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中学・高校受験:学びネット

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大阪国際滝井高等学校

 
  礼法導入で生徒に良い変化 出身校から評価を得る
「凛とした美しい人づくり」をスクールモットーに、昨年、小笠原流礼法を授業や行事に取り入れた大阪国際滝井高等学校。2年目にして「立ち居振る舞いだけでなく、生徒の自発的な行動が目立つようになった」と喜ぶ中田碩也校長。改革をマスの視点でとらえず、テーラーメイド(手づくり)教育を提唱し、生徒一人ひとりに目を向け、一人ひとりのハートに火をつけることで生徒の自主性を引き出し、学校の活性化を推し進めている。 スピーディーな学校改革を進め、民間企業出身の校長らしさをのぞかせる一方で、教育は”Give and give”。見返りを求めず、生徒に尽くし続ける姿勢も示す。

校 長: 中田 碩也
住 所: 〒570-0062 大阪府守口市馬場町2-8-24
電 話: 06−6996−5691
交 通: 京阪本線「滝井」駅から徒歩5分/地下鉄谷町線、今里筋線「太子橋今市」駅から徒歩8分/地下鉄今里筋線「清水」駅から徒歩7分
学生数: 691名 (2009.7.1現在)
ホームページ: http://www.takii-h.oiu.ed.jp

 

所作から自立的行動へ

 押し寄せる共学化の波の中でも、世の中には『女子校だからこそ出来る教育』へのニーズは依然として存在している。大阪国際滝井高等学校もそんな声に耳を傾け、日々改善努力している女子校の1つだ。
人が潜在的な自分の力に気づき、その能力を発揮するようになるには、さまざまなキッカケがある。特に、『自信』こそが自立的に生きて行くうえでの必須条件であり、『ちょっとした成功体験』によって自信を得るようになるものである。同校の教育はその点にこだわっている。そのキッカケづくりを礼法に求めたのが中田校長だ。

 同校では昨年、小笠原流礼法を「体育・吹奏楽」「幼児保育進学」「標準」の3コースで週1時間の授業として取り入れた。1年次は姿勢・歩き方・座り方・食事の作法から始まり、2年次には和室の作法・煎茶道・礼法の歴史・和室での心遣いと進む。形から入り、次第になぜそう振る舞うのかを考え、他者との関わり方を学んでいく。3年次には弔事の作法・手紙の書き方・贈答の作法・人の一生といった人生観にまで学習は深まっていく。授業を重ねるにつれ、生徒は「美しいもの」「美しい行い」に敏感になっていく。授業開始終了時の「起立、礼」など、礼法の取り組みは、日常の学校生活の中で全科・コースに浸透している。

 いつの頃からか、早めに登校し校庭や校門前の歩道を掃除する生徒が現れた。花壇に水をやる、草取りをする生徒も増えてきた。同校は校門前の歩道に設置された花壇を地域住民と共に世話する『アドプト・ロード・プログラム』活動を率先して行っているが、礼法で培われた「他者を思いやる行動」がマッチングした出来事に思われる。変化を見せはじめた生徒の姿に、中田校長は礼法導入の手ごたえを感じている。

 そして、1年間の礼法授業を終えた卒業式で、中田校長は「礼法教育の成果」を改めて実感することになるのである。同校の卒業式には来賓約50名が出席。その中には卒業生の出身中学の校長も含まれている。中学卒業時から3年経った教え子の姿を見てほしいと、毎年招待しているもの。

 式に臨んだ生徒が中学時代とは見違えるように居住まいを正し、式に臨んでいる姿に中学時代の恩師は「あの子が」と驚きを口にするというのだ。高校時代に何をキッカケとして何を得るかは人それぞれ異なる。滝井高校は生徒一人ひとりに合った取り組みを行うことで、本人が気づいていなかった「自分」を見い出させようとしている。

 「自分が直接中学校を訪問して、礼法授業が周知されてきたことを感じている。本校の取り組みに対する中学校や保護者の関心は高く、滝井に求められているものは何かを、引き続き読み取っていきたい」と中田校長。

ポジティブ指導で生徒に向き合う

 イキイキと生徒が自立的に行動することで学校を活性化し、学校改革を進めたいという中田校長の思いは、同時に教員研修なしには実現が困難だ。「褒められることに慣れていない者は、認められたいという欲求が人一倍強い。その気持ちに教員が応えてこそ、生徒を成功体験に導くことが出来る」と、就任以来ポジティブな指導を教員に求めてきた。

 第一に行った教員研修は、各教員が年度方針・目標を決め、その達成度を自己評価することだった。昨年は、課題図書としてデール・カーネギーの『人を動かす』を全教員に配布。読後、@今後の教育・生活の中で生かしたい内容を具体的に挙げ A心に響いた・心を打つ教育を実施する際に心がけることは何かを問い、レポートの提出を求めた。その後グループディスカッションを行い、教員がポジティブ指導に必要なヒントを得るキッカケづくりを行っている。
今年は『教師力〜授業は話す力、聞かせる力〜』(一色尚著)を課題図書に選び、授業改善に取り組むという。

 些細なことも見逃さず、生徒を褒めるポジティブ指導。その必要性を感じたのは、一般に増加しているといわれている「ドロップアウトしてしまう生徒」の問題が根底にある。
例えば、不登校に陥った生徒が、出席日数が不足し留年や退学をするというケース。その場合、教員はそうなる前にどれだけ生徒と向き合ってきたのかが問われる。「原因は生徒だけにあると思うな」そう中田校長は教員に檄を飛ばす。家庭との連絡は十分に取れていたか。生徒が自信を取り戻すために何が出来たか。どう、キッカケづくりをすべきだったか。一人の生徒の生き方・将来に関わる分岐点を単に出席日数を数えることだけで見過ごしてはならない、という中田校長の思いが伝わってくる。マスではなく、一人ひとりに合わせたテーラーメイド教育実践のための教員研修がそこに見える。

 今春、同校の入学者は216名。前年に比べ少し減少した。とはいえ、1学年で200名以上の募集を実現させている女子校が減少傾向にある現在、堂々健闘といえる数字だろう。加えて、経済環境の悪化、大阪府の授業料軽減措置の条件の厳格化など、私立女子校を取りまく環境は厳しさを増している。そんな中、「求められていることを Give and give の精神で愚直にやり通す」という滝井高校の姿勢もまた、礼法の精神と通じている。

 
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