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中学・高校受験:学びネット

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洛南高等学校 洛南高等学校附属中学校

 
  国公立医学部・医学科 現役合格者数が全国トップ 理論と実践の両立をモットーに
東大、京大、阪大、神大の最難関国立大への合格者数が今年度215名(既卒者含む)を数えた洛南高等学校。国公立大全体の合格者を含めると376名(同、大学校は含まず)におよぶ。とりわけ国公立医学部医学科の合格者は76名と飛躍。うち現役が48名と全国でトップだ。「特別な指導法」を求め見学者が絶えないが、洛南に継承される教育はひたすら「当たり前」の積み重ねだ。真言宗に基づく理論と実践の両立を一歩一歩たゆまなく、そして大いなる情熱をもって歩んでいる。

校 長: 柴垣 弘巌
住 所: 〒601-8478 京都市南区壬生通八条下る東寺町559
電 話: 075−681-6511(高校)
075-672-2661(中学校)
交 通: JR「京都」駅八条口から徒歩13分/近鉄「東寺」駅から徒歩10分/四条大宮から市バス18,71,207系統で「東寺東門前」下車徒歩3分
学生数: 中学校 655名
高等学校 1,594名 (2009.7.1現在)
ホームページ: http://www.rakunan-h.ed.jp/

 

合格実績と躾教育の結び目にあるもの

 取材で訪れる学校に、それぞれ独特の空気というものを感じる。洛南高等学校と附属中学校の場合、門に踏み入る前からその空気は伝わってくる。世界文化遺産である東寺の敷地内にある同校は、およそ1200年前、弘法大師空海によって開かれた綜藝種智院がはじまりの歴史ある学校だ。真言宗の教えをもとに全人教育を実践している。

 門を入ると体操服姿の数人の生徒とすれ違った。一人ずつ「こんにちは」と会釈しながら声をかけてくる。他者を認め、短くも関わろうとする生徒たちの態度は清々しく、単純にうれしい気持ちにさせられる。校舎内にはほどよい緊張感が漂い、由緒ある寺社仏閣を訪れた時に感じる敬虔な気分を想い起こさせる。

 そんな雰囲気と驚異的な大学合格実績が、どのように結び付いているのか。その結び目を解いてみたいと思うのは、記者だけではない。全国の中高一貫校で日々指導にあたっている教員とて同じ。だからこそ、同校を訪れる見学者は後を絶たないという。まずは、結び目を大学合格実績の側から解いてみよう。

 2009年度の国公立大学および大学校入試における実績は、東大29、京大105、阪大53、神大28、その他の国公立大学合格者を含めると376名、防衛医科大学校などの大学校11名(いずれも既卒者含む)となっている。

 圧倒的な数字だが、柴垣弘巌校長は最難関の大学名だけを挙げて報道することにあまり意味がないという。たとえば、東大理Uと和歌山県立医科大学の医学部医学科の難易度は同等だが、「東大」と冠すれば、地方公立の医学部医学科より難関であるかの印象を抱かせるからだ。なるほど、医学部医学科へ合格することの困難さを再認識した思いだ。

 そのうえで、国公立医学部医学科への同校の合格者数を見てみると、昨年の2倍以上の76名。うち現役が48名だ。東大、京大など最難関への高い合格実績を維持する一方、国公立医学部医学科という超難関への実績も伸ばしている。

 同校を訪れる見学者の中に、実績をあげる効率的な秘訣でもあるのかと思う者がいたとしても仕方あるまい。だが、いったい、そんな秘訣があるのだろうか。あるとすればそれが、結び目になっているものだ。ぜひとも解いてみたいという思いがしてくる。

生徒も教員も目指す理論と実践の両立

 合格実績の話に偏ると、柴垣校長はあまりうれしくなさそうな顔をされる。まして、「その秘訣は」などと伺うことには多少の勇気がいる。それでも敢えて伺うと、「ただ、ひたすらに教員が情熱を傾け、生徒一人ひとりに向き合う丁寧な指導があるだけです」と躾教育の実践をあげる。

 同校が創立以来継承してきた真言宗の教え。それは「教相(理論≒知識を得ること)」と「事相(実践≒作業、作務)」の両立がなされてこそ悟りがひらけるというもの。そのためにまずは形から入る。それが躾であるというのだ。

 毎月21日は「弘法市」という縁日が東寺境内で催される。毎回、多くの人出があり、催事後の境内はゴミだらけとなる。これを翌朝、生徒が掃き清める。また、吹奏楽部の生徒は週に3日程度、周辺道路の掃除を自発的に行っているが、これらの作業が事相にあたる。そうして整えられた環境が、学問を行う上で必須要件のひとつであることを生徒は体得していくのだ。

 無論、校内は隅々まで磨き込まれ、そこで目にする生徒の服装、頭髪、振る舞いまでもが、事相の延長線上にあるように思えてくる。だが、そんな印象の陰には教員の粘り強い丁寧な指導が隠れていると柴垣校長は、重ねて言うのだ。遅刻をする生徒もいれば、頭髪規定にそむく生徒もいる。そんな生徒に罰則を与えず、叱り飛ばさず、突き放すこともなく、納得し行いが改まるまで、教員はひたすらに生徒と話し合うのだという。

 ここに卒業する高校生に一人の教員が贈ったことばがある。一部を紹介すると―「うるさい洛南」の良さがまだ分からない人もいるでしょうが、人生の中で必ず「うるさかった洛南」が「洛南はよかった」と思える時がやってきます―とある。同校の諦めない躾教育の一端が見えた気がした。そして、このことばを贈った教員自身が洛南の卒業生なのである。解いてみると、結び目にはテクニックも秘訣もなく教員の情熱だけがそこにはあったのだ。

小学校開校で各方面から期待

 昨年、小学校開校を発表して以来、各方面から問い合わせが相次いでいる。期待が高まる中、予定地(JR「桂川」駅から南へ7分)周辺のインフラ整備が遅れているため、早くて2012年の開校を目指す。

 描く小学校像は「学力向上の前に、社会に出て真面目に生きていく力を持った子どもを育てたい」と柴垣校長。また、児童と教員の関係を「焚き火に当たる人と焚き火の関係」と分かりやすく例えた。近づきすぎると火傷をするし、離れ過ぎると温かくないという意味で、昭和30年代の学校のような節度と親しみのある先生と児童の関係を築きたいとしている。小学校でも教相と事相の両立を重んじ、「体を動かす作業、たとえば寺の境内の草引きのような作務を取り入れたい」とも。3年後、洛南ブランドに初等教育が加わる。

 
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