだ。

 高校時代にクラブ実績を重視するあまり、選手に無理をさせると身体を痛めたり、大学で潰れてしまうことが多い。アスリートとしてピークは高校時代ではないことを顧問が十分認識し、何年か後、パワーと技量が頂点に達する時へ期待をつなぐ。それが洛南のクラブ指導の特色だという。

 第10回世界陸上のマラソンで4位入賞を果たした高岡寿成さん(現・カネボウ陸上競技部コーチ)は、陸上部時代には身体がそう頑強ではなかったという。だが、顧問は決して無理な指導をせず、高岡選手の身体がいつか迎える最善の時に希望をつないだのだ。その顧問の指導を川田校長は称えたいと、温厚な笑顔で語った。教育理念がクラブの指導にも浸透していることがうかがえるエピソードである。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.