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中学・高校受験:学びネット

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金光大阪中学校・高等学校

 
  一人ひとりが文武両道部活の粘り、感動が学習に効果
ここ数年の改革の成果がじわりと浸透、口コミで中学校の募集に好影響がでている金光大阪中学校。高等学校では野球部をはじめ各部の活躍が目覚ましく、進学実績も国公立9、関関同立に58という数字を上げている。部活動で体得する粘り強さや感動をばねに大学受験を乗り切る生徒が多い学校だ。1人の生徒が学業でも部活でも思う存分自分を出し切る「金光式文武両道」のために重ねられてきた工夫と教員の熱意を取材した。

校 長: 片山 剛
住 所: 〒569-8575 大阪府高槻市東上牧1丁目3番1号
電 話: 072-669-5211
交 通: 阪急京都線「上牧」駅から徒歩3分
学生数: 中学校 88名
高等学校 1,125名 (2008.09.1現在)
ホームページ: http://www.kohs.ed.jp/

 

打ち込める資質を摘まずに伸ばす

 比較的順調な生徒募集を続けてきた金光大阪高等学校が、少子化対策として学校改革を意識し始めたのは約10年前。中高一貫教育体制を築き、同時に充実した高校生活と希望の進路の保証をもたらす改革案を練った。

 改革案策定は高校生の特徴をとらえ、生徒像を分析することから始まった。「正直、お預かりする生徒の学力はトップレベルではなく、中堅クラスの生徒たちですが、中学時代から野球やサッカー、その他のスポーツに打ち込んできた生徒が少なくありません」と。打ち込めるほど好きなものを持っている生徒の資質に着目したのだ。

 ところが、中学時代に部活に打ち込んできた生徒も、大学受験を意識し始めることになると退部が目立つようになる。進学を強く意識する保護者が、受験勉強に専念できるよう練習を控えたり、退部を促したりするためだ。ここで、言われるままに止める、頑として止めない、また、口では止めると言ってもどこかにボールを隠し持つタイプに大別されるというが、後者二者のようなタイプほど学力が伸びることを野田一雄副校長は見抜いていた。

 せっかく夢中になれるものを持っているのだから、その資質を取り上げることなく両立できる方法を工夫すれば、むしろ学習効果は上がるのではないか。その確信が野田副校長の提唱する「金光式文武両道」の始まりであった。

教員と生徒が文武両道で一体感

 6年前、サッカー部員として活躍した生徒が、3年生の年の暮れまで東京での全国大会に出場していた。あえなく試合では悔し涙を飲んだものの、その春、京都教育大に現役合格、無事卒業し、今春から同校で国語科の教諭を務めている。今春、慶応大に合格した生徒も柔道部員だった。無論、すべての生徒が部活をしながら難関大に合格するわけではない。が、部活で培った体力、精神力のいずれもが受験には必要であることは言うまでもない。

 厳しい朝練、夕練をこなしながら、現役で志望校に合格することは困難と考えられがちだが、同校はその常識を覆し、徹底した文武両道体制を築いてきた。「金光式文武両道」のモットーは、全教員が一致して文と武のプライオリティーを意識することである。通常なら、放課後になれば部活のユニホームに着替えグラウンドに飛び出していくところ、同校ではまず課外授業ありきなのである。放課後だけでなく、早朝講習も受けるという徹底ぶり。当然にして、部活に費やす時間は限られるが、集中することでかえって効果的な練習が行えるのである。

 部活の練習に優先して行われる課外講習で、演習などの受験指導を行っていた教諭が、講習が終われば着替えてグラウンドに立ち、ホイッスルを吹いているというのが「金光式文武両道」の特徴でもある。さっきまで一緒に頭をひねっていた教諭が、次の場面では一緒に汗を流す姿は、生徒との一体感を生む。

 「試合に負けても、レギュラーになれなくても、腐らず頑張り通せるのは、そこに感動があるからで、そうして養われた精神は必ず後に生きてくる」と野田副校長は改革の柱に「文武両道」を据えたことに自信を見せる。

パブリックな期待が人物を育てる

 今春の中学校入学者は46人で、開校以来初の2クラス編成となった。6年一貫教育を終えた卒業生の実績が口コミとなって受験生が増えたと、野田副校長は見ている。

 中学校1〜2年次は主体的に学習する態度を養いながら、基礎学力の定着を図るためのカリキュラ
ムが組まれ、3年次以降に高1課程の先取り学習を行う。

 高等学校進学後は「特進」「特進国際」「普通」の各コースに分かれるが、中高一貫生は基本的に「特進」コースへ進むことになっている。「特進」では高等学校から入学した生徒と中高一貫生はホームルームでは混合クラスとなるが、主要教科では習熟度別クラスを編成する。

 さて、授業ではより分かりやすく、面白い授業を創造する目的で、各コース各教科担当に対する生徒の評価制を導入している。生徒のアンケート形式で各教諭が結果を管理職に報告している。ただ、日常的に生徒の声を耳にしているのか、野田副校長はこんなエピソードを打ち明けてくれた。

 中学生に担任をどう思うか聞いた場面で、「嫌いやけど好き」という摩訶不思議な評価が返ってきたというのだ。この言葉の意味を野田副校長は、日常のこまごまとした指導は生徒から見れば、小うるさく厳しく受け止められている半面、どこか指導に誠意を感じているのではないかと。

 そして、きめ細やかな指導は期待すればこそ行うのである。どの生徒にも、学習面でも、部活でも、生活面でも「あなたなら頑張れる、あなたなら克服できる」という期待を言葉ではなく、精神で伝えていくのだという。「今や国や社会は子どもに期待しなくなりました。そういう風潮は子どものモチベーションを挫きます。子に期待するのは親だけです。ところが親の期待は、わが子だけに向けられており、思春期の子どもたちはそんなエゴに反感を持つのです。そこで、国や社会に代わって本校が生徒一人ひとりに期待をかけることで、切磋琢磨し仲間同士で高め合う環境を創っているのです」と。一人ひとりを、そして全員を見渡たしている言葉である。

 

 
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