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中学・高校受験:学びネット

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浪速中学校・高等学校

 
  新校長、理事長兼務で学校経営、運営の両面でスピード改革
大阪府立高等学校の初めての民間人校長として、高津高等学校に4年間勤務。徹底した民間手法で、大幅な現役の国公立大合格者を輩出させた木村智彦氏が、理事長、校長を兼務することとなった浪速中学校・高等学校に注目が集まっている。30余年の民間企業での経験が改革にスピード感を、公立高校での経験が学校運営に責任論を加味させた。すでに始まっている“浪速の変化”を取材した。

校 長: 木村 智彦
住 所: 〒558-0023 大阪市住吉区山之内2丁目13-57
電 話: 06-6693-4031
交 通: JR阪和線「我孫子」駅、「杉本町」駅より徒歩10分、南海高野線「我孫子前」駅より徒歩8分、地下鉄御堂筋線「あびこ」駅より徒歩15分
学生数: 中学校  138名
高等学校 1360名 (2007.9.1現在)
ホームページ: http://www.naniwa.ed.jp

 

校長のリーダーシップで改革にスピード感

4月に就任したばかりの木村氏を校長室に訪ねると、折しも揮ごうされているところであった。就任後すぐに改修を決めたという校門。その校門に掲げる校名札に「浪速」の文字を書くため、自ら筆をとったとのこと。早速、校門改修の話に及ぶ。なぜ、校門から・・・の質問に回答は明快で「浪速改革のシンボルゲートですから」と。この一言に、今後、取り組むべき改革の道のりを感じさせる。
新たな校門は、大正ロマンを思わせるデザインで、同校創立時を想起させるレトロ調。大正12年、「淨、明、正、直」の心を持って、祖先を尊び、家族を大切にする「神社神道」を建学の精神に掲げ、全人教育の道を歩み始めた同校を、改めて初心に立ち返らせるシンボルゲートとなるだろう。

木村校長の思いもまさに、建学の精神を前面に出した学校改革を進める点にある。「今の私学は進学実績の追求に偏りすぎていないだろうか。それは重要ではあるが、建学の精神をより鮮明に打ち出すことが、改革のポイント」と語る。民間企業では同業他社との差別化を計るため、アイデンティティの確立は何より重要である。その感覚が身についた木村校長であればこそ、神道の教えを建学の精神に据える全国で唯一の学校であることを、訴えていくことは至極当然と見られる。

その意味で、今年から学校案内冊子の内容も大きく変えている。浪速の教育方針を明確に示し、具体的な特色教育を分かりやすく打ち出している。「浪速が変わる、浪速で変わる」のキャッチコピーは、木村校長が生徒、保護者に示した一種のマニフェストでもある。「『浪速が変わる』というのは、今後、より生徒、保護者のニーズに応えられる改革を約束させていただくということであり、『浪速で変わる』は、誇りを持ち、謙虚で、力強さを兼ね備えた生徒に変えてみせる、という意味」と語る。

加えて、これまでのコース制も2008年度からは一新する。高等学校入学時に6コースに細分化されていたものを改め、高1年次は理数科SSコースを除き、全員が普通科に在籍することになる。その後、高2年次より進路決定を行い、転科、転コースを行っていく。「早い段階で理・文に進路設定をすべきでなく、1年間は基礎を徹底的に確立させるべき」という木村校長の考えに基づいている。

ただし、1年次より数学と英語については習熟度別授業(3段階)を実施し、学期ごとに受講クラスを入れ替える方針。また、民間教育機関との連携は積極的に行っていく考えを表明している。

さらに、中高一貫教育に独自性を出そうと、中学段階での習熟度別授業は無論、中学校から高等学校へも担任教諭が持ち上がる「5年間担任制」も構想中という。

情報発信、説明責任を徹底

先に学校案内用冊子に書かれた内容は、生徒や保護者に対するマニフェストと書いたが、木村校長の話には民間企業での経験を感じさせる言葉が多く飛び出してくる。「学校は顧客である保護者に対し、アカウンタビリティ(説明責任)を果たさなければ・・・」というように。常に、両の目を内外に向け、そのどちらからも理解を得ていこうとする姿勢を強く感じる。

そうした観点から生まれたのが「なにわ通信」である。現時点で学校がどのように変わったのか、また、今後、どのような方向性を持って改革が進められるのかを、タイムリーに生徒、保護者をはじめ、公立中学校の生徒、学習塾関係者に広報する情報紙だ。「さまざまな人に常にWhat's happening? What's new? と学校に関心を持ってもらうことがねらい」という。ほかにも、同校の公式サイトに掲載のブログ「校長日記」は、日々の思いをありのままに伝え、その更新頻度も高い。

こうした手法により、就任から数か月で保護者の信頼を勝ち取ったことを証明するエピソードがある。先の校門改修の話に戻るが、実際、改修に必要な費用も保護者からの寄付でまかなっており、また、学校に職員が使える車が必要だろうと、大型バン1台の寄付も受けたという。「投資をしてくれる人(保護者)との関係づくりも必要」という木村校長の言葉は、少なくともこれまで教育界で耳にすることは皆無ではなかったか。改革を前に、保護者を投資者としてタブー視はしないというスタンスだ

ところで、強いリーダーシップや急速に進む改革に抗する勢力はないのだろうか。「明確に目標とすべき数字を教員に示し、それが達成できなければ給料をカットせざるを得ないと言いわたしてある」と強気。そして、その後の教員側からのリアクションなど、あらゆる場面を想定した対処法についても、経営者としての覚悟をもって臨んでいるようだ。
「同じことを言いわたしても、公立の教員の理解度は遅い。つぶれることは無いと、いまだに甘えているからだが、さすがに私立は誰もかばってくれない中で、経営という視点を学校に持ち込まざるを得ないということが分かっている。このヴィヴィッドな感覚が私には合う」と木村校長。その上で、同校の教員への信頼は厚い。「生々しい連続した公立と私立の実践経験を語れるのは私だけだが、教員に関して言えば、トータル的に見て私立のほうがよく仕事をする」と言い切る。

変わらないもの変えないもの

「浪速改革百年の計」と銘打たれた新たな学校づくりは、まだ始まったばかりだが、急速に同校に対するイメージ、外部評価は変化していくと見られる。だが、一方で、これまでどおりの「浪速の心」である神道教育の実践は、学校改革がいかに進もうと変わることのないコアな部分として継承されることは言うまでも無い。
神道教育の実践として浪速の名物行事となっている、高校1年生を対象とした伊勢神宮への修養学舎は今年も7月に実施された。伊勢神宮への参拝の後、男子生徒は五十鈴川での「禊(みそぎ)」を、女子生徒は「作法・着付け」を体験学習している。

ほかに、3学期の始業式を学校での「事始め」と意識させる「新春拝賀始業式」は、清新な気持ちで学校生活に臨めるよう位置づけられており、浪速独自の神道教育の実践は変わることは無い。

最後に、木村校長は「現在は、ブランド大学、有名大学を卒業したというだけでは、自在に生きていけない時代。確かな学力や知識プラスアルファが求められている。本校では建学の精神によって、卒業後も生徒が拠って立つところ、つまりアイデンティティの確立に力を傾注していきたい」と締めくくった。

 
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