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中学・高校受験:学びネット

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羽衣学園中学校・高等学校

 
  女子の特性を生かし新プロジェクト 多様な個性混在で伸びる環境を生む
「世界に有為たる女性の育成」を目指し創設された羽衣学園中学校・高等学校。その建学理念に私学教育のメリットを存分に盛り込み、伸ばす装置、育む環境を生徒の目線で整えていくのは西田健二校長だ。「入学時の偏差値は当てにならない」。そう言わせるほど卒業時に学力を伸ばし、世界に通用するアスリートを支え、あらゆる個性の生徒により添うマルチ対応型の女子校がここにある。温もりある言葉で語られる女子教育の今を取材した。

校 長: 西田 健二
住 所: 〒592-0003 大阪府高石市東羽衣1丁目11番57号
電 話: 072-265-7561
交 通: JR阪和線「東羽衣」駅から徒歩4分/泉北高速鉄道「和泉中央」駅・来春からは、「中百舌鳥」駅からもスクールバスが運行される。
学生数: 中学校 241名
高等学校 621名 (2009.11.1現在)
ホームページ: http://www.hagoromogakuen.ed.jp/

 

特性に適った新たな取組み

 ここ数年押し寄せた共学化の流れにはのらず、1923年の学園創立より女子に特化した教育に一貫して取り組んできた羽衣学園中学校・高等学校。80余年の歴史に今年も新たな改革の1ページを加えている。

 関西大学とのパイロット校推薦入学制度をはじめ、総合進学コースに3つの専攻課程(TOEIC専攻、IT情報専攻、総合トライアル専攻)を設置するなど、その改革は女子の特性に目を向け、生徒が発するサインを受けとめ、素早く変化する時代のニーズに対応しているといえる。

 ところで、女子の学びの特性とはどういうものだろうか。西田健二校長は「互いに学び合って生きていく潜在的要素を女子は持っている。一人で黙々と学ぶより集団の中で力をつけていくようです」という。

 ある脳科学者は一般的に女性の脳は、人間関係の中で社会的自己を構築することに長けているのが特徴と述べており、生徒の日常からの西田校長の分析は、関係性の中で自己を創造する「女性脳」の特徴を言い当てている。

 そんな分析をふまえ始まった実践に、「学び合う自習室」がある。放課後校内の食堂を開放し、非常勤講師による「日替わり質問講座」を開いている。同校では部活動に積極的な生徒が多いが、テスト1週間前になるとすべての部活動は休止となる。日常は思う存分部活に専念している生徒も、この1週間は同講座に参加し、短期集中型の学習を進めていくという。「自ら質問する生徒、それを聞いて参考にする生徒、一人で問題を解きながらも仲間とともに頑張る空気を感じている生徒。さまざまですが集団での学びの効果があらわれてきています」とも。このほか、スーパー特進コースの生徒には「コース専用自習室」が別途設けられており、こちらは1人ずつ机に向かう形態をとっている。

 女子の特徴として西田校長が二つ目に挙げたのが、資格取得への意気込みの強さだ。明確で段階的な目標ができると、こつこつ努力する力が特に女子にはあるという。そこで設けられたのが、前述の3つの専攻である。TOEIC専攻では卒業時に600点獲得を目指して学習を積み重ねていくプログラムだ。専門の外部講師による指導が夏から始まっており、中には卒業時845点を獲得した生徒もいる。
情報IT専攻ではワード、エクセル、メール文書をはじめとするビジネススキルを身に付け、IT検定、世界共通資格試験にも挑戦している。また、総合トライアル専攻では社会人としてのマナー講座や精神的女性学の視点から体験重視のプログラムが実践されている。

 命を産み育みながら、社会に参画する女性を輩出するため細やかなプログラムが進行しているのだ。

多様な目標、個性が混在する環境で
自分に適った学びを見つける

 同校の創設者、島村育人は「世界に有為たる女性の育成」を建学理念とし、女子の地位確立を目指した人である。現在、語学力や国際感覚を身に付けるカリキュラムが組まれているのは、この理念を時代のニーズに応じ具体化したもの。オーストラリアへの修学旅行やニュージーランドでのステイ体験・長期留学制度は、同校の国際教育の実践としてすでに根づいている。

 また、羽衣学園といえば体操やホッケーなどオリンピックに出場するアスリートが在籍する学校として知られ、水泳、ソフトボールなど高校国体では強豪チームを擁する学校として有名だ。現在は体操で北京オリンピックに出場した新竹優子さんが在籍している。「今、目の前で弁当を食べている友達が世界の舞台に立ったという事実が、クラスメートや学園全体にとって大きな刺激になっています」と西田校長。「世界の有為」を実感できる稀有な環境といえる。

 さて、「世界に有為」を目指し、スーパー特進コースでも新たな取り組みが始まっている。同コースでは国公立大学を中心に難関大学に現役合格するためのカリキュラムが組まれているが、今年度は新たに「羽衣パワーUPプロジェクト」が始動した。

 同プロジェクトは(1)実践的な週37時間授業 (2)放課後の個別指導 (3)長期休暇中のコース専用自習室の設置 (4)河合塾のサテライト授業といった4つのサポートからなるもので、意欲ある生徒に応えていこうとする学校の姿勢をより具現化している。

 と同時にプロジェクトには、教員の指導力をさらにアップさせるという意味も込められているという。あまり表に出ない同校の特徴として、退学率が低いことが挙げられる。それは「生徒に密着せよ」と檄を飛ばす西田校長のもと、教師が一人ひとりの生徒を丹念にケアしているからである。

 ある精神性の障害でコミュニケーションが取れない生徒を受け入れることになったとき、教職員全員がその生徒と病気に対する理解を深め、全校生徒が当該生徒をスムーズに受けいれられるよう体制を整えた。そのかいあって、転校から1か月、その生徒はコミュニケーションが取れるように回復したという。

 さまざまな目標、個性、悩みを持った生徒が在籍し、それぞれがお互いを感じ取る中で自己を知り、自分に適った学びを獲得して各界へ羽ばたいていく。多様性の中に伸びる環境を創りあげている学校である。

 

 
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