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中学・高校受験:学びネット

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好文学園女子高等学校

 
  改革1期生、特進コースで国公立へ6名 マンガアニメコースはプロ作家へ道拓く
企業人としてのキャリアを持つ延原観司校長(理事長兼任)の就任から4年。地道に改革を進めてきた好文学園女子高等学校(旧大阪福島女子高等学校)が生まれ変わりつつある。「なぜ、学ぶのか」素朴な問いかけから始まった意識変革が生徒の意欲を引き出した。「なぜ、この授業をするのか」情熱あるがゆえ悩んだ教員はカリキュラムを見直した。「なぜ」と問い直すことの成果は、好文学園1期生の巣立ちとともに明らかになった。セカンドステージへと改革を進める女子高を取材した。

校 長: 延原 観司
住 所: 〒555-0013 大阪市西淀川区千舟3-8-22
電 話: 06-6472-2281
交 通: JR東西線「御幣島(みてじま)」駅徒歩約12分、阪神本線「千船」駅徒歩約6分、阪神なんば線「出来島」駅徒歩約15分
学生数: 904名 (2011.5.1現在)
ホームページ: http://www.koubun.ed.jp/

 

「数値目標」と「義理・人情・浪花節」のバランス感覚が築く
実績の出る教育環境

 創立70余年の女子高が好文学園女子高等学校と改称し、新校舎で新たなスタートとともに特進コースを設置したのが3年前。「あえて中堅女子高を目指す」と宣言した延原観司校長が、最初に取り組んだのは生徒指導の徹底だった。毎朝校門で挨拶とともに生徒を迎える。なぜ、挨拶を交わし、身だしなみを整えるのか。「その意義が理解できる指導を」と延原校長は全教諭に申し渡した。

 なかなか指導に乗らない生徒がいれば、そこには必ずそれなりの理由が存在する。一人ひとりの事情に寄り添った指導が必要と考えた。「結局、教育は義理と人情と浪花節なんですよ。」と、延原校長は言う。問題を抱える生徒については結果報告ではなく、初期段階から適宜報告書の提出を求め、その都度適切な指示を出す。直接生徒と話をし、保護者との面談も進んで行う。「校長室は常にオープン」が口癖だ。その理由を「教育現場での経験がなく、実態をつかみたかった。何事も現場第一主義が大切です。」と明かす。

 経験がないからこそ自ら現場に飛び込む姿勢が改革に生きたともいえる。まず、数値設定のない抽象的な目標管理に延原校長は無意味さを感じた。例えば、遅刻が改善しているという生徒の改善度を示す数値はそれまで不明だった。改善の度合いを正確に知ることは、次の指導法を選択する根拠になる。10%と50%では指導は違って当然である。

 校務運営にもマネジメントを重視した校長は、さまざまな場面で数値管理を求めているが、右手でPDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルを回しながら左手で「義理・人情・浪花節」で温かく生徒を包みこむその絶妙のバランスが教育現場で生かされているというべきである。改善の結果、今では和やかな挨拶が毎朝校門で交わされ、身だしなみを注意することもほとんどなくなったという。

 こうした学習環境の整備が学力向上に結びついていることはいうまでもない。今春、特進コースでは和歌山大、大阪府大、兵庫県立大、県立広島大に6名の合格者を出している。私立では関関同立7、産近甲龍16など、コース在籍者11人からすれば堂々の実績だ。学力向上委員長を務める長谷川昌樹教諭は、「保護者は合格実績で判断される。一からのスタートは厳しかったが結果を出せてよかった。さらに一般コースにまで波及し、京都女子大、京都産業大学合格など、過去最高の結果をもたらした。」と笑顔を見せる。

 一般に、国公立や難関私大を目指すなら中学時代から準備が必要といわれる中、ある程度の基礎力と意欲さえあれば高校から受験準備を始めても合格できることを実証した。特進1期生が入学後間もなく受けた河合塾の全国統一模擬試験と高3プレ模試を比較すると、平均偏差値は5ポイント上昇している。シラバス、テキスト選定、授業方法など河合塾の全面バックアップを受けた特進コースは、好文学園の教師の授業力向上と受験指導に効果を発揮し、効果的な学習方法などそのノウハウの蓄積と継承が進んでいる。

 それまでは叶わないとあきらめていたような難関大学に合格した生徒にとって、チャンスメーカー好文学園の面目躍如といえるだろう。

創作活動が育む
技術と内面

 4月初め、新任・若手教員18名を対象に、延原校長からの「好文学園が求める教師像」の話のあと、外部講師による5時間に及ぶ研修が行われた。コミュニケーション能力と授業力向上のための一環で、好文改革はセカンドステージに入っている。生徒の関心を喚起し、どんな教材を選定するのか。今後、教科会議の場で議論が活発化しそうだ。長谷川学力向上委員長は「河合塾全統模試やベネッセの基礎力診断テストを指標に、数値目標を設定し、さらに生徒の学力向上、教師の授業力向上に取り組んでいく」と具体的な方向性を示している。

 もっとも、授業力が物を言うことを一足早く実証した教諭もいる。マンガアニメーションコースの山口勝己教諭だ。同コースの1期生が入学した頃、授業進行に不満を持つ生徒たちと徹底的に議論した経験をもつ。その中で「生徒がどんな考えで何を求めて入学してきたのか。また、自分がなぜ、この授業をやるのか(1時間ごとの必然性)を問い直すことができた」と振り返る。生徒の意欲を引き出せるようカリキュラムをつくり直しもした。

 授業に集中できる環境が整ったことで、教室に活気が出た。コース生の中には2年修了時にマンガ大賞に応募したのを皮切りに、次々と入選と受賞を繰り返す者も出てきた。出版社から担当者がつけられ、プロの道を着実に歩みだしている。それに続く2期生も次々と各賞を受賞、高校の普通科とは思えない画期的な実績を挙げている。

 無論、単にマンガを描くことのみに関心があるだけでは賞を獲ることはできない。ストーリー性、展開力、1つの作品を完成させる忍耐力などが求められる。いわば、内面が問われる創作活動だ。生徒の人格形成に与えるものも大きい。山口教諭は「マンガの勉強は厳しいが、潜在的な経験、能力となって生徒のその後に必ず生きる。読む人の立場に立った作品づくりは客観的視点も養える」と話す。

 07年に開設されたマンガアニメーションコースは、今春、入学生125名を数え、開設当時の約1.7倍の生徒が学んでいる。その魅力を知ってもらおうと、山口教諭は中学校での出前授業や夏の体験学習を担当してきたが、最近は受講希望がますます増えているという。

 

変革のDNAを託して

 学園の名物授業に「パーソナル・ファイナンス講座」がある。延原校長によると、ファイナンス理論の根幹ともいえる「不確かさとのつき合い方」を教える意味もあるという。今や変化は不可避の時代。情報を収集し、分析し、予測を導き出し、向上心を持って変化し続けること。そんな啓発を続ける学園に今春も397名が入学した。変革のDNAを受け継ぎ、3年後に大きく羽ばたいてほしいものだ。

 
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