文武両道の環境づくり
クラブ活動は中学では9割、高校では6割の生徒が入部し、どのクラブもレベルは高い。野球部が選抜高校野球に出場、サッカー部はプロ選手を生み、剣道・卓球部は全国大会出場、吹奏楽部・書道部・写真部など文化部も輝かしい賞を受賞している。
「外部から特別なコーチを呼んできているわけではないんですよ。先生が熱心なことと、地元の子どものことをよく心得ていて、うまく指導していることで、ぐんぐん伸びるのだと考えています」と教頭補佐兼教務部長の西村公延先生は微笑む。
同校は駅から徒歩3分という都心に位置するにもかからず、野球・サッカー・ラクビー・陸上部が同時に練習できる広大なグランドや広い体育館を持ち、しかもナイター設備が整い、食堂も夜間営業を行っている。
個性を最大限に伸ばすコース制
クラブ活動と同様、学習面でも教師たちの熱心な指導で確実に伸ばし、国公立大学をはじめ、関関同立、産近甲龍などの大学合格者を出している。一人ひとりの個性を伸ばし、能力を最大限に引き出せるよう、同校では「コース制」を採用している。まず高校に入学時、成績と本人の希望により「特進コース」と「普通コース」に分かれる。
2、3年次では「特進コース」が1と2、理系コースの3コースになる。
「普通コース」は有名私立大学の文系学部を目標とし、様々な課外活動を通して人間性を高めながら、大学進学の学習を進める。
特進1は、国公立大学や関関同立を目指す。特進2は、産近甲龍などの大学が目標だ。特進コースは、充実したカリキュラムによる丁寧な授業に加え、早朝講習、放課後講習、
長期休暇中に実施する特別講習を実施。さらに学習合宿を行って、学習習慣を確立する。
その他カナダへの修学旅行やカナダ・ニュージーランドへの1年間の留学制度など英語力や国際感覚を磨く機会も設けている。
「中学のときクラブ活動に熱中していた生徒が卒業時にはトップクラスになることもあります。両立させる体制があれば、驚くほど伸びる生徒が必ずいるんですよ」と西村先生は強く語る。
3つの車輪で伸ばす
創立22年、まだ歴史が浅い学校にもかかわらず、「確かな学力と豊かな情操」を育てようと邁進し、進学実績・課外活動の実績ともに年々伸びてきている。
校長は、教育の指針として3つの車輪について語る。
「三輪車にたとえて、前輪が生活指導、後輪が学習とクラブ活動だと考えています。一番大切なのは生活指導です。前輪が進めば、後輪がついてくるように、生活がだらしないと何もできません」。
入学にあたっては、金光教の信者である必要性など質問がよく出るが、信者である必要性は全くない。ただ、常日頃から粘り強く生活指導を行うとともに、折りにふれ感謝の気持ちを育てようと努力している。
「昨年の卒業式では、卒業生たちが教師たちのために花道を作り、胴上げをしたのです。卒業生のために花道を作ることはあっても、教師が経験することはあまりないでしょう。自ら企画してやった彼らの姿に、感謝の気持ちを根付かせる教育ができたのかな、と感慨無量でした」と西村先生は話す。
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中学からの内部進学者はリーダー的存在に
金光大阪中学校は、中高一貫でじっくり育て、希望進路を確実なものにする。英数国の3教科については公立中学に比べ2〜3倍弱の授業時間数をとり、中学2年で中学課程は修了、高校課程も高校2年次で終了し、高校3年の1年間は受験演習に充てるよう先取り学習を行う。個別学習やティームティーチングも用いて、わかるまで丁寧に指導。なかでも国際教育にはかなり力を入れており、中学3年では1カ月間1人でホームスティを行い、語学学校へ通う「ニュージーランド短期留学」を実施。それまでに「使える英語」を目指し、ネイティヴスピーカーの教師の授業を採り入れながら、リスニング・スピーキングに重点を置いた指導を行う。
また海外でのホームステイでは英語のみでなく、「生きる力」も必須である。同校では合宿や社会見学、体育祭など毎月のように行事を行い、その中で人と協力してものを作り上げていくことや、考え、表現する力などを培っている。
3年後、高校進学時の成績は上位者が多く、特進コースのトップには彼らの名前が並ぶ。
「中学1年生の時、全国模試で偏差値が50点台の生徒が高校3年では、順位が全国で1桁になるケースもあります。高等学校では、外部生も内部進学者も刺激し合ってよいため同クラスにしますが、特進の中でも、内部進学の生徒たちがリーダー的存在となって、みんなを引張って行ってるようですよ」。
なお中学3年次の短期留学をきっかけにさらに留学したい生徒には、1年間の留学と帰国後の受験指導を行う「特進国際コース」を設けている。
その後の人生のキーを握る思春期の大切な6年間、中学校も視野に入れ、考えていきたい。
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