今回で5回目を数える開明中学校の弁論大会。昨年度末にクラスで個人発表が行われ、クラス全員と担任教諭の投票で選ばれた生徒が壇上に上がり、姿勢正しく自分の思いや意見を高らかに述べた。
生徒会が主体となり、生徒自らの手で進行されるこの大会では、扱われるテーマは特に決められていない。そのため、好きなスポーツやファッション、社会問題となっているいじめや環境問題、幼児虐待、教育改正についての主張と、非常に幅広く主張が論じられる。
列席した保護者が、「緊張して震えてしまいました」とコメントするかたわら、生徒たちは非常にリラックスムード。弁論時に言葉につまることもなく、自分なりの言葉で思いを述べた。どの弁論も、教員が資料集めや分析の手助けはするものの、最終的には10代ならではの観点でまとめられており、教職員などを唸らせるほどの弁論があるかと思えば、会場全体が笑いに包まれる主張もあったりと、全体的に興味深い内容構成となっていた。
採点基準は姿勢や声量、熱意、表現、内容の5項目で行われるが、総合優秀賞と準優秀賞の差はわずか数点の僅差であり、年々レベルがあがっているという関係者の言葉を裏付けるものであった。
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開明中学校 教頭
早坂 元実氏
この弁論大会も早いものでもう5回目を迎えました。優勝した生徒をはじめとし、どの生徒も自分の問題としてテーマを考え、熱く語ることができるようになったと感じています。
この大会には、一年間という長い準備期間が用意されています。今回の弁論大会で壇上に上がった生徒は各クラス代表であり、予備予選として、クラス全員が参加するクラス代表決定戦が各クラスで行われます。ですから、生徒全員が一度は弁論する機会を与えられます。クラス全員が自分が代表になるために頑張り、自らの手で代表を決め、代表が決まったら、その生徒に向かって心から声援を送るのです。
また、国語に限らずすべての教科の教員が各担当のクラスの生徒全員に対し、アドバイスや資料収集などを手伝います。その過程で、各々の生徒が自己の視野を広げ、様々な角度からひとつの物事を見る力を持つこと、そしてその問題を深く分析し、考える能力を育成していくと同時に、生徒と教師の信頼関係の強化や、生徒の目的意識の確立を行います。そして、将来の目標を見定めたり、社会との関わりを考えるよいきっかけとするのです。
弁論大会は中学時代のよい思い出となると同時に、将来の社会生活において様々な分野で自己を主張しなければならないときの、よい基盤となるでしょう。自分は中学の時に、あれだけの発表をしたという自信が、彼らの強い力となることは間違いないと思います。
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