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中学・高校受験:学びネット

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追手門学院中学校・高等学校

 
  教育理念を大切にする あたたかみのある進学校
独立自彊・社会有為を学院理念に120余年を歩んできた追手門学院中学校・高等学校。その教育の柱として導入された「追手門進進プロジェクト」が4年目を迎えている。自己肯定感を持って日々新たな学習に取り組んでいく「進学プログラム」と将来の進路を発達段階に応じ絞り込んでいく「進路プログラム」が相乗効果を上げている。高校では来春、新コース制を導入。第一志望の進学実績へと確実に導く「学習改革」が実践されている。進学実績の向上はもちろん多面的な教育を展開する伝統校を取材した。

校 長: 佐々木 実
住 所: 〒567-0008 大阪府茨木市西安威2-1-15
電 話: 072-643-1333
交 通: JR京都線「茨木」、阪急京都線「茨木市」、千里線「北千里」、宝塚線「豊中」、「石橋」、北大阪急行線「千里中央」の各駅よりスクールバスあり
学生数: 中学校 242名
高等学校 946名 (2010.9.1現在)
ホームページ: http://www.otemon-jh.ed.jp

 

「自己肯定感」がキーワード

 自らの適性と志望によって進路を見きわめ、進学先を絞り込んでいく、いわゆるキャリア教育は中等教育においてここ数年で一気に拡がった。その先駆的存在である追手門学院が「進進プロジェクト」と名づけ、「進学」と「進路」を系統的に指導するようになって4年目を迎えた。

 プロジェクトの目的は、学院の教育理念である「独立自彊 社会有為」の人材の育成にある。すなわち、積極的に自己の生きる道について考え、そのために自ら努力し励む人間の育成である。そのために、自己を理解し、自己の適性を知り、「自分にはこれができる」という自信を持つことで「自己肯定感」を育むことを大切に考えている。目的達成のためには、中等教育の課程を確実に身につけ、幅広い分野への好奇心を持つこと、「考える力」を身につけることが必要で、「進進プロジェクト」は、それらを融合させた人材育成プログラムといえる。

 では、実際にプロジェクトがどのように進められるのかを見てみることにする。 

「進学プログラム」の学習システム

 学習システムの要は、追手門独自の3つの「サイクル学習」にある。3つの「サイクル学習」とは「授業サイクル」「週サイクル」「考査サイクル」のこと。
「授業サイクル」とは「授業第一」としたサイクル。生徒は予習→授業→復習で着実な学習の定着を図る。

「週サイクル」では、英数国を中心に1週間分の学習の内容をプリントなどで週末課題として示し、週初めに提出、火曜の1限に確認テストを実施。理解度が十分な生徒には、チューターの常駐する自主学習室で、段階別に準備された教材による自主学習が行われる。一方で、十分な理解に至っていない生徒に対しては、木・金曜日にフィードバック講習が行われ、「わかるまでいっしょ」に教科担当の教員と学ぶことになる。

「考査サイクル」は、年5回行われる定期考査をそれぞれのゴールとせずに、テスト返却時に詳しい解説をした後、定期考査と同じ範囲でミニ考査を行い、まだ不十分な生徒はステップアップ講習でフォローして、確実に学力を定着させるというものである。

 また、普段の授業とは別に、学ぶ意欲を刺激し、「考える力」を育む目的から放課後に「伸びゼミ」(自主参加制)も開講されている。自由なテーマ設定で実験やフィールドワークの要素が多くとり入れられた「伸びゼミ」の人気は高い。

 このように授業単位、週単位、考査単位からなるサイクル学習と、学習への興味関心を拡げる「伸びゼミ」などにより、苦手教科を克服し、得意分野をより深めることはもちろん「自己肯定感」を育むための、学びの環境が整えられている。

こだわりの「進路プログラム」

 「進進プロジェクト」のもうひとつの柱である「進路プロジェクト」では、大学や学部・学科・職業の知識を得るための進路学習ではなく、生徒一人ひとりが豊かな人生を送り、積極的に自分の生きる道について考える事が出来る人に育ってほしいという願いを持って学習していけるように考えられている。また、“進路学習は自己理解”と捉え、自分の特性・個性を知り、そして自分に合った進路を決定していくことを目指しており、そのための独自の6年間の「進路シラバス」がある。このシラバスに沿って定期的に「進路HR」をもち、発達段階に応じた進路学習を進めている。

 中1の担任で英語科の田橋知直教諭は、「中1では自分を紹介する自己紹介、友達を紹介する『他己紹介』などによって、それぞれの個性を確認するところから学習が始まります。やがて自己の適性を知る段階を経て、中3になると社会やさまざまな職業について実感を伴って考えられるようになります」と中学段階でのプログラムについて説明した。

 このプロジェクトの一環として「将来を考える日」と題し、卒業生による職業講話を聴く機会が設けられているが、この実践が労働の意義を考え、尊さに気づくきっかけとなっている。中高時代の学習、部活、行事での体験が直接的、間接的に仕事に生かされていることを先輩の口から語られると、生徒は親しみと関心を持って受け入れるという。

 高2段階になると、進路の大まかな方向性を見いだし、進学先を選択する段階となる。関西一円の大学から学部、学科のガイダンスを受けるのもこの時期である。系列の追手門大学教員による心理学、社会学、経済学を高校生向けにアレンジした「追大講座」も進学モチベーションを高めるプログラムの一つとして好評のようだ。

 早い段階から無理なく進められるプログラムが、納得のいく自分らしい進路の実現をサポートしている。

高校で新コース制導入

 高校では来春から、従来のコースを「英数理数選抜」「英数理数T類」「英数理数U類」という3つのコースに再編。文系・理系を一括した募集に切り替える。3つのコースを一体感のある編成にし、2年次以降、選択科目も取り入れ、入学後の成績の状況に応じてコース変更が可能な制度を整えている。それぞれのコースで「サイクル学習」を軸にして、「自らの偏差値のカベを克服する」層別指導を行い、第一志望合格を目指す。

 中学入試広報主任で数学を担当する住谷研教諭は、「本校では、受験に向け、互いに励まし合い、教え合い、磨き合える『学びの集団』が形成されてきています。進学校として結果を出しながらも、仲間同士、温かみを大切にできる集団であってほしい」と話す。

 2011年度、追手門学院は「教育理念を大切にするあたたかみのある進学校」をキャッチフレーズに、「追手門 進進プロジェクト」を一層推進していく。

 
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