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中学・高校受験:学びネット

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浜松海の星高等学校

 
  前浜松市長が理事長に就任 選ばれる女子校へ改革始まる
1956年の創立以来、浜松海の星高等学校はカトリック系ミッションスクールとして、愛と奉仕の精神をスクールモットーに自立した女性の育成を進めてきた。一時トレンドとなった共学化の波には乗らず、むしろバックボーンを生かし、女子校ならではのメリットを打ち出した教育の展開が期待されている。4月には、地域社会に太いパイプを持つ前浜松市長の北脇保之氏が理事長に就任。学校改革にむけた手腕に注目が集まっている。

理事長: 北脇 保之
校 長: 高橋 美智子
住 所: 〒432-8018 静岡県浜松市中区蜆塚3丁目14番1号
電 話: 053-454-5376
交 通: 遠鉄バスJR「浜松」駅バスターミナルのりばAから、系統番号8 鶴見富塚循環(広沢・医療センター)海の星高校下車、系統番号0 遠州浜蜆塚線(蜆塚・佐鳴台)蜆塚遺跡前下車
学生数: 430名 (2011.7.1現在)
ホームページ: http://www.uminohoshi-h.ed.jp

 

建学理念を守りつつ
学力向上に舵を切る

 浜松海の星高等学校を運営するスピノラ修道女会は、スペインに発祥し、日本を含む世界10ヵ国で40を超える教育活動の実績をもっている。建学の精神である「愛と奉仕の精神による、真に自立した女性の育成」を世界的視野の中で実践してきた学校である。一方、地域の病院や福祉施設でのボランティア活動は定着しているものの、広く一般地域社会とのつながりという面においては、必ずしも緊密であったとはいえない。

 そのような状況下、1999年から8年間、浜松市長を務めた北脇保之氏が理事長に就任した。北脇氏は市長退任後、東京外国語大学教授の職にあったが、同時に3年間同校の理事として学校運営にかかわってきた。今春、同大学の職を辞したのを機に地元の浜松に帰り、4月に理事長に就任している。

 すでに全国の多くの女子校がそうであるように、同校も学校経営という一面では重大な舵取りが迫られる中、行政に身を置いていた北脇氏の理事長就任は、地域社会に驚きを持って受け止められた。北脇氏自身も「簡単な仕事でないことは承知しているが、それだけにやりがいを感じている」と、学校改革の必要性を十分に感じての就任だった。教育理念と校風を熟知していた北脇氏は、一つの解を持して、職に就いた。

 その解とは「変わらないために変わる」というもの。カトリックの女子校としての使命を変わらず果たし続けるため、運営方針、指導方法といった教育手段の改革が必要と判断、就任がほぼ決まった今年2月の時点で、早速着手した。

 まず、優先課題のトップに挙げられたのは、進学実績の向上である。同校では上智、南山、聖心女子、白百合女子大学をはじめとする指定公推薦枠を豊富に持つため、これまで生徒の心理として「ほどほどの進路」で満足していた点は否めない。それでは、生徒の秘めた力を開花することはできない。北脇理事長は早い段階で志望大学を決定せず、最後まで可能性を追求する進路指導を教員に呼びかけた。「最後まであきらめない進路選択やその実現は、実社会に出た後の生き方にもかかわること」と特に重視したのだ。

 教員に対しては、模試結果を分析し、生徒一人ひとりに応じた具体的対策を提示するとともに、進路の選択肢を広く示して、生徒の意欲を引き出すことを求めた。北脇理事長の姿勢が伝わり、教員側からは2つの「preparation(準備)」が提案された。具体的取り組みとして、「プレップガイド」と「プレップタイム」と名付けられ、実践が始まっている。

2つのプレップと
3つのコース

 入学後すぐに2日をかけて行われる「プレップガイド」(具体的な学習方法の説明)は、なぜ必要なのか。進路部長の重信明利教諭は次のように話した。「予習復習をしてくるようにと生徒に言っても、その効果的な方法を知らない生徒が多い。中学校で勉強の仕方を十分に身に付けているとは言えない」と。そこで、学習の目的、要点のしぼり方、時間的な目安などを細かに指導し、学習習慣の土台を固める取り組みが「プレップガイド」である。

 もうひとつの「プレップタイム」は、授業開始前の10分間を利用し、1日おきに行われる小テストやその準備学習に充てる時間帯のこと。全学年を対象に4月から始まっている。小さな時間を倦まず弛まず積み重ねる取り組みは、堅実な校風がそのまま形になったようだ。

 コースは特進(定員30)、総合進学(同120)、演劇(同25)の3コースがある。国公立、難関私大への全員進学を目標にする特進では、土曜授業は無論、水曜以外は8時間目に特別補講を実施している。3年次にはセンター試験対策特別合宿やセンター直前冬期集中講座も行うなど、学力向上のための多彩なメニューを組んでいる。中には2年次に1年間の海外留学をする生徒もいるが、留学先の単位が認定される。

 総合進学では学習と部活、ボランティアなどとの両立を優先し、豊富な指定校推薦枠を生かし、進学を目指すコース。資格取得にも力を入れており、英語検定、数学検定、歴史検定などにチャレンジする生徒も。

 県内で唯一の演劇は、近年専願受験者が増えている。普通科の学習を進めながら、劇表現、芸術文化、戯曲創作、ダンスなどの専門科目を学ぶことができる。卒業生の半数は舞台芸術や放送芸術、ミュージカルなど専門分野へ進学していく。演劇を通して身に付けた豊かな表現力、コミュニケーション力は、実社会でも生かされることは言うまでもない。

 また、同校が教育目標の一つに挙げる「国際人の育成」の観点から、元来、英語教育は盛んであるが、さらに深めるため、学習の成果が見えやすいTOEIC Bridge(初・中級の英語コミュニケーション能力の評価)も今春から導入している。さらに、海外の姉妹提携校に年間1万ドルの奨学金を得て、留学できる海外指定校推薦枠も持つなど、グローバルに学ぶ環境も魅力の一つである。

 浜松を深く知る北脇理事長は最後にこう語った。「まだ男性社会的な面が強い浜松だが、広い世界に視野を転じれば、社会変革には女性の着想、行動が求められている。リーダーシップを持った女性の育成を女子校ならではの環境で進めていきたい」と。

 
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