サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

滋賀短期大学附属高等学校

 
  生活力を高める人間総合科を開設し、全コースの共学化を完成
昨年度の創立90周年を機に滋賀短期大学附属高等学校は特進コースを共学化し、伝統ある女子校から共学校へと舵を切った。今年度は総合進学コースも共学化。50数名の男子が入学し校内の雰囲気も変わりつつある。さらに来年度は生活創造科を改称して人間総合科に。2005年度より着々と進めてきた学校改革は次の段階を迎えようとしている。

校 長: 山田 義和
住 所: 〒520-0052 滋賀県大津市朝日が丘1-18-1
電 話: 077-522-3465
交 通: JR琵琶湖線「大津」駅より徒歩10分
学生数: 456名 (2009.7.1現在)
ホームページ: http://sumire.ac.jp/highschool/

 

クラス編成と学習形態の工夫でスムーズに共学へ移行

 琵琶湖を見下ろす校舎の一角で、特進コース2年生の国語の授業が行われていた。教室の中は男子ばかり10名ほど。どの生徒も真剣な表情で授業に集中している。
同校は、段階を踏んで慎重に共学化を進めるという方針により、まず特進コースを共学化した。さらに男子と女子は別クラス編成とし、少人数の男子をきめ細かくサポートしている。その一方で、英語と数学の習熟度別クラスや現代社会など、科目により女子との合同授業を設定しており、互いに学び合うことができる。

 共学化から1年。この間の男子生徒の様子を村田千栄子副校長は、「最初は全校から注目されて、1人でランチルームに行けないほど緊張していましたが、徐々に慣れて勉強もクラブ活動も頑張ってくれています」と話す。クラブ活動といっても人数が足りないため、サッカーやソフトボールなどは2〜3人で工夫しながら練習を続けた。学習面においても、国公立大や難関私大を目指す生徒たちだけに、放課後に自習室を兼ねた進路情報センターで勉強に励む生徒もいる。その姿が女子生徒にもよい刺激を与えているという。「これならいける」との確信から、今年度より総合進学コースも共学化した。

 今年は特進と総合進学を合わせて51名の男子が入学。念願の野球部を創設できた。男子が増えて学校の雰囲気も、よりアクティブに変わってきている。「これまで進学先が自宅通学できる関西方面の文系に偏っていましたが、男子の影響を受けて、女子の選択肢が広がっていくでしょう」と村田副校長は期待する。

生活基盤を学び社会に貢献できる人材を育成

 共学化3年目を迎える来年度はコースを再編する。総合進学・特進コースはそれぞれ、普通科T類・U類へと名称を変更。クラス編成も男女混合となる。また「生活創造科」は、共学の「人間総合科」へと生まれ変わり、全校の共学化が完成する。

 現行の生活創造科は、女子を対象に衣・食を中心とした技術の習得に重心が置かれている。これに対して新設の人間総合科は、人間生活の基盤を理論と実践で学び、自分の生活を豊かにすると同時に、社会に貢献できる人材を育成するというもの。
例えば食育では、「食の安全」を生産から加工、流通など社会とのつながりのなかで学ぶ。実際に畑で野菜を栽培して調理する計画だ。

 また「ものづくり」の実習も多く予定している。「昔はどこの家にも金槌やノコギリがあり、棚を付けたり家具を修理していました。今は自分の手で何かをつくる機会が少ないように思います」。
毎日の生活を自分らしく、より快適にしていくために、生活に役立つものを工夫して作ることができれば、達成感を味わえる。同時に自分の新しい可能性を発見できるはずだ。さらに、仲間と協力しながら作業することが多くなるので、協調性やコミュニケーション能力も養える。
村田副校長は「生活する力は心の安定につながります。自分に自信を持ち、地に足をつけて生活できる人を育てていきたい」と語る。

 人間総合科の進路は、ライフデザイン全般となり幅広い。例えば、福祉、教育、インテリア、栄養士などが考えられる。関連する資格を取得することもできる。また、系列の滋賀短期大学も共学化されたため、男子生徒にも幼児教育保育学科や生活学科への道が開かれた。他大学進学を希望する生徒には特別講座を設け、受験をサポートする。

きめ細かな指導に高い評価

 時代が変わり共学校となっても、建学の精神「心技一如」は変わらない。一瞬一瞬に心と技のすべてを注ぎ、粘り強く努力していこうとする姿勢が求められている。
2005年度からスタートした4学期制も、この精神に基づいている。学期の期間を短くすることで、生徒が集中して目標達成に努力できるように、またメリハリある学校生活を送れるようにするためだ。学期ごとに、スポーツフェスティバルや文化祭など大規模なイベントを組み込み、学期終了時には定期考査を実施する。推薦入試を受ける生徒にとって4学期制のメリットは大きい。2学期の成績が10月に出るので、1学期に不本意な成績であったとしても、2学期に挽回のチャンスがあるからだ。まさに粘り強く努力する精神である。

 通知票は100点法による。テストの得点だけでなく、授業態度、課題提出、遅刻の回数なども評価の対象となる。したがって、教師陣が一人ひとりの生徒を注意深く見守り、きめ細かく指導していなければ正しく評価できない。毎学期末に行われる保護者懇談会では、テストの得点よりも通知票の成績が低いとき、その理由を丁寧に説明し、保護者にも子どもの生活全般に注意を向けてもらうようにしている。

 4学期制導入と同時に学校評価制度もスタートした。初年度は教員と生徒それぞれが自己評価を行った。次年度から生徒による授業評価、保護者による学校評価などを順次加えてきた。評価結果の一部はホームページ上で公開している。「きめ細かな指導や対応」「教育方針や教育活動がわかりやすく伝わっている」という点が高く評価されている。これらの評価結果は制度改革や教員の資質向上、生徒指導に生かされている。

 土曜フレッシュ講座も2005年度から始まった。毎年4月に先生方が主宰する講座をプレゼンし、生徒を募集する。開講講座はバレーボールや卓球などの運動系から、「実りと生活の知恵」「JAZZで英語を学ぼう」「実践!デザイン事務所」などさまざま。全生徒がいずれかの講座を受講する。「授業やクラブ以外で先生方と生徒が関わることで、先生は生徒の実態を知り、生徒は相談できる先生を見つけやすくなります」。

 4学期制を始めとして2005年度よりさまざまな改革を進めてきた同校だが、村田副校長は改革に終わりはないという。「どの生徒にも将来満足して生きられる基盤をつくってあげたい。集まってくる生徒を見ながら、私たちも学んでいかなければなりません」ときっぱりと語った。

 

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.