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中学・高校受験:学びネット

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開智中学校・高等学校

 
  全人的資質を磨く環境づくりへ 時代に即し微調整続ける中高一貫
ここ数年、国公立大学への進学実績を飛躍的に伸ばしてきた開智中学校・高等学校。そのスタンスを堅持しながら、プラスアルファの教育展開を図る段階と語るのは法人本部長の土井和正氏。新たな施設アカデミック・ラボとサイエンス・ラボを公開、その設置の目的について語った。そこから浮かび上がってきたのは時代が求める人物像。より良き方向を目指し、私学ならではのタイムリーな実践が活きる進学校を取材した。

校 長: 近藤 信隆
住 所: 〒640-8481 和歌山市直川113-2
電 話: 073-461-8080
交 通: JR阪和線「六十谷」駅から徒歩5分
学生数: 中学校 486名
高等学校 919名 (2010.9.1現在)
ホームページ: http://www.kaichi.ed.jp/

 

保護者、企業、そして社会
微妙に落差あるニーズを検証

 2010年春の卒業生283名に対する国公立大学合格者数136名、関関同立合格者数157名(いずれも延べ人数)という数字は、開智が進学校たる地位を不動のものにしたことを証明している。保護者のニーズとして最も高い進学実績、学力をつけるという点において、開智が一定の評価を獲得したことは間違いない。

 だが、視点を企業、社会のニーズに転じてみれば、それだけではまだ不十分という声が聞こえてくる。そう語るのは土井和正法人本部長だ。確かに、高い学力、学歴をもつことが即、社会において有用な存在かといえば、そうではないケースが目立ってきている。また、かつて地域社会で通用していた能力も、グローバル社会を生き抜く企業が求める能力とは、まったく同質ではなくなっている。

 時代はすさまじい変革の途上にあって、求められる人物像も変化し続けているのは当然だ。教育の根本理念は変わらなくとも、現場で細かな調整が求めらのはそのためだ。無論、高い学力を備えているに越したことはなく、それに見合った進学保証がなされることは当然である。そうした従来のニーズに応えながら、全人的資質の向上というニーズに応えていくべき段階を迎えている。

 土井本部長は企業が求める人物像として、@主体性をもって行動できるAコミュニケーション能力があるB問題を自ら見つけ解決できるC日本語能力をきちんと身に付けていることなどを挙げた。

 こうした能力を身に付けるためには、かつてのように手とり足とり生徒に働きかけ、学習時間を増やし、結果として学力を引き上げるという手法は適さない。束縛や強制の匂いのする環境を一掃し、生徒同士が刺激しあうことで自ら学んでいこうとする、本来あるべき学習環境を築き上げたい。そんな思いが進路指導部を中心とする教員の中に徐々に広がってきたという。

 また、時を同じくしてアンケートを実施したところ、高3生約300名の3分の1が放課後、予備校などの自習室を借りている実態も浮かび上がった。受験生の時間的、体力的負担、それに保護者の経済的負担を軽減する意味からも、自学自習できる空間を創ろうという機運は熟していった。

本格的な自習空間
アカデミック・ラボ

 進路指導室を中心とする自学自習空間「アカデミック・ラボ」が完成したのは今年7月。多目的ホールとしての機能をもった自習室、その外側のフリースペースにも机を並べ、生徒は自由に場を選んで学習することができる。この日はラボ完成から3日目、すでに夏休みに入っていたが、ほぼ満席の状態だった。

 ラボ内の一番奥まった場所に進路指導室があり、常時、教員が待機しているため、生徒はいつでも質問することができる。もっとも、フリースペースでは生徒同士で静かに教え合う光景も見られ、ざっと見渡しても学習環境として高度であるという印象を受けた。それは単に設備が整っているだけでなく、生徒が相互に醸し出している、学び合おうとする空気によるところが大きいようだ。

 アカデミック・ラボは夏休み中も朝7時30分〜夜7時まで開放され、それ以降も保護者の承諾があれば、8時ごろまで使用することができるという。教員も当番制ではなく、残れる教員が自主的に残るというサポート体制が自然にできあがっている。当番制を採ることは、生徒に学習を強制するのと同じで、形だけ整って、実態が疎かになるおそれがあると、土井本部長。長きにわたる経験から出たひと言に説得力がある。

 現高3生と高2生に駿台模試で「東大A判定」をとった生徒がいる。二人は互いに知らぬ者同士だったが、高2生が先輩に学習法や対策を相談するなどアカデミック・ラボを通じ縦の交流が生まれていることを教員は歓迎している。

中学生専用の実験教室
サイエンス・ラボ

 Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow. The important thing is not to stop questioning.(昨日から学び、今日のために生きて、明日に希望を持て。大切なのは、疑問を持つのをやめないことだ)と書かれたプレートが「サイエンス・ラボ」の入り口に掲げられている。アルバート・アインシュタインの言葉だ。

 サイエンス・ラボは中学生専用の実験教室で、今年3月、中学校の正面玄関前に独立棟として完成した。国を挙げて理科教育の充実が叫ばれる中、元来、理科に力を入れていた開智は、授業での実験回数を増やし、放課後も部活のような位置づけで幅広く実験を行えるようサイエンス・ラボを新設。7月のオープンスクールで授業参観を兼ねて公開し好評を博した。

 ほかに、中学校棟から渡り廊下でつながれた「プラセットホール」は、200人を収容する階段教室。この日も中学生が朝から夏期講習を受けていた。中学校専用施設が比較的多く設けられているのも開智の特徴といえる。

 5年前の常識が通用しないといわれる激動の時代に、目を凝らし、必要なものを取り入れていく。常に時代にふさわしく応じていける体制が私学の強みだ。開智はそんな実践力を大切にしている学校である。

 
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