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中学・高校受験:学びネット

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清教学園中・高等学校

 
  中高一貫に高大連携の新コース
学問探究のフィールド拡大に期待
一貫教育の効率的授業によって生み出された時間を、進路に応じた探究学習に充てる「大学連携コース(関学クラス)」が2007年度より清教学園中学校でスタートする。関西学院大学との連携は単に進学保証にとどまらず、幅広い学問分野、領域を探る上で強力なサポート体制構築と期待される。毎年、国公立大へ150名以上の合格者を出す清教が「知と心の創造空間」を目指し新たな挑戦に打って出た。

校 長: 安達 英行
住 所: 〒586-8585 大阪府河内長野市末広町623番地
電 話: 0721-62-6828
0721-63-8568(入試委員会直通)
交 通: 南海高野線、近鉄長野線「河内長野」駅から徒歩10分
学生数: 中学校  648名
高等学校 1,342名 (2006.6.1現在)
ホームページ: http://www.seikyo.ed.jp

 

なぜ学ぶのか どう生きるのか

関西圏で屈指の進学実績を上げる清教学園が、新たに中高一貫コースに「大学連携コース(関学クラス)」(募集人数約80名)を2007年度入試より導入する。受験生はこれまでの東大、京大、阪大などの最難関大学への進学を目指す「S特進コース」(同120名)との2コースから、自由に第一・第二志望を選択できる。
新設の「大学連携コース(関学クラス)」はその名の通り、関西学院大学への進学を目指すコースだが、いわゆる“出口保証”的な意味合いだけでなく、学びたい分野を追究し、なりたい自分を精選していくためのカリキュラムが組まれる。同校ではキリスト教精神に基づいた「賜物を生かす」教育、すなわち一人ひとりの生徒の個性をいかした学問、進路を発見できるよう教育実践を重ねてきたが、今回のコース新設はその歩みを深める一歩といえそうだ。

これまで総合的学習の時間の取り組みとして、中学校において調べ学習「考えるレポート」の作成に力を注いできた。レポートではまず、探究心を喚起させるため生徒自身がテーマを決め、書物やインターネットまたは人づてに情報を収集する。次に、集めた情報を整理し、最も深く探っていきたいものへの絞り込みを行う。この段階で重要視されるのが教員の助言で、それ次第で将来の進路を見出す可能性も少なくない。さまざまな分野に及ぶ的確な助言を行うためには、全教員の専門性を総動員するほどの態勢がとられてきた。
今回の高大連携によって、その態勢に万全が期されることは言うまでもなく、中・高校段階での学びの可能性は格段に拡がるとみられる。「どの学部で、どういう学問をやっているのか」という気づきにもつながり、進路選択のインセンティブを高める効果も期待十分だ。総合学習では「なぜ学ぶのか」「自分自身の生き方とどう関わってくるのか」を深く考えさせる契機となるよう、さらに将来の進路決定に作用するよう導くのが清教メソッドといえる。

探究とは知識を得、他者と議論することによって理解を深め、最終的にはプレゼンテーションや芸術的表現によって他者に伝えることで完結するといわれる。学びの醍醐味ともいえるその一連の流れをバックアップする高大連携の行方は注目に値する。
具体的内容として、中1からの先取り授業によって高校の課程を高2終了時まででほぼ習得させると共に、高2からは進路に応じた課題の探究学習を行っていくが、その課程で大学の単位を修得することも可能。また、第二外国語としてフランス、ドイツ、中国などの各国語を選択できるよう、特に英語については高2終了時点で英検2級資格の取得を目標とできるよう準備を進めている。

「進学実績は上がっていますが、受験を意識するあまり効率重視の学習展開となりがちです。『日々の正解のない学び』に取り組もうとする姿勢をおろそかにはさせたくはありませんし、学びの前提であるモチベーションを引き出せるような形で高大連携事業を進めていきたい」との安達英行校長の弁が印象的であった。

授業を変えるプロジェクトY

プロジェクトXならぬ「プロジェクトY」が清教学園で繰り広げられたのは昨年のことであった。教員の側から提案されたよりよい授業のための改革を「プロジェクトY」とネーミングしたのは明快というほかない。さらにその内容を聞いて膝を打つ思いを強くした。
授業改革は生徒による授業評価という形で行われた。一般に、評価制の導入は管理職側から提案され、教員側の強い抵抗にあうものだ。ところが、同校では教員側からの提案であったというから興味深い。実は同校での評価制度は勤務評定には使われず、それどころか評価結果は管理職の目に一切触れていないという。

安達校長は「授業がよりよくなり、生徒が満足してくれることが目的ですから、管理職が結果を知る必要はありません。それぞれの先生が結果を受け止め、必要なら授業改善すればいいことです。それに勤務評定をするなら授業だけでなく、クラブ活動の担当や担任としての仕事、また校務分掌など、見るべき点はひとつではありませんので」と、授業評価のみをもって勤務評定に使うつもりはないと話す。もし、管理職が評価結果をもとに改善を迫れば、評価者(生徒)に対する不満が残る場合もあり、逆に改善に結びつかないケースもあり得る。ただ一点、授業をよりよくしたいという目的のための実施なら、生徒、教員、管理職のいずれにとっても不利益ない。利益のみが存在する改革は抵抗なく進み、結果を生み出すことを「プロジェクトY」は教えてくれている。

数人の教員によって立ち上げられたプロジェクトチームは、評価項目を挙げ7月と11月の年2回、非常勤講師も含め全教員を対象としたアンケートを実施した。2回行うのは生徒の声を受け、半年で授業がどう変わったかを見るため。その後、アンケートの回収、分析の段階でプロジェクトは業者に引き継がれ、各データは教員本人のみに知らせる仕組みをとった。ただし、学校側には“各学年の教科の傾向”としての分析結果が返された。「高校○学年の数学の進度は速すぎる(または遅すぎる)」などといったものである。中には指摘を受け「もっと早く聞いていればよかった」と早速改善できたケースもあったという。
「評価制を導入する、しないに関わらず20%の先生は常に最高の授業を心がけています。また、別の20%の先生は評価を受けたところで容易には変わらないでしょう。問題は残る60%の先生たちです。この先生たちの意識改革ができるなら、学校は変わることができるでしょう」と安達校長。なるほどと思わせる説得力がある。

国公立へ今年も152名

今春も清教学園は京大、阪大をはじめとする国公立大へ152名(うち現役120名)の合格者を出した。昨年と比べると早稲田への合格者が25名(現役実数10名)と増え、関関同立へは実に508名(現役実数267名)と圧倒的強さを見せている。また、医歯薬医療看護系大学の合格者は64名(うち現役43名)であった。

取材当日はすべての受験結果が出揃った頃で、卒業生と見られる面々が恩師に報告に訪れる姿が学園のあちこちに見られた。校長室にも念願かなって高校教師への道を踏み出した卒業生が訪れていた。「覚えていてくれて、挨拶に来てくれました」と安達校長。1年のうち、真に顔をほころばすことのできる瞬間なのかもしれない。

 

 
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