サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

追手門学院大手前中学校・高等学校

 
  偏差値30台を諦めさせない メンタル進学指導で国立大へ
予備校の京大進学クラスを指導し、20年の経験をもつ金沢良一教頭が着任し、今年で7年目。「希望の大学に合格させる学校」を目標に、追手門学院大手前中学校・高等学校はさまざまな仕組みづくりを進めてきた。その改革1期生ともいうべき学年が来春、受験を迎える。諦めの気持ちを払しょくする段階から始まる進学指導は、高3生の模試の結果に表れだした。強気の指導の内側にある細やかな取り組みについて聞いた。

校 長: 原田 哲次
住 所: 〒540-0008 大阪市中央区大手前1-3-20
電 話: 06-6942-2235
交 通: 地下鉄谷町線「天満橋」駅B番出口より徒歩7分/京阪電車「天満橋」駅M番出口より徒歩7分/市バス「京阪東口」バス停より徒歩1分/JR東西線「大阪城北詰」駅A番出口より徒歩10分
学生数: 中学校 461名
高等学校 498名 (2010.9.1現在)
ホームページ: http://www.otemon-js.ed.jp/

 

大人社会の物差しが
奪う子どもの可能性

 元旦と正月2日以外はすべて活動日、という「大学受験自習クラブ」が金沢良一教頭の肝いりで発足したのが昨年4月。その後の自習クラブの状況を聞いたところ、主役は今や高1〜2年生に移ったという。というのも、高3生はすでに自立して学習を進めることができる生徒が増え、質問があるときだけ顔を出すようになったからだ。

 活動日への参加は基本的に自由。日数や時間帯など、すべて生徒が自分にあったスタイルを選んでいる。着任当初から金沢教頭は、この自主性にこだわった。強制され、気のすすまぬままの学習で一定時間を過ごしても何の意味もないことは分かりきっていたからだ。「独立自彊」の教育理念の表れでもある。

 受験にどれだけ本気かを、生徒が自分自身に問う。いわば、その本気度を測る試験紙が自主参加制なのだ。一人、家庭学習することが性にあっているなら、それもよし。仲間同士でする学習法を選ぶのもまたよし。要は志望大学を最後まで諦めなければ、徹底的に生徒につきあうというのが同校のスタイルだ。

 そして、スタイル実践の前提にあるのが、「固定観念にとらわれない指導」である。同校では、中学入学時点で偏差値が35〜40という生徒が多い。一般に、そうした成績の生徒は東大に行きたいというはずがない、そう大人社会は高をくくっている。金沢教頭は、それは違うという。子どもは大人社会の物差しを感じ取って、とても自分には無理だと何もしないうちから諦めている。だが、決して行きたくないわけではないと。

 進学指導の邪魔をしているのが、子どもたちの諦念であることを金沢教頭は予備校でいやというほど目にしてきた。諦めを払しょくすれば、子どもは一歩、二歩と歩み出す。それが百歩になれば、結果がついてくることを実感する。そして、次の百歩を歩み出す。小さくても成功体験を積み重ねることで、子どもは成長するのだ。進学指導とは、常に次の百歩へ向け励まし続けることという考え方だ。

 大阪大学の合格圏内に一人の高3生がいる。中学校入学直前の五ツ木・駸々堂模試で、算数の最高得点が3点だった生徒だという。そして「国立大学なんて絶対無理」が、その生徒の口癖だった。一方、金沢教頭はこの生徒に限らず、「諦めたら、そこでおしまい。でも、諦めない限り応援する」が口癖。その口癖が、どこかで生徒の気持ちを押し上げていたのだろう。生徒は百歩ごとの努力を重ね、現在の成績をとるまでになった。
「大学受験は学力半分、気持ちが半分」と、これもまた金沢教頭がこの7年間で校内に広めたモットーである。

大学受験に勝てる
教員の養成にも力

 生徒が国立大を目指すなら、教える側は当然にして難関国立大の問題で合格点を取らねばならない。そんな考えから、今年から主要5教科の担当教員に、京都大学の模試を受けるよう課している。「日頃から入試問題を研究している教員もいますが、多忙で手つかずの教員もいます。一斉に受けることにすれば、自ずと問題研究につながります」と導入の意義を説く金沢教頭。

 受験生は5教科7科目で全勝することを求められている。教える側はせめて専門教科で難関国立大にパスしなくて、どうして生徒が直面する課題を共有できるだろうか。至極当然な思いがこの取り組みに向かわせた。模試は高校だけでなく中学校教員も受け、合格判定が出るまでチャレンジが義務づけられている。

 また、教員の自己評価制度も去年から導入されている。@課題を見つけA目標を設定しB目標を達成すれば新たな課題を、未達成の場合は原因分析を行い再挑戦という手順で行われる。

 ここ数年、大学受験のスペシャリスト的教員の増員にも力を傾注してきたという金沢教頭に、優秀な進学指導ができる教員の条件を聞いた。すると、第一に「子どもと接する時間が長い教員」を挙げた。同校では夜8時まで学校を開放しているが、生徒が学校にいる時間は、とにかく生徒と接し、生徒の性格、家庭環境、日常思っていることなどを把握し、信頼関係の構築に努める。そうしたコミュニケーションの充実が進学指導で最も重要と説く。

 次に、今やるべきことを的確に提示できる教員が優秀である条件とも。全教科頑張れというような漠然とした指導はかえって生徒を潰してしまう。そうではなく、「今は、Aはしなくていい。BとCをやる段階だ」というように。教員が局面ごとに学習内容を取捨選択し、アドバイスするためには生徒一人ひとりを詳しく把握しなければならないというわけだ。

近隣国立大に
二桁が目標

 小中学校時代、勉強に本気で取り組んでこなかった生徒がいれば、問題なのはその成績ではなく、その生徒が180度変われるかどうかだ。そんなアプローチの仕方で、大学受験に勝てる仕組みづくりに本格着手してきた金沢教頭。その改革1期生が来春卒業と受験を迎える。改革の成果に注目が集まる中、「京大、阪大、神戸大等の近隣国立大の合格者で二桁」という目標が示された。その後は、近隣3国立大に卒業生の20%を合格させたいとも。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.