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中学・高校受験:学びネット

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平安女学院中学校・高等学校

 
  改革がジワリ浸透 中学校・高校とも入学者人数増 関関同立へ前年比184%
キリスト教精神をバックボーンに130年の歴史を刻む“老舗ミッションスクール”が教員の意識改革を中心に学校運営全体の見直しを始め1年が経った。生活指導から受験指導まで「どう生きていけば幸せになれるか」というテーマに即した取り組みが日々繰り広げられている。生きるための命題を中高生の視点で問い続ける着実さと、ニーズに即応するスピード感が対照的。同校の今を取材した。

校 長: 勝野 善彦
住 所: 〒602-8013 京都市上京区下立売通烏丸西入
電 話: 075-414-8101(入試広報室)
交 通: 地下鉄烏丸線「丸太町」駅2番出口より徒歩3分
学生数: 中学校  129名
高等学校 406名 (2006.9.1現在)
ホームページ: http://www.heian.ac.jp

 

結果が出たその要因は

前任の長野雅弘校長(現・同校中高担当理事)がキリスト教教育の理念を根本に、学校改革に着手したのが1年前。進むべき方向性をリベラル・アーツ系の学校と明確化した。その上で、「これまで教員が当たり前と信じてきたことを見直すことこそが改革の第一歩」と、教員の意識改革を何よりも促してきた。同時に、生徒に対してはどの大学を目指すのか、どんな職に就きたいのかではなく「どう生きていけば幸せになれるのか」というテーマを常に追求するよう指導がなされてきた。日常生活を見直し、目標に向かって進むこと。それ自体が幸せの一部であると気づき始めた生徒たち自身が今、学校を変えつつある。改革は第二段階に入った。

前校長の路線を引き継ぎ、今年4月に校長に就任したのが勝野善彦氏である。勝野校長は長野前校長とは旧知の間柄で、授業改革、生活指導面の見直し、保護者ニーズの把握等々、学校運営の手法において互いに賛同し合っており、同校が今後進むべき改革の道は、昨年までと同様のスタンスで進められることは間違いない。実際、「長野前校長は現在も平安女学院の理事という立場ですから、毎日のように連絡を取り合い学校運営について意見を交わしている」と勝野校長は打ち明ける。

それにしても、改革着手からわずか2年目にして、関関同立への合格者数が前年の45名から83名へと増え、国公立大学へ9名、その他中堅大学への合格者数をも増やしたことは、学校選択の基準として見逃すことはできない。その背景には何があるのだろうか。もちろん、立命館大学の指定校推薦枠を30名確保したことは大きい。だが、推薦枠といっても所定の基準を満たさなければならないのはいうまでも無いこと。推薦を受けようとする生徒間の切磋琢磨が、結果的に他大学への合格者も増やしたと考えられる。

だが、最大の要因はやはり生徒に問い続けた「どう生きていけば・・・」のテーマではなかったか。勝野校長の話からは、人間教育重視の成果が結果として進学実績に結実したと納得させられるところが大である。そして、そのテーマは生徒のみならず、教員、保護者にも静かに浸透しつつある。

まずカタチからやがて本物に

「今日もこのテーマについて」と勝野校長が全校生徒の前で話し始めると、2〜3年生にはもう分かっている。おなじみの「どう生きていけば、幸せになれるのか」についての話だ。だが、一貫したテーマもその都度、アプローチの仕方が異なる。ある時は目標達成の幸福感を味わうために、今すべきことについて。また、ある時は隣人に対する挨拶や身だしなみ、マナーや思いやりの気持ちが自分自身に何をもたらすのかなど、様々な切り口で語られる。その全ては気持ちよく生きるためのルールであり、条件であり、法則である。

日常の振る舞いや生活習慣、他人に対する接し方が人として美しくなれば、必然的に成績は向上する、というのが勝野校長の経験則であり、同校の生徒指導の基本をなしている。その基本を整えさせた上で、目標に向かって努力する生徒を各教員が最大限サポートをする。そして「しっかりとサポートできる教員を数多く育てていく校長でありたい」と勝野校長は考えている。

学校生活のあらゆる場面での「どう生きていけば・・・」の問いかけは、過日開催された「オープンスクール」で、参加者たちの在校生への評価となって返ってきた。校内を見学する参加者に積極的に気遣いを見せ、案内する姿が見られたという。だが勝野校長は「うれしいことですが、これはまだカタチにすぎない。おとなの目の無いところ、誰の視線も届かないところで、このような振る舞いができて初めて本物といえます。そういう段階に達して卒業してほしい」と話す。

こうした人間教育の基本は生活指導によって培われるところが大きく、その方法はともすれば叱ったり、罰則を設けたりといったことが多いのが現実だ。だが、同校では良い点を見つけて誉め、それを見習う生徒が増えるよう仕向ける指導法がとられる。学校見学に訪れたある保護者は「ご近所のお子さんが、こちらの中学校に通うようになって、見違えて生き生きと挨拶してくれるようになりました。どんな学校だろうと興味が湧いてやって来ました」と話したという。学校を選択する目が見ているもの。それは何よりも先ず、そこに通う生徒だということをあらためて思うエピソードである。

アップした受験者の学力保護者の要望にも熱

中学校の入試状況でも変化が見られた。2005年度35名、2クラス編成だった中学校は2006年度51名が入学、2クラスとなった。また、全国模試の同中学校の偏差値が上昇しているのに加え、昨年までは2科入試の受験生が多かったが、今年は4科入試を選択する受験生が増えた。これらの点から受験者の学力レベルが上がってきていると見られる。同校の副校長を務める平沢真人氏は「ただ、日程Bでの受験者が多いのが今後の課題。平安女学院の教育方針に賛同する日程A専願受験者を増やしていきたい」と抱負を語る。

高等学校入試では立命館大学の指定校推薦枠の拡大により「特進Tコース」(英・国・社3教科重点養成の難関私大対応)の志望者が増えた。「特進Uコース」(5教科型センター試験、国公立大対応)と「アグネスコース」(多彩な学部学科への総合進学対応)も含め、高等学校では専願受験者が増えてきている。高等学校の進学率は90%以上。

受験者の学力レベルが上がれば、保護者の進学指導に対する要望も増してくるものだ。特に「アグネスコース」では、従来に比べ目的を明確に持った生徒が入学してきたこともあって、その保護者から「授業以外の補習体制をもっと充実させて欲しい」という声が寄せられるようになった。以前にはなかったことだ。これに応え、2学期から同コースの希望者に7時限目補習を実施する。こうしたニーズへの即応態勢に、教員の意識改革のスピードを感じ取ることができる。

同校を紹介する学校資料にはこんな一文が載せられている。「どう教えれば・・・を考えるのではなく、どう教われば・・・を常に考えています」。生徒の視点に立った発想が“平安女学院流”ということだ。どの教科であれ、教員は学習を通して自身の人間性を伝えていく。伝えるに相応しい自分自身であるために「どう生きていけば・・・」を、教員もまた日々模索中である。決して片寄らず、多くの声に耳を傾け、揺らぎながら最善を探す。そうした教員像が平安女学院の魅力ではないか。

 
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