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中学・高校受験:学びネット

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上宮中学校・高等学校

 
  文武両道の伝統校が共学化 新校長とともに改革推進
法然上人を学校祖と仰ぐ上宮中学校・高等学校は、創立121年目を迎える、関西でも屈指の伝統校。文武両道校としても知られ、卒業生に作家の司馬遼太郎氏やロサンゼルス・ドジャースの黒田博樹投手など、数多くの優秀な人材を輩出している。120年の長きにわたって男子校だったが、今年4月から共学校として、新しい一歩を踏み出した。同時に新校長が就任。全校挙げて、生徒一人ひとりの学力の向上と人間力の養成に力を注いでいる。

校 長: 田中 裕史
住 所: 〒543-0037 大阪市天王寺区上之宮町3-16
電 話: 06-6771-5701
交 通: 近鉄「大阪上本町」駅より徒歩5分、地下鉄谷町線・千日前線「谷町九丁目」駅より徒歩10分、JR環状線「桃谷」駅より徒歩12分、市バス「上本町八丁目」停留所より徒歩2分
学生数: 中学校 463名
高等学校 1,861名 (2011.7.1現在)
ホームページ: http://www.uenomiya.ed.jp

 

浄土宗を母体とし、教育理念は「より厳しく、より温かく」

 上宮中学校・高等学校の母体は、法然上人が開かれた浄土宗。その教えは、教育の基本理念として息づいている。

 例えば、校歌は「月影の いたらぬ里はなけれども 眺むる人の 心にぞ澄む」という法然上人作の和歌で、仏様の慈愛について詠ったもの。簡単にいうと、"月の光(阿弥陀佛の光明)は、いたるところを照らしているが、月に思いを向けた時にのみ、その明るさに気がつく"ということで、生徒たちには、学校においては先生の言葉が、家庭では保護者の言葉が月の光だと例えている。

 校訓の「正思明行」は、正しく考え、明らかに行動するという意味で、正しいと思ったことを単に思うだけではなく、実行に移し、それを継続することの大切さを説いている。また、校訓を実行するために学順があり、それは一に掃除(身の回りも気持ちも整理整頓すること)、二に勤行(何事にも一生懸命取り組むこと)、三に学問(知識だけではなく、知恵を身に付けること)。このように同校では、教育の場で法然上人の人道と仏様の慈愛を教えているのだ。

 生徒を指導していく際の教職員のモットーは「より厳しく、より温かく」。全教職員がこれを教育理念として、学習・生活指導に心魂を傾けている。

 さて、上宮中学校には、特進と標準の2つのコースが設けられており、ともに6年間一貫教育。独自の教育体制で学力と人間力の育成に努めている。一方、上宮高等学校は、パワー、英数、プレップの3コース。パワーコースは、東大・京大・阪大・慶大・早大への進学を目指すコースとなっており、英数コースは主要5教科を徹底的に習得し、国公立大学への現役合格を目指すコース。プレップコースは、設置4年目のコースで、連携大学への推薦入学を主体としている。いずれも単に大学進学が目標でなく、その先にある生徒一人ひとりの将来の夢や職業を見据えた指導を行っているのが特徴だ。

男女共同参画社会への対応、女子生徒受け入れ希望に応えて共学化

 創立以来2回目の還暦を迎えた今春、同校は共学となった。この大改革に踏み切った背景には、男女共同参画社会への対応、大阪唯一の浄土宗の学校ということで、卒業生の子弟の女子入学を希望する声が高まってきたこと、学校運営上の戦略という3点があった。

 共学化にあたっては、3つの分科会を作り、環境整備、カリキュラム、生活指導の各面について検討を重ね、保護者の建設的な意見も取り入れて準備万端で臨んだ。共学第1期生となる平成23年度では、女子の数がかなり少ないのではないかとの予想に反して、多くの女子生徒が受験。入学者数は、中学校が男子98名に対し、女子35名(26.3%)、高等学校では男子531名に対し、女子273名(34%)と、中・高とも同校の希望であった30%前後に落ちついた。

 学校内の変化について問うと、「華やかになりましたね。男子だけだと、次の授業開始時への集中力が遅い傾向にあったのですが、授業と休憩時間の区別がハッキリしてきたという声もあります」と、4月から新校長に就任した田中裕史先生。また、「女子はどちらかと言うとコツコツ学習するタイプの生徒が多いので、男子はその点を見習ってほしいと思っています」と期待を語った。

「知・徳・体」のバランスの取れた教育に取り組みたい

 田中校長は、大学院卒業後、同校に着任した生え抜きの先生。浄土宗のお寺の住職でもある。前校長が校長に就任した6年前に教頭となり、前校長の右腕として学校改革に尽力してきた。

 その改革内容は、身だしなみ(服装、頭髪等)の徹底指導、学校から家庭へ携帯メール配信、学級懇親会の改善、教師と生徒の個人面談など。プロジェクトチームを作って3年間実施し、ひとまず成果をみた。その後も引き続き取り組んだ結果、今では、生徒の身だしなみの良さには定評があり、担任教師と保護者との関係も密になったとか。「女子の受験者が多数だったのも、男子生徒の身だしなみの良さが保護者に好印象を与えたことが一因ではないかと思います。一方、改革に取り組むことによって、教師側のモチベーションアップにもつながりました」と田中校長は言う。

 歴史と伝統のある上宮中学校・高等学校だけに、「変えてはいけないところと、変えていかなければいけないところがある」と語る田中校長。今後も校訓、学順の精神は遵守する決意だ。もちろん、従来からの改革は継続する。反面、共学となったことで、男子校ならではの言葉遣いの荒っぽさは改めていく必要がある。それが、"新しい上宮"を作るきっかけになると考えている。

 さらに、田中校長が必須と位置づけているのが、基礎学力の定着。「文武両道」は変えることなく、特にプレップコースの基礎学力をしっかり定着させていくことを課題としている。

 「現代社会では、『知・徳・体』の『徳』がないがしろにされているきらいがあるので、とりわけ力を入れ、心を豊かにする教育に取り組んでいきたい」と田中校長は抱負を述べた。今後の上宮の生徒たちは、男子と女子が互いに切磋琢磨し合い、優れた学力はもちろん、従来以上に確かな人間力を身に付けて成長していくに違いない。

 
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