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中学・高校受験:学びネット

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大谷中学校・高等学校

 
  男女共学化から10年
独自の教育方針が多方面から注目
共学化より10年、130年の歴史を礎に、すべての生徒があらゆる基本的なことを学ぶリベラル・アーツを目標とした改革を行い、滋賀・大阪での人気も高い大谷中学校・高等学校。その一環として、来年度より高校のバタビアコースをマスタークラスとコアクラスに分け、別のカリキュラムで授業を進めることになった。また、同時に施設改築も行われており、触れ合いをテーマにした最新型の校舎が続々と新設されている。一方、自らの実力を開花させる教育方針も、生徒のモチベーションアップだけでなく、将来の生きる力になると評判である。

校 長: 真城義麿
住 所: 〒605-0965 京都府京都市東山区今熊野池田町12
電 話: 075-541-1312
交 通: JR・京阪「東福寺」駅から徒歩5分 京阪「七条」駅から徒歩10分
学生数: 中学校  364名
高等学校 1,214名 (2006.6.1現在)
ホームページ: http://www.otani.ed.jp

 

自らを尊び、生きる力を培う教え
「どの人も生まれた理由も生きる価値もある」

京都で名門と言われる大谷中学校・高等学校。それまでは120年の歴史と伝統を持つ男子校であったが、男女共学化への改革の一歩を踏み出したのは10年前(高校は7年前)のことである。それと同時に校長に就任した真城義麿校長も、今年で10年目を迎えた。

「この10年間、女子生徒たちを見ていて、つくづく、人間には男性と女性の両性があるということを感じました。生徒を含め、私も教師陣も以前は男性ばかりの学校でしたが、男女共学になったことで、女子に対する言葉使いや様々な精神面の指導が加わり、男子生徒にも良い刺激を与えています。今後もさらに研究を重ね、より良い指導をしていくつもりです」

既に地元だけでなく、大阪府や滋賀県からも高い評価を得ている同校だが、今後もこの評価におごることなく、より完全な指導方針を目指していきたいと真城校長は語る。こうした前向きな姿勢が、学校全体を良い意味で活性化しているのだ。

無論、浄土真宗の教えを基本に、他者を尊び、その中で己を尊ぶことを指導することが、本当の意味での生きる力の育成になるという教育方針は、男女問わず実践されている。今年度はその考えを新たな学校方針として打ち出し、全人的な成長と発達を生徒に促し、自覚させることが目標だと語る。

この方針は各教師陣にも間違いなく受け継がれている。弱者が辛くならないようにと配慮された設備や、生徒個々の状況把握など、細やかな心遣いが全教師によってもたらされている。その雰囲気は、卒業生や生徒たちだけでなく、地域の人々や保護者が訪問した際にも、敷地内へ一歩入ればほっとすると評判になるくらい、外部へも広く発信されているのだ。

また、教師は週1回各学年毎に行われる講堂での集会(講堂礼拝)において、全員が必ず年に一度は講壇に立ち、色々な話をすることが義務づけられている。このときの講話は、『樹心集』という一冊の本にまとめられるが、その中には受験問題から自分の体験したできごと、友人の死を悼む話、社会問題と様々な話がつづられている。一見すると、何の繋がりもないように見えるが、すべてに於いて共通しているのが、「今、自分に何ができるのか」という問いかけである。これらの話を聞かされた生徒は、感動と同時に自らに疑問を投げかけ、考えることで自分の存在意義を知り、自立への階段を一歩ずつ上がっていく。

この樹心集と同じように、生徒を導くのが、『あなたが、あなたとして生まれてきたことには、間違いなく目的も意味も価値もある。あなたは、尊い者として生まれてきたのだ』という校長の言葉である。これらの話を聞くうちに、生徒たちは自分に与えられた資質をしっかりと開花させていくようになる。

「それでも、人生の中で出会うたくさんの障害の中で、スムーズに行かないことはあるでしょう。しかし、その失敗やつまずきで、自分の価値が下がることはないということを分かってもらえるよう、日々指導に当たっています」と真城校長は語った。

さらに細分化した目標設定を
マスタークラス・コアクラスの設置

大谷中学校・高等学校の基本理念は『樹心』。生徒たちに向けた教師陣の講話集にも付けられているその言葉は、親鸞聖人の教えから取られた一節で、中心に成るものが、ゆるぎなく樹つという、本当の意味での独立を意味している。そのために、根を張り、幹をしっかり樹立するのが、中学・高校時代だという考え方である。そのために取り入れられているのが、バタビアシステムと呼ばれる指導方法だ。

この授業には通常2人の教員が教室内で授業を進行する。一人は教科担当で、板書など通常の授業進行を行うが、もう一人はクラス担任が授業中に机の間を周り、理解できていない生徒がいないかチェックしたり、生徒からの質問を受けるというシステムである。中学校1・2年次の、英数国の主要3教科で行われている。特に国語はクラスを2分割し、少人数体勢で指導される(今年度より実施)ので、実力の伸びが早い。

「国語力は全ての学力の基本。特に書く力を重視し、作文にはかなり力を入れて指導しています。ハーフサイズのクラスに分けたのも、発表の場ひとつとっても少人数の方が細かな指導が行いやすいですから」と、角谷有一中学校教頭は語る。
  一方、高校でも新たな取り組みが導入される。来年度よりバタビアコースをさらに細分化し、難関私立大合格を目指すコアクラスと、国公立大合格を目指すマスタークラスに分けるという方法で、マスタークラスでは全員が大学入試センター試験を受けるよう、全教科必修として指導が行われることになる。 「どちらのクラスもできるだけきめ細かな授業を行い、高校2年後半から3年の1学期までに高校課程を全て修了し、残り時間を演習に使います。また、マスターとコアに分けたのは、目的別という理由もありますが、何より私大入試は推薦枠などもあり、2学期に合格が決まってしまう場合も多いため、センター試験受験者への影響を考えた結果です」

そう語るのは中居豊一郎高等学校教頭。高校入学時に2つのクラスに成績別で分けられるが、高2進級時の大谷検定試験の結果ではコアクラスからマスタークラス、また、もう一つのコースであるインテグラルコースから、バタビアコースの各クラスへの転科も、可能である。

それぞれのカリキュラムが細分化される中、生徒の指導も年々難しくなる。担当する教員のモチベーション向上も、大切な仕事となる。このため、大谷では生徒による教員アンケートを京都の他校が取り入れる以前から実施。全教科・非常勤講師に至るまで、細かなアンケートを採り、芳しくない場合は校長から指導が入ることになる。真城校長は、「教師は生徒の最も身近にいる他人の大人です。その大人を見て、『あんな大人になりたい』と尊敬されるように、教師の成長も見逃すわけに行きません」と熱く語った。

また、施設も現在急ピッチで工事が行われ、次々と新しい施設ができあがっている。新校舎建築委員の龍池修先生は、それら施設についてこう話した。

「新施設のコンセプトは、先生と生徒、生徒同士や地域の方々と関わるということです。ですから、階段も通り過ぎるだけではなく、触れ合いの場になるようなスペースを設けました。また、生徒たちが色々なものを発表できる場もあります。いずれも生徒の意見を取り入れての設計になっています」

もちろん、弱者に優しい学校としての一環として、バリアフリーを心がけている。
創立130年を機にスタートした新しい学習環境への改革。来年度の春、その全貌が明らかになる瞬間が待ち遠しい。

 
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