中学校の入試状況と学校生活
桃山学院中学校・高等学校は1884年、英国人宣教師によって当時の川口外国人居留地に創設されたのが始まりで、キリスト教の「自由と愛の精神」によって世界に通用する市民の育成を教育理念とする学校である。
ここ7〜8年の間に高等学校と中学校の校舎をそれぞれ新築し、共学化、各コースの新設、課外授業の強化、そして、中学校開校と改革に挑み続けている。塾関係者の間には「今年はどんな取り組みが発表されるのか」や「改革の成果は」といった関心が高く、6月13日に開催された塾対象説明会には500余名の参加があった。
まず、今春開校した中学校の入試結果だが、医歯薬系、難関国公立を目指す「6年選抜コース」と、国公立、難関私大を目指す「6年進学コース」の2コース合わせて120名の募集定員に対し、417名の志願者があり、受験者は353名であった。入試は各コースともA方式(4または3教科型)、B方式(2教科型)、C方式(小論文と算数)の3回で実施され、来年度も同様に行われる予定。入学後は成績により毎進級時に「6年選抜」 「6年進学」間のコース変更が行われ、6年一貫のシラバスにより授業を進めるため、高校進学後も外部入学生とは別クラスを編成する。
中学校教育活動の特色としては、1年次から週3日各1時間半の自習ステージ(チューター制による自学自習制度)に参加する他、職業観の早期の醸成を図るためのキャリアガイダンスの実践など、15のプログラムが準備されている。この内、今回紹介された取り組み「PDCAノート」は、学習目標達成のための自己管理計画表。自らの行動をPlan, Do, Check, Actのサイクルで検証し、学習計画を自分で作り出していく取り組みだが、パワーポイントで取り上げられた計画表には綿密に自己の学習活動を振り返った様子が伺われ、自主自律の精神の涵養を目指す桃山の気風を感じさせた。
学校生活では週3日午後6時までの自習ステージが義務付けられているため、クラブ活動への参加は自習ステージがない日に限られるが、プロジェクターに映し出された中高混合で活動する様子には、年齢差を超えた連帯感が育まれていることがうかがえた。
今年初めには中学校棟である聖マルコ館が竣工し、中学独自の特別教室、体育室など設備を充実させたほか、登下校の安全確認を保護者が行えるよう、登下校管理システムを採用するなどの配慮もみられた。
|
|
高等学校の取り組みと実績 そして今後への期待
高等学校入試でも1812名の志願者を集めるという人気ぶりで、昨年度設けられた「S英数」コースは、府立4学区のトップ校との併願者が多かった。その成績は五ツ木B判定で専願者64、併願者67の数字をはじき出している。「英数」コースは4学区の2番手校との併願者も多く受験。両コースとも共学で国公立大進学を目指すが、特段に「S英数」は超難関国立大と医歯薬系進学希望者で占められる。
「標準」コースは男子単学制で、国公立、難関私大を目指すが、指定校推薦の対象コースでもあり人気が高い。また、そのうちの「アスリートクラス」は、ハンドボール、バレーボール、バスケットボール、サッカー、水泳で一定以上の運動能力を有することを条件に専願者40名に限って募集、私立文系大または桃山学院大学への進学を目指す。
「国際」コースは4週間のカナダ留学を行うクラスAと、1年間のカナダ留学を行うクラスBがあり、私立文系大学や国公立外国語大への進学を目指す。
全コースで60分の完結型授業が採用され、放課後のチューター制による「自習ステージ」、受験応用力を養う「M1ゼミ」、成績不振者に実施される「Rゼミ」、夏期講習といった課外講習を充実させている。(「S英数」「英数」以外のコースでは「Rゼミ」以外は任意参加制)。
大学合格実績では阪大、神大を始めとする国公立大に41名と昨年に比べやや低迷したものの、関関同立には現役で124名が、既卒者も合わせると164名が合格した。この数字は3年前に比べると約1.6倍となっている。現高1生の成績を見ると、ベネッセスタディサポートで国公立ゾーンといわれる「A1〜A3」に114名、「S1〜S3」に42名が入っていることから、今後の実績が期待されるところだ。
09年入試に向けた情報を公開
説明会では2009年度の入試に向け、中学校、高等学校ともに入試問題の傾向と対策が紹介されるとともに、入試問題集が配布された。各教科のこれまでの出題分野と出題意図、配点、受験生へのアドバイスといった情報は、塾関係者には好評のようだ。
今年の中学校プレテスト(小6生対象)は10月19日(日)に国語と算数で実施され、理科と社会は問題と解答を配布する予定。実施要項、申込方法などは同校ホームページに8月上旬、掲載される。昨年は638名がプレテストに臨んでいる。受験者の中には同校を第一志望に選ぶ桃山ファンも多く、前回入試ではA方式からC方式まですべて受験し、粘り強く最後のC方式で合格を手にした生徒もいたという。当日は保護者対象入試説明会および個別質問コーナーでの質問も受け付けるという。
|
|