サイト内検索:
 
中学・高校受験:学びネット

 学びネットは、中学、高校受験のための情報ページです。学校紹介や塾経営にお役立て下さい。

今月号の紹介 学校散策 塾長のためのマンスリースケジュール 購読案内 会社案内
学校散策 ・関西校・ 関西一覧
   

開明中学校・高等学校

 
  切磋琢磨の仲間づくりが高い進学実績を生む土壌
今年は東大現役合格2名、京大14名(既卒者含む)、大阪市大医学科現役合格1名など国公立大学に153名の合格者(既卒者含む)を出した開明高等学校。京大、阪大、神大と関西の難関国立大への合格者数が毎年注目を集めた。驚くべきはこれら難関大に進学を決めた生徒の中には、中学入学時の偏差値が50を下回った生徒もいたことだ。開明の学力、人間性を大きく伸ばす肥沃な土壌はどのようしてつくりあげられるのか。進学校の手間ひまのかけ方を探った。

校 長: 森田 文明
住 所: 〒536-0006 大阪市城東区野江1丁目9-9
電 話: 06-6932-4461
交 通: JR、京阪「京橋」駅より徒歩8分/京阪本線「野江」駅より徒歩10分/地下鉄谷町線「野江内代」駅より徒歩10分/地下鉄長堀鶴見緑地線「蒲生四丁目」駅より徒歩10分
学生数: 中学校 739名
高等学校 819名 (2009.7.1現在)
ホームページ: http://www.kaimei.ed.jp/

 

華やかな出口地味な入口

 今年度、開明中学校の応募者数は延べ1968名。相変わらず高い数字を維持している要因の一つに高い進学実績がある。一般に、受験者数が増えるほど入学者の学力はアップするといわれている。関西圏の難関国公立に軒並み2桁の合格者を出している同校のことだ。中学校入学者の学力レベルは相当高いと想像しても当然だろう。ところが、実際に話を聞いてみると、外部が想像するほど高くない。

 今春卒業した生徒たちは、中学受験を目指す子どもたちの平均より少し上の53〜54くらいの偏差値であったという。もちろんすべての生徒が飛躍的に伸びるわけではないが、中には46という偏差値の生徒も複数が京都大学に現役合格している。現在では、スーパー理数コースと理数コースという体制になっており、その一期生の学年である高校1年生が卒業する時には、もっと質的にも量的にも違う結果が予想されるところである。

 端的にいえば「小さく産んで大きく育てる」学校だ。では、大きく育てるための肥沃な土壌とは何か。東大2名・京大14名・医学科1名を含む国公立大に153名もの合格者(既卒者含む)を出す学校と聞けば、生徒たちはさぞ厳しい受験指導や受験テクに浸っているのではないかと考えがちだ。

 そうした指導も受験の最終段階では必要だろうが、無味乾燥なスパルタ指導で6年間も生徒のモチベーションを維持できるとは思えない。むしろ、疲弊するだけである。12歳から始まる不安定で多感な中学期に、目標に向かって着実に歩み続けられる土壌を整えることこそ、遠いようで確実な受験指導という気がする。さて、その土壌とは。

人間関係が濃い強固な集団

 森田文明校長は「入学してきた生徒に本気で責任を持って育てようとする教師が多いと思う」と、進学実績伸びの要因を控えめに語る。そして「今の子どもは自宅では個室を持ち、(家族内での)人間関係も昔に比べあっさりしている。人と触れ合う環境が少なければ、トラブルは少ないかも知れないが絆も生まれない」といい、校内では“ぶつかり合える環境”とそれを支えるセーフティネットの構築に努めていると付け加えた。

 ぶつかり合うということ。それは、ともすれば子どもだけでなく、今日、大人の側も無意識のうちに避けてしまいがちな生き方ではないだろうか。そして、学校が本来目指すべき教育の中心的要素であることは間違いない。

 さらに具体的に、「彼らの人間関係が非常に濃い」ことを挙げたのは、進路指導部長を務める村上幸志教諭だ。村上教諭は高3生を受け持ち、受験勉強の辛さを傍らで見つめてきた人だ。最後の1年間だけでも、何度不安にかられ、逃げ出したくなるか分からない生徒たち。そこで踏みとどまり自分を見失わず、最後まで目標に立ち向かえる生徒を支えるものとは、実は生徒同士の人間関係だという。自分も辛いからこそ、仲間を励ますことができる仲間意識がそこにはある。いや、むしろ「楽しかった」と振り返って感想を述べる卒業生も少なくないのである。

 どうやら真に切磋琢磨できる仲間づくりが、開明の肥沃な土壌となっているようなのだ。受験勉強も最終段階に入る頃には、チーム東大、チーム京大といった志望大学別の演習にはいる。1日8時間、教師も含め限られた人間関係の中で過ごす時、それまでに培われた互いを理解し合あい、本音を言い合い、励まし合える関係が強固な集団としてものをいう。

 目標達成を願うあまり効率一辺倒に陥るなかれ。急がば回れの精神で、ぶつかり合える環境こそ人間形成の基本。その土台をしっかり固めよと開明の教育が語っているように思えた。

 

ぶつかり合える環境は
スイッチが入りやすい

 では、ぶつかり合える環境として有効なものとは何か。同校の場合、中学3年間に経験する多彩な学校行事がその役割を果たしている。理科実習を目的とした臨海合宿、歴史の舞台を訪れる歴史探訪など、毎年2回行われる宿泊行事は生徒間、対教師間の距離をぐっと縮める機会となっている。

 特に中3の春休みに行われる名物行事、「しまなみ海道夜間歩行」では、43キロの道のりを半ばもうろうとしながら、助け合いながら完歩する。厳しい目標を仲間とともに達成したという喜びが、生徒の中に大きな自信となって残るという。一方、行事をリードしていく側の教職員は、実施前段階から生徒一人ひとりの体質、体調、心の状態にまで気を配り、万全の対策を講じて実施にのぞむ。これが、森田校長がいうセーフティネットだ。

 セーフティネットはまた、日常の学校生活でも学年主導型の指導体制の中に見られる。生徒の全教科の学習状況や生活全般に関する情報を教師が共有し、一人ひとりを学年団として見守る体制だ。個人を総合的な観点から見て、指導しやすいというメリットがある。

 これら手間ひまかけた行事や、ぶつかってみなさいという校風のもと、目標に対する「スイッチが入る」生徒も少なくない。学校はいつ入るか分からないスイッチのために、環境を整えて待つ。そんな姿勢を感じ取ることができる学校である。

 
  ページの先頭へ戻る
manavinet」運営 / 「塾ジャーナル」 編集・発行
株式会社ルックデータ出版
TEL: 06-4790-8630 / E-mail:info@manavinet.com
Copyright© 2004-2003 manavinet. all rights reserved.