変革後の知名度アップに期待がかかる
大学の4年間を除けば、15歳から現在までずっとこの学校とともに歩んできた――そう話すのは4月に阪南大学高等学校の校長(中等部を兼ねる)に就任した高木清宏校長。かつての大鉄高等学校に入学し、野球部に籍を置き、昭和46年の甲子園で準優勝を経験した人物でもある。「守備はファースト、野球一筋の青春時代」と当時を振り返り相好を崩す。
大学卒業後も保健体育科の教員として勤務、3年前から教頭職の傍ら中等部で授業を受け持ってきた。同校は実業高校から1982年に普通科高校へ転換、男子単学から共学化へ、そして2002年の中等部開設という変遷をたどっている。そのすべてを見守ってきた高木校長は「よく頑張ったと思う」と短く評する。その一言には、新たな取り組みを成功させてきたというだけでなく、スムーズに学校のイメージを変革させてきたという意味も込められている。
とりわけ、ここ数年の改革ペースは速かった。第一に、広大な校地に最新設備を持つ校舎を建設したこと。多様化する生徒のニーズに合わせ、学びの幅を広げた。高等学校では数英、国英、国際、総合の4コースを設け、国公立、難関私大への進学を目指した進路指導が行われている。中等部ではバラエティにとんだ体験学習を導入することによって、学力と人格形成面でバランスの取れた中高一貫教育を進めてきたところである。いわば、ハード・システムの両面においての改革は一段落した感がある。
その変革をつぶさに見つめてきた高木校長には、今後、同校が持つプラスのイメージをいかに伸ばし、際立たせて阪南大高スピリットを確立し、知名度に結びつけていくかという点に期待が寄せられている。
中等部の入試科目が変更になる
高木新校長のもと、来年度の中等部入試における受験科目の変更が決定された。これまで1次試験では4科目による選考が行われてきたが、来年度からは国語、算数、理科の3教科入試となる。配点はそれぞれ国語100、算数100、理科50点だが、得点計算に二通りの基準を設ける。ひとつは国語100と算数100の合計点を得点とする方法。もうひとつは国語100と算数100の合計点×3/4+理科50の合計点を得点とする方法。共に200点満点で、選考はそのうち受験生にとって有利な方で行われる。
入試広報部の大島利英教諭曰く、「小学生の時点で理科が不得意な生徒、あるいは興味を持たなかった生徒も、中高の6年間で十分に実力を伸ばせる可能性が高いと判断したため」と。なお、2次試験については従来通り2科目による受験となる。
また、大島教諭は「受験生の中には6年生の夏ごろになってから、地元公立中学校に進学するかどうかを迷い始める生徒がいる。そうした生徒が4科目受験で不合格となるケースが、これまで少なからずあった。算数と国語の成績が一定水準に達していれば、本校入学後に理科、社会の学力を着実につけていくことができる」と地元の事情やこれまでの受験生事情にも考慮したようだ。
同校では受験を前に体験入学会やプレテストを実施してきたが、今年から体験入学の回数を増やし、これまで秋に1回のみ開催されてきた体験入学は、今年、6月29日、10月26日(プレテストは10月26日と12月6日)に開催される。なお、参加には事前申し込みが必要(直前でも可)。
|
現役大学進学が卒業生の85.8%
中高一貫生として入学した第一期生も今春、高等学校を卒業、高校からの4コース(数英、国英、国際、総合)と併せて初めて5コースの卒業生を送りだした。卒業生409名の進路は、国立大4名を含み351名(85.8%)が大学進学、専門学校26名(6.4%)、就職10名(2.4%)、浪人等が22名(5.4%)だ。大学進学者の内、142名は、特別推薦入学制度を利用して阪南大学へ入学した。この制度での入学者は、入学金が免除される。阪南大学と言えば、キャリア教育に力点を置き、受験生から「就職に強い大学」として、人気急上昇の大学である。どの分野に進むにしても、将来の夢につなげるために、同校へ進学する生徒も少なくない。
活発なクラブ活動
阪南大学高等学校は、クラブ活動も活発で体育系が15クラブ、文化系が12クラブある。(含同好会3)平成19年度には、卓球部(3年連続)、ソフトテニス部、空手道部が近畿大会に出場。文化系クラブでは、軽音楽部が、軽音楽の甲子園と言われる「We are Sneaker ages」で度々、グランプリ大会に出場を果たしている。
これまでの歴史の中でその時々のニーズを敏感にとらえ、変革を続けてきた阪南大学高等学校は、来年創立70周年を迎える。オープンな校風、ゆったりした校地、のびやかで純朴な生徒像。そんな阪南大高らしさに今後プラスされるものは何か。生え抜き校長の手腕に注目が集まっている。
|