最寄駅の名鉄岩倉駅からバスで約6分ほど。静かな住宅街にある大成中学校・高等学校は、中学校開校20周年・高校開校25周年を迎える。それに合わせて高校では、制服のリニューアル、グラウンドやテニスコートの充実などを実施、よりよい環境を準備した。また「学力と躾」を大きく掲げる中学では、少人数制のクラスで漏れのない指導と成長期に大切な人間教育を教師一丸となって実践。志望大学合格への道筋を着実に開いていく指導に保護者の信頼は厚い。
森先生は8年前、新任でこの大成の教壇に立った。初期の頃に比べ、さまざまな試行錯誤の末に、今は落ち着いて授業ができるようになり、教えることが楽しくて仕方ないという。
授業中の教室にお邪魔すると、森先生がちょうど問題のヒントを解説中。「何に関してそういう気持ちになっているのか? 自分が実際に同じ状況になったときにどう感じる? 行間を読まなければならないので、線引きをしっかりとね」。
生徒たちが記述を始めると、教壇を降りて、生徒たちの様子を一人ひとり見て回る。解答が進まない生徒には声をかけ、さらにヒントを加え、自分で考え、答えを持ちけられるように誘導する。
一通り回ると教壇に戻り、黒板を押さえながらメリハリのある声で生徒たちに呼びかける。
「ここは気持ち的にマイナスの感情が入ってないと減点されます。では、何が原因でその感情が引き起こされているのか。それを足して書けば満点。気持ちの部分だけでも点数の半分はもらえるよ」
「この3問が人と差が付くポイント。こういうのがきっちり解けるようになってくると、点数も安定してくるからね」
設問の点数配分から、さらに細かな解答のヒントで、全員が答えを出せるようにしっかりと導く。そしてまた何度も繰り返して、生徒の机を一つひとつ回る。とにかく丁寧だ。
すでに問題が解けた生徒には、他のプリントをやるよう指示。すき間の時間も無駄なく使う。
国語では小論文の授業や漢字検定も必須となっており、低学年のうちにしっかりと語彙力を付け、長文の読解力を高めるとともに、文章の構成力をあげていくよう指導している。ちなみに漢字検定は、中学生の合格率が県下トップレベルだ。こちらも朝学や授業のすき間、帰りの時間など、細かく学習し続ける。さらに合格率を上げるよう努力しているという。また、生徒たちに読書習慣がつくように、図書館と連携して読書週間を作り、推薦図書を展示するなど、さまざまな工夫を重ねている。 |
ゴールはなく、ただ与え続ける
いい意味での初心を忘れないで歩む
昨年より中高一貫コースを任され、現在2年生の担任を務めている。今までは高学年の担当がメインで、多くの受験をともに乗り越えてきた。土台から生徒を作り上げるとどうなるのか? が今一番の関心ごとであり、楽しみであるという。
「何をやれば生徒が答えてくれるかは、最初の2、3年は全くの手探りだった。どれだけやれば生徒は満足するのか。ゴールなどない。ただ与え続ける。それが彼らの原動力になる。私が止まったら彼らも止まる。諦めずに最後まで、つらいときでも走り抜けることが大事なんだと、身体を張ってやるしかない。誠意と情熱を見せれば、生徒は支持してくれる。今は卒業生が何人も尋ねてきてくれるのが本当に嬉しい。お互いに成長できるような教師になっていきたいので、いつまでもいい意味で初心の気持ちを忘れないでいきたいですね」
熱血教師陣で有名な大成中学校・高等学校で、また1人、生徒のために心血を注ぐ教師が育っていた。
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